5W1Hとはいうが

5W1H、すなわち、what(目的格。何を), why, when, where, who, howという6つの疑問詞は状況を把握し、説明する際には便利な道具である。ただ、使い方には気をつけたい。

単刀直入にいうと、これらの疑問詞は文を構成するパーツとなっているため、基本的にこれらの具体的なターゲットを決めていくと、それに対応した一文が書けるはずなのである。

実際、
「私は音楽が好きなので、毎日自宅でピアノを演奏することを楽しみにしている。」
といった具合で、一文に収められる。実はそのせいで、どうしても一文で書けるような状況の描写が発生してくる。

では、次のような形で5W1Hを埋めたら物事を正しく理解できるだろうか?
What:アメリカ軍、日本軍、日本占領地域、太平洋諸国
Why:アメリカが日本の経済基盤を潰しにかかってきた、日本が侵略行為を重ねた
When:1940年代
Where:太平洋とアジア
Who:アメリカ、日本
How:軍による攻撃と破壊

第二次世界大戦を日本側の立場とアメリカ側の立場で同時に主張したいことを考えて、それに合わせて下記ならべてみたものだ。このような記述をしてしまうと、「1940年代、アメリカが日本の経済基盤を潰しにかかってきたので、アメリカは軍事行動によって太平洋とアジア地域で日本軍を攻撃、破壊した」などとつなげることが理屈上可能になる。無論、これではアメリカが好き勝手やってるだけという文になる。ちょっと変だろう。

何がおかしいのかというと、日本側とアメリカ側の視点を交差させているのである。つまり、日本側の説明をするために書いた情報と、アメリカ側の説明をするために書いた情報を間違えて組み合わせているのである。このように、情報の組み合わせを考えると齟齬が生じてしまう。

どうすればよかったかというと、組み合わせ方に制限をつければ良い。すなわち、whatに選んだものに合わせて、whenやwhoを作っていく、そういう具合であろう。それで状況を網羅できない時は、また最初から別の候補を考えるのがいいだろう。

状況が複雑な場合、特に視点が複数ある場合には、一度視点ごとに説明し、状況を整理するというのがやはり妥当な考え方なのではないだろうか、と。その意味で、やはり伝えたいことそのものを細かくみて、その対象に適した文を多数練り上げて並べていくことを前提に置いて、そうした文の一つ一つを正しく書き上げるための要素として捉えるのがいいのではないか。

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