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創作小説

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創作小説を集めたマガジンです。
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#創作

夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(後編)~

夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(後編)~

前編から読む方はこちらから

【22】

『ざ、ざざざ…

コレは本当二辛いネ!

ねえ”カナちゃん”

次はどの

”悲しイ記憶”を

聴きたイ・・・?』

ココロチャンネルは
無情なほどに明るい声で
次の放送を流そうとした。

「放送を止めろ!
どこでこんなものを流しているんだ!

ここはカナの心の中なのか?
カナ、どこかにいるのか!?」

僕は叫んだ。
どこからも返事なんてなかった。

ココ

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夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(前編)~

夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(前編)~

【1】
夏休み最終日の翌日。

その日から小学四年生の娘が
不登校になった。

どうしても布団から出てこない。
学校に行きたくないのだという。

「休み前まで普通に行けてただろ。
どうして急にそうなったの?」

ネクタイを締めながら僕は妻に言う。

妻は言う。

「急じゃないよ。
ずっとそうなりそうな気がしてた。
前から言ってるじゃない。

カナは発達障害があるかもしれないって。
”普通”のクラス

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夢幻鉄道~シオン~ あとがき

夢幻鉄道~シオン~ あとがき

私の拙い書いた物語を読んでいただいた方、
ありがとうございました。

このあとがきまで読んで下さる方が
どれぐらいいるかはわかりませんが
同じ記事の中に
物語以外の文章を入れたくなかったので
こちらに書いています。

今回の物語は
西野エンタメ研究所にて
西野さんが発したひとつのテーマ
「夢幻鉄道」にて
書かせていただいています。

※小説を書いたときはエン研入っていましたが、現在はサロンメンバー

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夢幻鉄道~シオン~

夢幻鉄道~シオン~


【1】
ばあちゃんが僕の名前を
呼ばなくなってからもう1年経つ。

呼ばなくなったのは僕の名前だけじゃない。

父さんの名前も、母さんの名前もだ。

日当たりのいい縁側で
ばあちゃんはいつも静かに
死んだじいちゃんの写真と
話をしている。

【2】
僕が学校から帰ってくると
ばあちゃんは挨拶をしてくる。

「こんにちは。今日もいい天気だね。
お兄ちゃんはどこから来たの」

まるで知らない子に話し

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