見出し画像

📚小説を読むためのアンテナを作るための本3選

 今日は筆の赴くままに記事を書く。私が小説を読むときに、基準や軸になっているような本を3冊紹介していきたい。

①『日本語のレトリック――文章表現の技法――』(瀬戸 賢一 著)岩波ジュニア新書

 一文を掘り下げていくときに参考になる本である。この本では、小説家や詩人の作品を引用しながら、どのようなレトリック(修辞法)が用いられているのかを分かりやすく解説している。

 小説をマクロに見る本は多くある。小説の構成や作家の文体を論じる本は数多あるのだ。しかしながら、一文を切り出して、そのレトリックを取り出し、種明かしをするような本は中々見かけない。

 この本では、様々な比喩の手法(16種類もある!)や効果的な対句の方法などを解説している。この本を小説のそばに置いて、小説中の一文一文を観察してみる。すると、面白い発見があるのだ。

 しかも、この本は分かりやすい。岩波ジュニア新書から出ているので、読みやすいのだ。その点でも、オススメである。

②『批評理論入門――『フランケンシュタイン』解剖講義』(廣野 由美子 著)中公新書

 こちらは小説をマクロに読んでいくための本である。『フランケンシュタイン』という小説を通して、様々な読み方(批評の視点)を教えてくれる。

 特に、後半の「II 批評理論篇」については見事である。13種類の手法に分けて『フランケンシュタイン』という一つの作品を観察していく。すると、13種類の(あるいはそれ以上の)解釈が生れてくるのだ。

 さらに、紹介した3冊のうち、この本が最も新しい。精神分析批評やフェミニズム批評、ジェンダー批評やポストコロニアル批評といった新しめの批評の手法についても詳しい。この点もありがたく感じられる。

 ぜひ『フランケンシュタイン』と併読してほしい。小説の豊かさ・解釈の豊かさが実感できるようになる。

③『文学部唯野教授』(筒井 康隆 著)岩波現代文庫

 この本は以前にも小説として紹介したのだが、今回は批評を学ぶための参考書として、この本を紹介していきたい。『文学部唯野教授』では、文学部の教授が大学生に向かって講義をするという体で、批評理論の分かりやすい解説が書かれている。

 特に、哲学を援用した批評理論に関する解説が本当に分かりやすい。ロシア・フォルマリズムも、構造主義も、記号論も何でも分からせてくれる(ような気がする)。

 ②で取り上げた『批評理論入門』と併読しておきたいところ。

まとめ

 今回は、私が小説を読むときに軸としている本を紹介してきた。今後も様々な文学理論に関する本を読んで、小説読解の軸になるような視点を増やしていきたい。

この記事が参加している募集

推薦図書

読書感想文

平素よりサポートを頂き、ありがとうございます。