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#37 システムの『見た目と中身』

2024年1月某日

デジタル化が加速している。地方のビジネス業界においても、「DX」を「デラックス」という人は皆無に近づいてきたし、財界の大御所による「チャット"ジーティーピー"」という間違いも修正されてきた。みなさん、テクノフォビアを克服しつつある。もうすこし、がんばろう。

さて、地方創生の文脈においても、テクノロジーの活用が進んで久しい。自治体業務の効率化だの、DMOのマーケティングだの、様々な領域でシステムやアプリケーションが導入されている。また、人手不足に悩む地域企業(とりわけ小規模企業)の世界でも、生産性向上の手段として、第一声は「システム」「IT」「デジタル」などが紋切り型の如く登場する。



地方企業におけるDX事例の数は増えているのだが、そのほとんどは、特定の既存業務の効率化や、アナログデータのデジタル変換などが中心である(これを、「デジタイゼーション」とかいうらしい)。例えば、切削加工を行なっている製造業があったとして、その「受注〜加工〜納品〜請求」の行程別で作成していた紙資料の内容を、システムに直接入力する方式に変換する、といった類のものが散見される。

しかし、このようなシステムは、総じてUI(ユーザー・インターフェース)が悪いと思う。なんか、ネズミ色の画面に白いテキストボックスが浮いていて、仮想的なボタンが沢山あって、とにかく見にくい。そして、見にくいから、使いにくい。(なお、かつて熱狂したマインスイーパーを彷彿させる点では、多少のエモさはある)。

繰り返しになるが、「見にくい」システムは「使いにくい」。それはそうだ、なぜなら、見えないものは操作できない(操作できると認識できない)からである。こう考えると、システム導入などを検討する際、既存業務がどれだけカバーされるかといったことより、「普通に、感覚的に、わかる」ものを準備すべきだろう(人間中心設計みたいなこと、たぶん)。

筆者は、どれだけしょぼい機能のシステムであったとしても、「使いやすい」ものであれば、効果を生むと考えている。具体的には、作業者がデジタルツールをさわって「使えた!」という成功体験をつくることができる。その自信が、内発的なデジタル活用意欲につながり、組織全体のリテラシーを押し上げるのではないだろうか。

システムの世界でも、「中身」だけではなく「見た目」が重要度を増している。「見た目のよい」システムは評価が高い。ルッキズムはデジタルの世界にも忍び寄っているのか。知らんけど。

ほなら。

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