ティーヌ

インスタグラムの、つぶつぶした何かを手でむにむにしている動画について相談できる友達が欲…

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インスタグラムの、つぶつぶした何かを手でむにむにしている動画について相談できる友達が欲しいです。ガスバーナーで燃やす動画と、プレス機の動画が割と好きです。プルプルしている動画は苦手です。ブログ… http://hebinikki.blogspot.jp

マガジン

  • 賞に落ちたものたち

    タイトル通り、文学賞に応募して、結果が届いた作品。

最近の記事

ちょっとした過労死

私は、水面を見ていた。 水の表面のでこぼこが、ふよふよと左右に動いて、消えて、また現れる様子を見ていた。 5年前の私も、今と同じ川の方向を向いていたかもしれないが、 その時は、魚や鴨を探していたり、 自分の中に確かにある悲しみを思い出していたりしたような気がする。 今、私は、水を見ている。 私は、紙面を見ていた。 繊維がインクを吸って黒くなっているところや、繰り返される透かし模様を見ていた。 5年前の私も、今と同じ紙を持っていたかもしれないが、 その時は、紙に書いている日付

    • 何回めかの句会

      東京は草餅が小さいまちよ 火曜日の有給届け花水木 しゃぼん玉こんなに小さかったかな 筍を煮る鍋がない午前2時 #俳句 #句会

      • 4回目の句会

        冬座敷まだ送れないアイミスユー 生煮えの鍋焼きうどん非常ベル 年の内湯気の向こうで泣く友よ #俳句 #句会

        • Lesson 1

          It took a long time You may feel like commiting a crime Nobody could find something new For 7 years they misunderstood you You had lost a lot of blood Yesterday it caused a flood After that the earth got clear You feel you can stay here Don

        ちょっとした過労死

        マガジン

        • 賞に落ちたものたち
          4本

        記事

          4回目の句会

          新涼の風が吹きこむピアス穴 琺瑯の欠けた湯船や涼新た 塩を買う腕の白さよ秋涼し 秋涼し革靴磨く爪の黒 枝豆は何を夢見る冷凍庫 曲がり角髪の毛濡らす木槿かな 天を見る木槿、人の子、クレーン車 盆休み英語教師の声高く 相槌と枝豆が織りなすリズム 星逢う夜お揃いの皿ひとつ破棄 #俳句 #枝豆 #初秋 #木槿 #新涼

          4回目の句会

          いつものようにバス出発の8分前、 濡れた髪を絞り出かけようとしたら、 そんなあたまで外に出たらダメだよと言う 美容師の声がした。 ああ昨晩はこの人を泊めたんだっけと思い出しているうちに 私はすとんと椅子に座わらされ 優しい風といくつかの指が、頭皮を軽やかに撫でている。 私の輪郭をなぞるように そっとマニキュアが拭き取られてゆく間、 私は指先から伝わる燃えるような体温を味わっていた。 その人は、 冷たいタオルで私の足を拭いたあと 服を脱がせた。 太陽は遠くからジリジリと私の眼を

          3回目の句会

          6月22日、雨が降る夏至の日に、3回目の句会。 我々は夏至について理解が足りないとか、実感のない季語についての有意義なお話。 黒髪がひかるサイゴンの夕立 三足の濡れた靴干す夏至の夜 さよならとグラスの底の麦酒かな ふとももに椅子の跡見る夏至の午後 ビール瓶の汗でふやけた指なめる #俳句 #句会

          3回目の句会

          2回目の句会

          4月26日、人生2回目の句会は兼題「春の宵」。今の季節のこの瞬間を言葉にしておかなければという緊張感は、気持ちが良いです。 物陰の猫と目が合う春の宵 はじめてのドリップコーヒー春の宵 みなさんにいろいろ直されて→ 四月馬鹿浮かれる犬と向かい風 #俳句 #句会

          2回目の句会

          忘却

          ユリの花が怖くなくなったのは、いつからだろうか。 小さいときから、ずっと、不気味で、傷つけられそうで、怖かったんだ。 それがいつの間にか、見慣れた花になってしまった。 良い思い出などなく、贈られたこともなく、ただ、月日が経っただけだ。 だんだん視力が悪くなるように、私はこうやって、何かを怖がることを忘れるのだろうか。 子どもの頃、母に連れて行かれた家ではじめて見た、自分顔より大きな花。 噛みつかれてしまうのではないかと思って、私はそれから目を離せなかった。 新しい家のビニ

