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音楽学とは

音楽学

これは英語でmusicologyといいます。

この定義が日本ではメチャクチャです。まず私が出た藝大ではもっぱら音楽の歴史研究を意味します。しかし実際に藝大では「楽理」と呼び、音楽について哲学・歴史・人類学的な研究をすることです。(土田栄三郎先生には大変お世話になりました)

東京音大も音楽史を研究する分野と定義づけしています。

実際には

musicology は「音楽の学問的研究」の総称ですので「これ!」というものはありません。

しかし、大きくジャンル分けすると5つあるというのが現在世界での有力説となっています。

  • ①音楽史 music history

  • ②音楽理論 music theory

  • ③音響学 acoustics

  • ④音響心理学 psychoacoustics

  • ⑤音楽哲学 philosophy of music

①音楽史

音楽史は文系の学習のように見えて理系の学習です。因果があって結果があるという数学的な歴史の捉え方ができればマスターできます。学校に行かなくてもグラウトパリスカを読めば大丈夫です。(ちなみにYouTubeとかの「モーツァルトの歴史を紹介!」とかいうのは音楽史ではなく、ただのエピソード知ってる自慢です)

②音楽理論

音楽理論は正しい先生から正しい理論を教わってください。クラシックの藝大和声と、ジャズはバークリー・メソッドの両方をマスターした方なら誰でも大丈夫です。

③音響学

音響学は少し難しく、最低でも理系で高校を卒業していないと、勉強できない程の計算の山です。電気はもちろんのこと、コンピューター内部や、気圧、温度、湿度などの自然現象まで知る必要があるので、最低2年は専用に捧げる必要があります。

④音響心理学

音響心理学は③音響学に心理学と統計学をプラスした難解な学問です。「人がどうやって音を聴いて認識しているのか」が分からないと「なぜ音楽をやっているのか」が分からなくなります。

⑤音楽の哲学

音楽哲学は、音楽がどのように人や世界に影響を与えるか、文化的な立ち位置などを議論するものですので、①〜④のバックグラウンドがあれば、自分の専門分野を基に考えることができます。美学的な研究もその一部です。

「の」

しつこく「音楽哲学」と書いているのは「音楽哲学」ではないからです。
「の」が入るphilosophy of musicというのは音楽における哲学ですので、音楽の内部における哲学的な考え方という印象です。

個人的には上記5つすべて習得しましたが、この⑤音楽の哲学だけは

「ごちゃごちゃいってんじゃねー」

と、考えています。私は「わかり得ないものに関しては沈黙しなくてはいけない」というスタンス(笑)です。(ドイツ語でWovon man nicht sprechen kann, darüber muss man schweigen. ♡)

音楽哲学

「音楽哲学」は別です。音楽家がどのように生きるべきか、どのようなスタンスで音楽活動をすべきか、過去の音楽家、思想家、かれらの成功と失敗とレガシーを自分にぎゅっと吸収して、自分をアップデートするのです。「音楽哲学」というより「音楽家の哲学」、「音楽家が考えるべき哲学」という方が正しいかもしれません。

私の師匠は「your philosophy (おまえの哲学)」だから呼び方なんてどうでもいいと仰っていました。たしかに、自分と言う音楽科を形成するための部品の総称を考える必要すらありません。

向き不向きを分ける

私のように攻撃的になり、孤独派になる必要はありません。私はこっちが自分に向いていると思って先生方と決めた道です。ご自身で自分に合う道を決めて、向いていなければ他の方向を試行錯誤しなくてはいけません。まず、その選択肢すら分かってない状態だと、クロール、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎの種類すら知らずにプールに飛び込むようなものです。その場で溺れている自分に不思議がっている・・・回りがそれをみて「そりゃそうだ」と笑っているのに気付いてください。

こちらで指導しますので、興味がある方は先行情報をお取り寄せください。音楽歴1年未満の方は受講不可です。21歳以上限定です。学歴、性別は問いません。

まとめ

まず正しい「音楽学とは何か」をしり、どの分野の知識がなくて、早急に身に付けるべきはどの分野かを見付けてください。過去30年間多くの音楽家を育ててきましたが、①〜⑤のどれでもなく「音楽哲学」の欠如だけが原因だったのです。溺れていました。溺れたまま没した人も多くいます。あなたはそうならないで欲しいです。

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津本幸司




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