白饅頭日誌:8月28日「お気持ち優先社会はAIによって終焉する」
7月に行われた都知事選において、当落を争う重要候補——とまではいかなかったものの、SNS上で大きな注目と支持を集めていた候補者のひとりがエンジニアで起業家で小説家でもある安野貴博氏だった。
選挙期間中にも断続的に追加・更新される公約や、最新のIT技術・AI技術を駆使した選挙戦略は若い層を中心に大きな注目を集め、マスメディアの露出がほとんどなかったいわゆる「泡沫候補」としては異例の得票数を得ていた。自身が今回の選挙で用いた手法やツールはすべて公開し、今後の日本の議会民主主義そのものをアップデートさせようとしている。
非難する向きは一切ないが今回の都知事選で小池百合子氏を破って当選する確率は正直言ってかぎりなくゼロだった。むしろそのことは当安野氏も承知していただろう。とはいえ政治・行政の手続きや方法論にはまだまだ大幅に改善の余地があることを十分に知らしめたのは大きな成果だといえる。
根っからのエンジニア気質がそうさせるのか、純粋に「政策をつくる」よりも「政策をつくる仕組みをつくる」ほうに関心が強いように見えるので、安野氏自身はどちらかというと政治家よりも、政治家の背後にいる政策立案者向けの人材である。おそらく彼のような優秀なアーキテクトを政策ブレーンとして迎え入れたいと動き始める政治家・政党は今後いくらでも現れるだろう。いやもうすでに現れているかもしれない。
かりに安野氏がこれから政治家としての席を得ることはなかったとしても、氏を政策ブレーンとして重用するだれかによって将来的に氏のマニフェストや構想は少しずつ実現されていくのではないだろうか。次世代の政治的改革者はもしかしたら必ずしも議席を必要としないのかもしれない。
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私は個人的に安野氏を好意的に見ておりなおかつ支持もしていたが、しかしながら、それとは別にかなり気になるポイントがあった。
というのも、安野氏がAIを駆使して行った選挙戦の経過やその特色は東京新聞でも取材されていたのだが、そこでかなり瞠目に値するというか、引っ掛かりを覚える記述があったのだ。
その記述とはすなわち――
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