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夏目漱石『夢十夜』感想文の目次

夏目漱石『夢十夜』感想文の目次

夏目漱石『夢十夜』に関する記事が多くなってきた。
よって、目次を作成することにした。

『夢十夜』全体に関する記事📖夏目漱石『夢十夜』読書メモ
📖夏目漱石『夢十夜』感想文のあとがき

『夢十夜』第一夜~第十夜の個別記事📖夏目漱石『夢十夜』第一夜
📖夏目漱石『夢十夜』第二夜
📖夏目漱石『夢十夜』第三夜
📖夏目漱石『夢十夜』第四夜
📖夏目漱石『夢十夜』第五夜
📖夏目漱石『夢十夜』第六夜

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📖夏目漱石『夢十夜』第九夜③

📖夏目漱石『夢十夜』第九夜③

前回は、母親が所持していた「鮫鞘の短刀」の意味と、父親が出ていった際の武器の描写の欠如を考察した。その2点の考察から、【なけなしの財産として「鮫鞘の短刀」を託した父親】と【その短刀を肌身離さず持ち歩く母親】の像が、一つの解釈として浮かび上がってきた。

だが、”数え年三つ”だった〈語り手〉については触れていなかった。そこで、今回は〈語り手〉について掘り下げてみたい。

その一環として、再度、父親が

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📖夏目漱石『夢十夜』第九夜②

📖夏目漱石『夢十夜』第九夜②

前回の記事では、第九夜の全体を3つの部分に区分けした。

そして、①父が出ていった経緯を語ったところで終わった。最初に以前のポイントを整理しておく。文中に記述があるものを「○」、本文から一歩踏み込んだ解釈を「◎」で分けた。

振り返りはここまでにして、早速続きを見ていこう。

②の範囲について律儀な方もいらっしゃるだろうから、②の範囲をはっきりとさせておく。なお、これは記事執筆者(水石)自身の定義

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📖夏目漱石『夢十夜』第九夜①

📖夏目漱石『夢十夜』第九夜①

※※ヘッド画像は 晴川やよい さまより

夏目漱石『夢十夜』第九夜は、御百度参りの話が印象的である。

〈語り手〉の母親が、〈語り手〉の父親の安全祈願に御百度参りをする。それも夜中の神社で、泣きわめく赤子(=〈語り手〉)を柱に括りつけながら。もちろん何日も同じことをしているはずだ。御百度参りというのだから、百回も参拝する必要がある。

〈語り手〉にとっても、母親にとっても、壮絶な体験であるのには違

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私の読書日記~『夢十夜』第七夜に関するボツネタ:2021/10/13

私の読書日記~『夢十夜』第七夜に関するボツネタ:2021/10/13

夏目漱石『夢十夜』第七夜にて〈語り手〉は蒸気船に乗っている。さすれば気になるのは航路のことである。漱石はどのような航路をイメージして第七夜を書いたのだろうか?――本来はそういう話をしたかったのだが、調査の結果、(私が語ったところで)退屈な話になりそうだったので、やめた。

退屈に感じた正解一応、「漱石が第七夜の着想をどこから得たのか?」、それらしい話を示しておこう。

漱石はイギリス留学に際して、

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📖夏目漱石『夢十夜』第六夜

📖夏目漱石『夢十夜』第六夜

※※ヘッド画像は Lonesome Pine さまより

第六夜は本作で最も人気のある章ではないだろうか。運慶が大木から埋っている仁王を彫りだす話である。(決して”仁王の木像を創る”話ではない。)それに触発されて、主人公も何か彫ってみるのだが、「ついに明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだと悟った。」と言って終わる。少なくとも〈語り手〉には、仁王は彫れなかったわけだ。

しかし、最後の〈語

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📖夏目漱石『夢十夜』第三夜

📖夏目漱石『夢十夜』第三夜

第三夜は盲目の青坊主を背負う話である。語り手にとっては気味が悪くて仕方ない。語り手は青坊主を背負ったまま、森の中を歩いていく。森の闇の中、ある杉の木の方へと歩いていく。石標は赤い字で行き先を示している。第三夜は『夢十夜』でも屈指の怖さを誇るのではないか。

なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。表には左り日ヶ窪、右堀田原とある。闇だのに赤い字が明らかに見えた。赤い字は井守の腹のような色であ

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