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『三体II 黒暗森林 上・下』(劉慈欣 著)

【内容】
世界的ベストセラーSF小説『三体』の続編。

地球よりも遙かに進んだ文明を持つ三体星人の艦隊が、450年後に地球侵略へとやって来る。
三体文明は、人類の科学の進化を阻止するため、『智子(ソフォン)』を送り込む。
(智子は人類を監視し、技術開発の妨害をするために作られたもので、基礎研究の実験結果を妨害することで、人類の科学の進歩を阻止するというもの。)
地球における技術の飛躍的進歩が見込めず、情報が三体サイドに流れることを鑑みて、地球政府は全世界から4人のメンバーを選出することとなる。4人は地球を侵略から守るため、巨大な権力を与え、誰にも考えを話すことなく、行動を起こすが出来ることになり、様々な対策をうっていくこととなるのだが…


【感想】
冒頭に書いていて、宇宙から侵略者の対抗するために云々と内容を書き出していたら、物凄く馬鹿ぽいことを真面目に説明しているような気持ちになってきました。
科学的知識や設定の緻密さなどは、しっかりとしたSF小説として書かれているので、読んでいる分にはそんなに感じなかったのですが…
自分がなんか子供の頃によくあったUFOに関する子供向けの本や、テレビでやっていたUFOについての特番など観たりした影響で、ある種懐かしい馴染み深い題材だなあと…

宇宙人の技術力が凄すぎて、ちっこい兵器で地球の宇宙艦隊がボロボロにされるとか…
宇宙人が送ってきた凄い小さい機械で、人間社会を監視するだとか…
地球のことは宇宙人には筒抜けだから、凄え奴が黙って色んなことを変えて宇宙人をやっつけるとか…

中二病ならぬ小学生の頃に、駄目な感じで小学生男子同士で、そんな話したことを思い出したりしました。

「そんな小さくて凄いスパイする機械なんて出来る訳ないじゃん」
「そんなの宇宙人の持つ滅茶苦茶凄い技術力があれば出来るんですーーーぅ」
「はー、そんな訳ないだろ」

「小さなメカで、地球のすっごい戦艦、全滅できる訳ないじゃん」
「宇宙人の技術は、地球の技術なんかより、ずーっとずーっとすんごいから、一瞬でドッカーンってやっつけちゃうんだよ」
「こっちはガンダムいるから、絶対負けないもんね」
「ガンダムなんて一瞬で、ドッカーンってやられちゃうよ、だって宇宙人の凄いメカだから」
「そんなの狡いぞ」
と、なんなら軽い喧嘩になる…

そうした小学生的な妄想も、キッチリとしたSF小説にすると、大人も楽しめる大作になるんだなあと…


最後に地球側の知恵で、勝敗を引っくり返すSF的アイデアも、唸らされるものがありました。
三体文明の存在そのものが、この展開への振りになっているという…
改めて内容を思い返してみると、この話って一休さんや御伽話などで出てくる寓話的な物語の面が強い話だと思いました。


しかし、長い物語ですが、色んなアイデアや展開が詰まっていて、滅茶苦茶情報量が多く濃い物語だと感じました。


https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000014554

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