          句会デビュー

          2017年に華麗なる句会デビュー ……のはずが、季語を2つ使っちゃいけないというルールを知らず撃沈。 (提出したやつ) 集まりて手袋濡らす雪の子よ おふとんの中で聞きいる雪のおと セーターの毛玉が目立つ春近し (整わなかったメモ) 寝ているときは 可愛いんだから 早く寝なさい 街の人は 誰も知らない 大きな虫歯 #俳句 #句会

          句会デビュー

          闇の中で

          冷たい部屋に、ぷつん、とアルミ箔がやぶれる音が響く。 これは、よく眠れる薬。夢を、見ないようにする薬。 ぷつん、ぷつん。 これは、不安を抑える薬。生きる恐怖を、消してくれる薬。 ぷつん。 これは、排卵をとめる薬。生まれ持った女体を管理する薬。 ぷつん、ぷつん、ぷつん。 これは、左目の下にできたシミを消す薬。死に向かう身体を、少しとどめてくれる薬。 ------------ 二人分の温もりが残るベッドの中で、彼女がかさかさと薬箱をいじる音を、聞く。 プラスチックの薬のシ

          賛歌

          いつも通り定時の五時半に、私は席を立った。周囲の人に気づかれないように、細心の注意を払う。ジャケットを小さく丸めて鞄にしまい、いつも給湯室に置いて帰るマグカップを、大げさに両手で高く持つ。まるで喉が渇いたので、ちょっと飲み水をくみに行く人に見えるように。両脇をぴったり閉めて、なるべく自分の体積を小さくした。 よく考えれば、私は、誰にも侵されない定時で帰る権利を持っているし、いつもこの時間に帰っているので、会社の人たちは、私が今帰ったとしても別段驚くことは何もないのだ。時間短

          正夢

           ひどい夢で目がさめた。端的に言うと、夢の中で、最近入ってきた若い派遣社員を押し倒してしまった。あってはいけない夢だ。いけないという理由は、私はその人のことをうざったく思っていたし、まったく好意など抱いていない。何よりも、彼女は女だ。私も女だ。夢のでの行為は合意だったのか、それを思い出すのも辛かった。  いつもより30分も長く布団の中に居座っている。とうに始業時間に間に合う最後の電車は行ってしまった後だ。上司になんと言い訳しようか、いや、それどころではない。私は、私はいま、

          関係の終わり

          キヨちゃん、昨日はごめんね。 無理に私の実家に行こうって言って。。。こんなことになるとは思わなかった。 私のお母さんとお父さんがしたことは、本当に恥ずかしいことだし、 すごくキヨちゃんを傷つけたと思う。私も傷ついた。 本当はキヨちゃんから聞きたかった。ごめんなさい。びっくりして、言葉が見つからない。。。 キヨちゃんが帰った後、お母さんとお父さんと大げんかしました。 「全部、あかりのためだ」って言われて、全然話通じなくて、結局全員泣きました。 でも、生まれとか、ど

          関係の終わり

          卒業旅行

           彼女と初めての海外旅行は、台湾だった。  付き合って2年記念の旅行でもあり、大学の卒業旅行でもあり、私たちの関係が続かないということが決定的になった旅行だった。  4年前、私たちは同じ大学の同じ学部に入り、中国語を履修していた。最初の授業でクラス全員と連絡先を交換した時から、お互いに意識していたと思う。私は彼女の連絡先を知りたくて、メールグループのリーダーになった。彼女のメールアドレスが書かれたルーズリーフの切れ端を、私はずっと財布に入れて持ち歩いていた。  私は、去

          今日見た夢の話

          家では恋人が私の帰りを待っているとわかっていながら、 今わたしは、別の恋人と一緒に電車に乗っている。 一緒に住んでいる恋人はもう4年ぐらいの付き合い。お互いのお遊びぐらいは許していた。 目の前にいる彼女とは、数回デートしただけだけど、 私はもう心の底から彼女を愛していた。 今日も一緒にたくさんお酒を飲んで、仲間たちとはしゃいで、大きな声で笑いあった。 火照った指先で、彼女の長い髪を何度もなでた。 ここで降りるね。 そう言って、小さな体を浮かせた彼女の陰から、マタニティ

          今日見た夢の話