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#28 『安眠列車』

2024年1月某日

新年初出勤のために電車に乗る。学生諸君は学期がはじまる前なのか、ふだんより席が空いている。まだ仕事を始める前なのに、なんだかぐったり疲れた風体の企業人のみなさんが、ちょっぴり傾き、目を閉じ、座っている。みなさんお疲れ様です。

さて、筆者は普段あまり電車の中で眠ることはしない。かなりの確率で降車駅をスルーするためである。器用に起きれる自信もないし、そもそも「○○駅で降りなきゃ…!」というプレッシャーが心を支配してしまい、心地よい睡眠体験を享受できる気がしない。

はて、筆者の眼前に揺られる目を閉じた企業戦士の集団は、どのように電車内での睡眠をマネジメントしているのだろうか。そもそもの問いとして、彼らは「眠っている」のか「目を閉じている」のか、どちらだろうか。前者であれば、なぜ起きれるのだろうか。なにやら降車駅が迫るにつれて周波が強くなるエレルギー波のようなものを浴びているのだろうか。いやいや、そんなことはないと仮定すると、彼らは「目を閉じている」だけなのだろう。そうにちがいない。

確かに、目を閉じて机に突っ伏すだけでも、回復効果がある「パワーナップ」のような技術もあるし、本当に寝ている訳ではないから降車駅をスルーしてしまうこともない。これは合理的だ。ただし、そうなると、電車で「座れた人」とそうでない人での格差は広がるばかりである。同じ料金を支払って、片一方は体力を回復し、もう一方は体力を消耗する。これはあんまりだ。

そういうわけで、電車で立っている人も、立ちながら仮眠体験ができる価値提供が可能なツールなど、どうだろうか。例えば、リュックタイプの鞄で、体の前側に回して抱えるように持つと、いい感じに頬を預けて顔を休められるといったものである。なお、下半身をどうするのかという点については、問題意識の範囲の外とされたい。

ほなら。

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