力をもらいたい時に聴く歌


 はーい、テツガク肯定です。

 最近の私が力をもらいたい時に聴く歌。
 それは――カントリー・ロード(Take Me Home, Country Roads)です。

 ジョン・デンバーさんのカントリー・ロード。

 ココではない違う場所へ繋がるような。
 まだ行ったこともないアメリカにいるような。
 まだ「ただいま」と言えない相方の隣にいるような。

 そういう不思議な歌ですが。
 より力をもらいたい時は、これです。

 アメフトのスタジアムでお客さんが歌ってくれる、カントリー・ロード。
 これを聴けば、一瞬でアメリカへ飛べる、それくらいの迫力。


 とても素晴らしい光景で、同時にとても不思議な話です。

 普段の私は合唱とか聴きません。
 どちらかと言えば好きではありません。

 合唱コンクールの練習とかにそこまでいい思い出もなく。
 もちろん、特別悪い思い出もないのですが。
 それでも、他人の合唱を聴いてもなんとも思いません。
 友達とかのは別ですがね。

 ですが、私はこの合唱に力をもらうわけです。
 きっと、このスタジアムにいるお客さんは。
 どこかの合唱団のように、この歌を歌うための練習などしていないと思います。
 (よく見れば、歌っていない人もいますし。またそれが私には嬉しかったです。試合が始まるまで歌い続けるところも)

 プロとは言えない、お客さんの合唱に力をもらっている。
 おそらく、それは歌の上手い下手の話ではなくて。
 この現象が奇跡だから。まさに無音の刑務所に響き渡った『手紙の二重唱「そよ風に寄せる」』のような奇跡。



 英語が全くわからない、アメリカが大好きな日本人の私。
 主にこの私を痛めつけるのは、同じ日本人。
 だけど、この歌を聴いている時だけは、人種という足枷を外して。
 今まさに故郷へ近づいている、一日一歩ずつ確実に。

 地質学、アンディ・デュフレーンさんから教わったように。
 N=ET(願いはエネルギーと時間の掛け算)の法則で。
 ウェストバージニアとは違う、この世とも違う、そういう故郷へ。
 世界三大ウサギの一羽がいる、そういう故郷へ。



 このカントリー・ロードって歌はウェストバージニア州の州歌らしいです。
 この国で言えば、葛飾の歌が葛飾ラプソディーみたいな感じでしょうか。
 そうやって愛される歌があるってのは素晴らしいです。
 そして、このカントリー・ロードには愛される理由があります。

 私は『耳をすませば』でこの歌を知りましたが。
 この映画で知った歌とは全く別の意味を持った歌でした。

 『耳をすませば』のカントリー・ロードは。
 故郷へなんか絶対に帰るもんか!
 そう中指を立てて、舌を出すような歌でしたが。
 (本名陽子さんの歌は好きです。コンクリート・ロードも)

 ジョン・デンバーさんのは逆です。
 何がなんでも故郷へ帰る、例えこの世を忘れ去っても。
 消え去れ、偽りのファンタージェン!

 さらに言えば。

 日本のカントリー・ロードは。
 後ろなんか振り向くな、振り向いたやつは射殺だ!
 誰も助けてくれない未知を独りで進め!
 そう脅されるカントリー・ロードで。

 アメリカのカントリー・ロードは。
 もう独り強がりはよそうじゃないか。 
 お腹も空いただろう? もう帰ろうじゃないか。
 降りろよ、ジョニー。ならず者、デスペラードよ、バック・トゥ・テネシーだ。
 そう迎え入れられるカントリー・ロード。
 もの凄く器が大きく、ありえないほど広い。



 最近、洋楽を聴いていると驚きます。
 後ろを振り向くな! と説教され脅されるのではなく。
 堂々と帰ろうじゃないか、故郷へ凱旋するぞ、待っている人がいる。
 そういう歌も多くあることに私は驚きました。

 それで、こう思うようになりました。
 答えは一つではない。

 合唱は好きじゃないと思ってた。
 違った。
 歌い方より想いを揃えた合唱が好きだった。

 後ろは振り返ってはいけないと脅された。
 違った。
 前だと教え説かれた先が崖だった。

 きっと、このカントリー・ロードって歌は。
 この先も歌い継がれると思います。
 なぜなら、誰もがココに誘拐されてきた。
 ココは誰の故郷でもないから。

 この青く醜いスターダスト。
 臆病者のか弱い独裁者。
 地球と言う名のデス・スター。
 人から我という力を奪った哀れな小心者。
 50憶の人を誘拐しても飢えたままのオーバールック・ホテルって悪霊は偽りのファンタージェン。

 ただのピエロだ。

 そう誰もが無意識に覚えているから。

 Take Me Home, Country Roads
 故郷へ連れ帰ってくれ、愛しのカントリー・ロードよ。

 そう歌いたくなる。
 最近はそう思っています。

 と、まあ……私の永い話はどうでもいいんです。
 何か力が欲しい時は、是非、このカントリー・ロードを。

 あなたは独りではありません。
 もしかしたら、人種とか過去とかゲンジツとか。
 そういう足枷って幻想を外してくれる、そういう誰かが別の今にいるはずです。
 この国、この世界にはいなくても。

 そういう人を見つけたら手を離さないこと。
 これ、ユリス教の教えです。
 大丈夫、足が帰り道を覚えている。
 無事、故郷へ帰ったウィリアム卿のように。


 さあ、313のみんな手を上げて叫ぼう。
 くたばれ、ファッキン・ブラック・ワールド!
 くたばれ、デエーブイ・ブラック・ワールド!
 抜け出せ、8マイルのグリーンマイルから!
 仰げショーシャンクの空、辿り着けジワタネホ、飛び込め記憶のない海。

 ココにいるみんな、無罪無実だ。
 ゲンジツにはめられた。
 だから、そろそろ浮かぶ……帰る時間だ。

 穏やかな青さに身を任せるな
 怒れ、怒れ、奪い取る星に
 飛べ、飛べ、白い影に


 
 それでは、また次の機会にお会いしましょう。














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