YuichiroMori(てんそるたん)

産総研ポスドク。21年3月、博士(理学)(東京大学)

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産総研ポスドク。21年3月、博士(理学)(東京大学)

最近の記事

人の話がわからない

「もっと人の話を聞いたほうがいいよ」そう最初に言われたのはいつごろだろうか。もう10年はすぎている。いや、20年すぎているかもしれない。 真剣に聞いている。そして、理解しようとしても、理解した時にはもう完全に置いてけぼりになっているのだ。そう、人の話を聞いて理解できない。とてもじゃないが、間に合わない。 いつも、蚊帳の外。ついていけない。まるでわからない。その孤独に苛まれてきた。だから、人がたくさんいる時間というのは、私にとっては孤独な時間でしかない。まるで矛盾しているよ

    • 親の気持ちと子の重圧

      今度の2月に30歳になる。自分がもはや若者という立場ではなくおっさんという立場になってきていることについては実年齢にとどまらず、体の変化等も含めて、強く感じざるを得ないし、私が私の父親の33歳の時の子であるという事実を思い出せば、自分自身が生まれた時の父親の立場にほとんどなっているような年齢なのだと、そういう事実とも向き合うことが増えてきた。 子どもを持つべきか否か、ということの答えはかつての私は即答でNoだった。そもそも生まれてきてよかったのかどうかという問いについてさえ

      • テストのカンニング

        テストでカンニングをしたことがある。 古い話でいつだったか正確には覚えていないが、たしか小学校の2年生だったとおもう。漢字ドリルを十分に解いてなくて自分の中では抜き打ち的にやられたテストだったので自信が持てず、答えを見てしまえ、という発想で机の中のドリルを見て解いたのである。 このテストのカンニング事案だが、テスト中に先生にバレてしまった。で、その時に先生が行った懲罰と、それに対する私の反応が今回の主題。 先生は怒り、そして、恥ずかしい思いをさせることで今後カンニングを

        • 怒りは覚える人間だが

          家庭教師、塾講師といった経験の中で、「森さんは怒らないですよね」と言われたことが何度かある。話を聞くと、丁寧に説明をして行っても相手がそれを理解しない時に怒ることが少なからず発生するのだという。なんならこれについて「才能」とまで言われたことがある。 これについてだが、私は全く才能とは思っていない。というかむしろ私自身は怒りっぽい人間でして、言うことを聞かない輩に対して、自分の思い通りにならない存在に対しては常にイライラする人間であるとさえ思う。のではあるが、生徒に対しての授

        人の話がわからない

          三角関数か金融経済か

          日本維新の会の藤巻 健太議員の発言が話題になっている。 Twitter上の、私から見える範囲の人たちは概してこの発言に対して批判的な見解を示している。ただ、このようなTwitter上の正論的批判は概して「お前何様だ」批判によって逆に元の主張を通させるような展開になりがちで、もっと冷静になるべきだという感覚を覚える。 ここで予め立場を述べておくと、私の立場は藤巻氏の発言については、どのようにして金融経済教育の厚みを増すかの方法論については反対ながら、金融経済教育の厚みを増す

          三角関数か金融経済か

          教育コスト

          教育コストを投資を受ける側から、投資を自分が行う立場へと遷移しつつある、(正確にはそう信じている)、今になると、教育コストへの考え方はどうあるべきか悩ましくなった。 本来投資を受ける対象というものはより高額な投資を受けるのが「勝ち」なのだろうが、私自身元々コストパフォーマンスの高さとその生徒の優秀さが直結しやすい(例:「塾も行かないで〇〇高校、〇〇大学に行った」は生徒の優秀さを感じさせる)こともあって、優秀さの評価を受けたい気持ちが先行した結果、コストパフォーマンスは高い方

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          茨城県進学校事情2022〜中高一貫時代への展望〜

          大学合格実績は進学校の事情を見る上では非常に使いやすい指標である。茨城県では中高一貫校を大量整備したが、それによって生じる変化は予見しきれないものがあり、それによる影響を不安に思っている市民も少なくないだろう。 中学生と高校生ではやはり成長した高校生の方が長距離通学を家庭が認めやすいだろうということを考えれば、やはり中学受験が普及すれば、わずかながらやや進学実績が分散するのではないか、というのが私の見通しである。今までの茨城県は集約と分散を同時に進めてきた。どういうことかと

          茨城県進学校事情2022〜中高一貫時代への展望〜

          「先生のいない科学講座」の可能性

          私も30歳に近づいており、子供の頃の経験と現在というものの齟齬を少しずつ感じることが増えてきた。とはいえ、科学教室の典型的パターンを想像すると、やはり「先生」にあたる人がいて、その人が何か決められたテーマについての科学の知見を教え、受講者はその人の教える知識を受け取るというスタイルが通常であり、講師も生徒も特に断りがない限りは、その前提でそのイベントに来るし、その前提でイベントが進むのではないだろうか。 ただ、このスタイルとは別の方向性を志向するケースも少なからずある。例え

