非事業会社から事業会社へ転職するための3つのポイント

リアルです。
システム開発を受けて自社で開発する。もしくは人材を派遣する。webページのデザインを受けて作る。キャンペーンを企画する。主にITやインターネットに関する分野で顧客から仕事を受けるビジネスを「代理店側」と呼ぶことが多い。他には受託開発会社、制作会社などとも言われる。これらをまとめて「非事業会社」とここでは記載する。その逆で、自社で何かのシステムやWebサービスを展開する会社を「事業会社」と呼ぶ。多くの人材紹介会社のコンサルタントは「事業会社側にいきたい」というこうした方々の転職理由を聞き、「またこのパターンか、、、」と思ったことがあるに違いない。私も10人このキャリアの方に会えば、9人の転職理由は同じである。

非事業会社の良さ

さまざまな顧客から仕事を依頼されるため、多くの経験がつめることが最も良い点。更にそこに付随して、普通に仕事をしていれば出会えない、興味があまりない領域のプロジェクトに触れて、自分の新たな好みや可能性に気づける。また、プロジェクトの種類が多いのであきない。会社としての実績が多数あるので、どうすればどのくらいの反応があるか、ノウハウが溜まりやすいこともある。最新のテクノロジーに触れられる可能性、少し古いが基礎となる技術を学べる点など多くのメリットが存在する。

もちろん何か成果物を作るだけでなく、作る人の育成をするキャリアもつめる。プロジェクトベースのマネジメントなのか、育成や評価をする立場の純粋なマネジメントなのかで評価は変わる。次の転職先が、案件をガシガシ回して欲しいなら、プロジェクトベースのマネジメントが評価される。一方で、組織づくりを期待されるなら、後者のマネジメントスタイルが評価される。そしてプロジェクトがゼロから作ったものか、大幅リニューアルかなどいくつかの要素で評価は変わる。また、最近は企業のホームページやキャンペーンページの制作や開発実績よりも、動的なサイトが求められる傾向が圧倒的に多い。

例えば、化粧品メーカーの企業ホームページよりも、ECサイトでの実績への評価が高い。自社サイト内で企画するキャンペーンなどでアクセス数が大きく変わるようなサイトの経験が重宝される。また、成果物を作るだけでなく、成果物を売りにいく現場に出ることもある。顧客の声を直接聞けることは、コミュニケーション能力を高める上でもプラスである。更に、要望にあったものをつくり評価された時のやりがいも大きい。

事業会社になぜ行きたい?


事業会社の定義は、自社サービスを展開している会社である。自分たちでインターネット事業を営む会社。例えば、口コミサイトやニュースサイト、ECサイトなど。代理店や制作会社や開発会社に発注する側である。なぜ事業会社側でない人が事業会社側に行きたいと思うか?その最も大きな理由を挙げるとすると3つある。

1つ目は、自分でサービスを育てたいという思いである。どうしても、顧客の依頼を受ける仕事は顧客の発注度合いに応じてしかそのサービスに関われない。また、あくまで事業会社の生み出したサービスを陰ながら支える立場であり、自分のサービスという思いは持つことができない。2つ目は、それに付随してPDCAをきちんと回したいという思いである。サービスのプロダクトライフサイクルのなかで一瞬しか関われないのではなく、ゼロから会員数が100万人になるまで関わった、という実績を求めている。その過程で自ら考えて企画して生み出したものが、結果どういう成果を生み、成功し、失敗し、成長させてきたか勝たれるようなキャリアをつみたい。最後に、事業会社側でなければ細かなデータを見ることができないことである。2つ目にも関わるが、発注者側がすべてのデータを持っているが、仕事を受ける側は当然その一部しか教えてもらえない。結果、自分が関わったものがどういう成果があったか数値で把握することが難しい。この3点すべてに言えるのは、「成長実感・成果実感への飢え」だと思う。

非事業会社から事業会社に転職するには


まず最初に、非事業会社から事業会社へ行くハードルが非常に高いことを認識しておく必要がある。なぜなら事業会社の応募資格には「自社サービスにおける経験があること」という記載が非常に多いからである。この時点で非事業会社の人は不合格となってしまう。ここで事業会社側の採用担当となったつもりで考えてみてほしい。現場から依頼があり求人票を作成するわけだが、現場は当然、理想を話す。なぜ「自社サービスにおける経験」を求めるのか?それは先ほど伝えた3つができないと思われているからである。つまり、1)自分のサービスへの思い、2)一定期間そのサービスを育ててきた実績、3)定量定性でそのサービスを見てきた経験の3つである。では、非事業会社の人はどうすればいいのか?

「事業会社での経験」と「非事業会社の経験」とのあいだには、「事業会社にいるが事業会社としての仕事を全うしていない人」と「非事業会社ではあるが事業会社並みの仕事をしている人」が存在する。もしあなたがこの後者であれば、それを証明できるように職務経歴書で表現する必要がある。例えば分かりやすくするために、あなたが非事業会社、発注をしてくれている事業会社を大手インターネット企業のR社としよう。

このR社から、他の取引先と比較して最も長い取引をあなたはしてもらっている。そして通常より多くのデータを共有してもらっていて、通常外部の人は参加させてもらえない定例会議にも同席。長年の取引があるため、R社から信頼を得ており、そもそもどういうサービスにしたら良いかの企画から入っている。自分が行った仕事の成果として、今まで別の取引先が向上させられなかったCVRを、企画段階から入り1年で昨対比120%目標のところを145%で大幅に達成した。そのことでR社から表彰され、R社に関わるプロジェクトチームは当初2名から1年で10名に増えており、その責任者をしている。もしこのような職務経歴書が書ければ、あなたは事業会社側ではないとしても、事業会社と非常に近く、評価される仕事をしている。今もしこうした職務経歴書が書けるレベルに無いと思う人は、是非3つの点を意識してほしい。

上記の例でそのまま話すと、1つ目は、R社との距離感が他社と比べて近いか?近くするにはどうすれば良いか?2つ目は、少しでも多くの数字を拾えているか?例えばDL数は教えてもらえないのであれば、昨対比や過去の発注企業の実績(前に依頼した会社は依頼に対して80%しか達成しなかった、など)を少しでも聞くこと。3つ目は、どういう課題に対してあなたは何を考え、提案したか。そして、それらを必ずメモしておくことである。

非事業会社が決して悪いわけではなく、非常に良い経験がつめるし、実際に私の友人も、いろいろな仕事ができることが楽しいと、長く続けている人も多い。一方で転職者には、非事業会社から事業会社にいきたい人も多い。もし今、もしくは近い将来そういうキャリアを検討することがあった際の備えになれば幸いである。


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