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小説で「歳時記」を編んでみる~春・夏編

季節ごとに読みたくなる作家や作品がある。

この意見に共感してくださる方は多いだろう。ラインナップには個人差があるかもしれないが、季節ごとに読みたい作品を一覧にしてみるのも面白い。つまりは小説をたくさん並べて、一つの「歳時記」をつくってみると楽しいだろうと思う。

🌸春に読みたい作品🌸

〈梅の季節〉
三島由紀夫『春の雪』『近代能楽集』、ほか戯曲。
谷崎潤一郎『卍』『たで食う虫』
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』

※『春の雪』は梅と桜の開花時期の間になりそうでしょうか。

〈桜の季節〉
紫式部『源氏物語』 須賀敦子のエッセイ
谷崎潤一郎『細雪』『少将滋幹しげもとの母』
司馬遼太郎『坂の上の雲』 小林秀雄の評論
江戸川乱歩の小説 稲垣足穂『一千一秒物語』
大岡昇平『武蔵野夫人』 ナボコフの小説
クンデラ『存在の耐えられない軽さ』
澁澤龍彦『高丘親王航海記』 折口信夫『死者の書』
フローベール『ボヴァリー夫人』 泉鏡花『歌行燈うたあんどん

※平安神宮の桜が一番うつくしい。『細雪』でそう言っていた気がします。

🎏初夏に読みたい作品🎏

〈初夏〉
トルストイの小説 太宰治『晩年』 泉鏡花『草迷宮』
ブルガーコフ『巨匠とマルガリータ』
ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』
遠藤周作『死海のほとり』『留学』 安岡章太郎の小説
村上春樹『ノルウェイの森』 吉行淳之介の小説
菊池寛『恩讐の彼方に』 芥川龍之介の小説

※トルストイは初夏でしょうか。オススメは『復活』ですね。第三の新人もたいていは初夏に読みたくなります。一部例外はありますが。

☔梅雨に読みたい作品☔

〈梅雨〉
萩原朔太郎の詩 草野心平の詩 松尾芭蕉の俳句
夏目漱石の小説 岡潔のエッセイ 福永武彦『忘却の河』

※梅雨に読みたくなる小説というのは、なぜか少ないですね。むしろ韻文を読みたくなります。不思議です。

🌄夏に読みたい作品🌅

〈夏の盛り・猛暑編〉
三島由紀夫『金閣寺』『天人五衰』
大江健三郎の小説 中上健次の小説 村上龍の小説
遠藤周作『沈黙』 池澤夏樹『マシアス・ギリの失脚』
チュツオーラ『やし酒飲み』 メルヴィル『白鯨』
〈夏の盛り・冷夏編〉
古井由吉『楽天記』『仮往生伝試文』 村上春樹『海辺のカフカ』
川端康成『古都』『山の音』
ガルシア=マルケス『百年の孤独』
フォークナー『アブサロム、アブサロム!』

※暑さと湿度によって読みたい本が変ってきますね。

皆さんもぜひ作ってみてください。

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