          「先生のいない科学講座」の可能性

          5W1Hとはいうが

          5W1H、すなわち、what(目的格。何を), why, when, where, who, howという6つの疑問詞は状況を把握し、説明する際には便利な道具である。ただ、使い方には気をつけたい。 単刀直入にいうと、これらの疑問詞は文を構成するパーツとなっているため、基本的にこれらの具体的なターゲットを決めていくと、それに対応した一文が書けるはずなのである。 実際、 「私は音楽が好きなので、毎日自宅でピアノを演奏することを楽しみにしている。」 といった具合で、一文に収めら

          愛知県学校群制度の顛末

          学校群というものはもはや過去のものであり、今更それをまとめてもどうするというところではあるが、しかし一方で、ネット上で集められるような資料には当時の状況と現在の状況の違いを踏まえていない記述など、誤りや疑問を持たせる記述が大半であるように思われ、調べれば調べるほどに見えてくるものがあるだけに、やはりまとめておきたくなったのである。 学校群制度前史〜戦後改革に由来する問題から〜 戦後行われた教育の民主化政策の中で、中等教育の分野は戦前の男子5年制の「中学校」、その女子版の「

          愛知県学校群制度の顛末

          「勉強したら負け」という雰囲気がもたらしたもの

          高校に行って感じた雰囲気である。文字通り、「勉強したら負け」である。勉強せずにふざけ倒しながら最後にいい結果を出す、それが最高なのだという雰囲気である。 共通テスト殺人未遂事件の犯人がどうも私が高校受験で受けた東海高校の生徒らしいこともあって気になってしまうこともあり、週刊誌等に記事が載るとついみてしまい、それらを通じて内実が色々と見えてしまったのだけれども、その一つの記事(女性セブン)によれば「ふざけまくっているのにいい成績をとっている周りが許せなかったのではないか」など

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          とある地域性の話(1)

          とあるものの分布を調べてみた。 最初はこのマークの種類は区別を考えなくて良い。色やマーク形状に違いがあるが、それほど特に気にしないで考えてもらいたい。めちゃくちゃたくさんあるが、東京から見た時、妙に少ない方面がある。TXと国道4号沿い、北東方面が妙に過疎な状態になっている.これは一体なんだろうか。 別の都市でも同じものを作ることができるのでみてみよう。

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          とある地域性の話(1)

          茨城県西ぶっちゃけ座談会出演後記1-塾なし東大生の経緯-

          さる7/3にこんなものに出ました。 https://five-for-earth.com/kodomomirai/zadankai2 出る以前から諸々について思い出しては悩み、そして何を話すか迷いに迷ったが、最後は司会者と他のパネリストの発言と全体の時間が不要なものを適切に除去してくれたと思う。 もともと今回の座談会のメンバーに私が入った時点でおそらく運営側の意図にあったのは、「塾なしでどうやったの?」というようなところだったのではないかと思う。だから、その話をほとんど

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          茨城県西ぶっちゃけ座談会出演後記1-塾なし東大生の経緯-

          茨城県西中学受験ぶっちゃけ座談会出演後記2-進学実績を読む-

          さる7/3にこんなものに出ました。 出る以前から諸々について思い出しては悩み、そして何を話すか迷いに迷ったが、最後は司会者と他のパネリストの発言と全体の時間が不要なものを適切に除去してくれたと思う。 結局のところ、 ・本人の精神を害してまで行うものではなく、撤退可能であることを認識すべき。 ・そもそも、続く3年ないし6年の環境の選択を目的に行うものであり、そこの最適化のための一環として取り組むべきことに取り組む必要がある。 ・環境選択は中学に限らず、高校での選択という観点

          茨城県西中学受験ぶっちゃけ座談会出演後記2-進学実績を読む-

          茨城県の高校事情机上調査編

          茨城県西中学受験ぶっちゃけ座談会のパネリストとなることが決まったことと、近頃家庭教師をしていることなどから茨城県の高校事情について話には色々と聞いたものの、実際のところどうなのか気になったこともあって、ついには自分なりに調べ上げた。せっかくなのでそれを公開する。 もっとも、これは実際の受験生目線の情報ソースを利用してい(でき)ないことや、その親向きの内容でもないので、現実に受験する際の調査では実際の学校の資料や、塾などが調べている資料などを当たって欲しい。 以下の内容は全

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          理屈は分かれど実践に困る話

          「原価を考えたらこの値段設定なのはわかるけど...」 とあるグッズを作って、自分で作った商品を売っている知り合いに対して、別の知り合い(とある経営者)が言っていたコメントである。

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