『考えないヒント アイデアはこうして生まれる(著:小山薫堂)〜『おくりびと』、『くまモン』の産みの親のアイデアの作り方
【内容】
映画『おくりびと』の脚本や、ゆるキャラの『くまモン」を作った人として知られる放送作家、脚本家の小山薫堂によるアイデアの出し方についての本。
【感想】
18年前の本ですが、今でも応用できる内容が多く含まれていると感じました。書かれている内容の一部は、以前観たテレビ番組で紹介されていたこともありましたが、それ以外にもさまざまな話が紹介されていました。
とはいえ今読むと、当時は新しくて面白かったアイデアも、現代では実行が難しいものが多いかもしれないとも感じました。例えば、社員の誕生日にサプライズを仕掛けるという企画は、今の若い世代には敬遠されるかもしれません。また、この本が書かれた2006年は、テレビ局や雑誌がまだ元気で、景気も良かった時代だなと感じさせます。さらに「楽しむことが大切」という主張は、フジテレビ的な「楽しくなくっちゃテレビじゃない」という価値観を思い起こさせました。
印象的だったのは、20代の頃に父親に頼んでフェラーリに乗るために1000万円を借りたというエピソードです。その後、フェラーリを通じて普段は接することのない世界を垣間見たり、新たな交友関係を築けたという展開に、なるほど、そういう人なのだなと思いました。
著者は、仕事を2種類に分けて考えているそうです。
1つ目は、お金にならないけれど、少しマニアックで評価する人は限られてくるけれど、一部の人には高い支持をされ、新たな世界や人間関係を得て、次の仕事につながっていったりする仕事。
2つ目は、幅広い人にアピールするお金になる仕事。
そこら辺の2種類の仕事を意図的に組み合わせることで、より大きなフィールドの仕事ができるようになっていっているとのことでした。
そんな仕事の仕方の延長線上に、その後のより大きな繋がっていったのだと思いました。
本の中で執筆している脚本についても触れられていますが、時期的に考えると、2008年にアカデミー賞を受賞した『おくりびと』の脚本のことを指しているのかなと思いました。さらに、2010年に誕生した熊本のゆるキャラ『くまモン』も彼が手掛けたものであり、この本が書かれた後にも、より大きな仕事をした人なのだと思ったりしました。
まあ、この本自体が、自らが企画した企画の作り方に関するテレビ番組に自ら出演したことから、出版社から声が掛かり、出版することになったということですし…
https://www.amazon.co.jp/考えないヒント-アイデアはこうして生まれる-幻冬舎新書-こ-2-1/dp/4344980069?nodl=1&dplnkId=19cdd049-9496-4c9b-93ff-c6b1163b7af8