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生はちみつの魅力と、加熱されたハチミツとの違い

こんにちは。大家輝です。

今日は『生はちみつの魅力』についてお話します。

私事なのですが、いつもお世話になっている大阪府高槻市の養蜂家のSANDY HONEYさんより、今年採れたはちみつのお裾分けを頂きました。実は、僕が大学時代にミツバチの研究をしていたこともあって、仲良くさせて頂いています。

SANDY HONEYさんのハチミツは、その季節に咲いてる花によって味も色も香りも変わる生はちみつです。見た目の通り雑味の一切ない味で、豊かな花の香りがするとても美味しいハチミツです。今日は、そんな生はちみつの話をしたいと思います。

▼生はちみつとは何か

最近少しずつ、生はちみつという言葉が定着してきました。

『生◯◯』という表現が流行ってることには少し疑問を感じるのですが、とはいえ、やっぱり響きがいいので僕も『生はちみつ』として良く説明したりします。

僕が思う、生はちみつの魅力はこちら。

・花の香りがするので、いろんな種類のハチミツを愉しめる
・単純にとても美味しい
・栄養価が高い

生はちみつの最大の魅力は、なんといっても花の香りと風味が愉しめることだと思っています。

蜜蜂の巣から採ったばかりのハチミツは、とても華やかな香りがします。しかも、その時々に咲いてる花の蜜によって味も香りも違うため、そこが生はちみつの愉しいところ。

例えばコーヒーは、産地や豆の種類、焙煎方法によって味や香りが大きく変わってきます。インスタントではないコーヒーが好きな人たちは、この違いを愉しみたくて、いろんなロースターを訪ねてはいろんなコーヒーや豆を買っています。

このコーヒーの世界と似たことが、実は生はちみつにもあって、産地や花の種類、季節によって、かなり味や香りが変わります。しかも、とびきり美味しくて、栄養価が高い。

その分、お値段は少し高くなってしまいますが、本当にハマってしまうので、ぜひ一度生はちみつを試してみてください。

さて、この生はちみつ。これといった定義があるワケではないですが、一般的に言われている認識としては『非加熱の純粋はちみつ』になります。

非加熱という言葉があるということは、逆に加熱されているハチミツがあるということ。

なぜ、加熱をする必要があるのか?
加熱したハチミツは、生はちみつと何が違うのか?

これにお答えするためには、どういったハチミツが世の中にあるのかをまずは説明しなければなりません。

▼いろんなハチミツの形

今、取り扱われているハチミツの定義は大きく3つあります。

【純粋はちみつ】ミツバチの作ったハチミツに何も加えていないもの。
【加糖はちみつ】水あめや人工添加糖を加えたもの。
【精製はちみつ】精製飲料水や食品加工に使いやすくなるよう、はちみつから香りや色を取り除いたもの。

加糖はちみつと精製はちみつは表記してくれていますし、普通のハチミツとの違いは分かりやすいです。

肝心の生はちみつはどこに分類されるかというと、純粋はちみつに含まれる形になります。

実は、純粋はちみつの中でも生はちみつと、そうじゃないハチミツがあって、ここがややこしいところ。

その違いが何かを一言で表すと、『加熱されているか、されていないか』が大きな違いになります。

▼生はちみつと、加熱した純粋はちみつとの違い

生はちみつは加熱されていないワケですが、じゃあハチミツを加熱した場合はどういった変化が起きるのか。以下にまとめました。

・花の香りがとぶ
・風味が損なわれる
・酵素や栄養が分解される

ハチミツを加熱することによって、花の香りや風味は損なわれてしまいます。

スーパーで陳列されているような安い純粋はちみつは加熱されていることが多く、香りと風味が乏しい分、ただただ甘さが勝ってしまっている印象です。

また、加熱をすることによって、ハチミツにある本来の栄養や酵素が分解されてしまいます。健康のためにハチミツを食べている人もいるかと思いますが、生はちみつじゃないと、どうやら効果は薄いようです。

なので、純粋にハチミツを愉しむのなら生はちみつ、料理の隠し味などに使う場合は加熱された純粋はちみつを使う、といった使い分けをオススメします。

▼ハチミツを加熱する意味

味も栄養も損なわれてしまうのに、なぜ加熱をする必要があるのか。その理由は、生産性を上げるためにあります。

加熱をすることによる生産性の向上は、以下の観点で行われています。

・ハチミツを効率よく濃縮するため
・熱を加えて、サラサラにするため

【加熱による濃縮】
加熱によって濃縮するのは、蜜の水分を飛ばして一気にとろとろのハチミツにするためです。

ミツバチが採ってきたばかりの花の蜜は非常にサラサラしています。ミツバチは、このサラサラの蜜を巣に貯蔵し、羽で一生懸命乾かすことで濃縮していきます。こうやって作り出されたものが、いわゆるハチミツになります。(本当はもう少しミツバチがいろいろ頑張っているのですが、ここでは割愛します。)

つまり、ミツバチが手間暇を惜しまず、時間をかけて作り出したのがハチミツなのです。

さて、このとろとろのハチミツが出来るまでしっかり待つとなると、かなり時間がかかってしまいます。そこで、サラサラの蜜の状態で取り出してしまい、加熱することで蜜の水分を飛ばし、濃縮していく工程が必要となります。

この工程を踏まえると、普段僕たちが目にするような、とろとろのハチミツを早く作ることができるワケです。

こうすることで、時間を大幅に減らすことができ、ハチミツの生産性をぐんと効率的にできるのです。

【熱を加えてサラサラにする】
ハチミツは非常にとろっとしています。このとろっとしたハチミツが、なんとも贅沢な気持ちにしてくれて、魅力でもあります。

でも、このとろっとした粘り気は瓶に詰める時はかなりネック。

ハチミツはいろんな不純物を取るために、フィルターにかけて濾過する必要があるのですが、ハチミツの粘り気が強いと途方もない作業になります。フィルターからハチミツが、全然落ちてくれません。

そこで、熱を加えることでハチミツを溶かして、一度サラサラにします。サラサラになれば、フィルターも簡単に通ってくれるので、作業がうんと捗ります。

このように加熱をするのは、製品をつくる上で、生産性を飛躍的に上げる重要な工程であることは間違いありません。

生産性が上がれば、それだけたくさんのハチミツ作ることができ、安く国民のみなさんにお届けすることができます。

これはこれでとても助かっていますので、加熱することが必ずしも悪というわけではない、というのが僕の考えです。

▼ぜひ生はちみつを食べてみてください

こういった理由で、スーパーに並ぶようなハチミツは、ほとんどが加熱されている場合が多いです。それほど、生はちみつは非常に手間と時間がかかっていて、大量生産には向いていません。

なので、生はちみつはどうしても値段が高くなります。が、まずは一度ぜひ食べてみてもらいたい。それだけ、生はちみつには価値があります。

生はちみつは、花の香りと風味がそのまま愉しめるハチミツです。なので、花の種類が変われば、そのハチミツは驚くほど違う味と香りになります。これがまた本当に愉しい。

その年の、その季節に咲いてる花の味と香りを食べられる生はちみつは、その時期しか味わえない特別感を与えてくれます。そして何よりも、やっぱり美味しい。

ぜひ、みなさんにも食べてみて頂いて、この生はちみつの愉しさと美味しさを体感して頂ければと思います。

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本日は以上です。
ここまで読んで頂いた方、本当にいつもありがとうございます。
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