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自転車は空を飛ばない 一般市民の民事裁判初体験記

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小さな事故が事件になって、そして訴訟になるまでとなってから。
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#裁判

出るとこ出ますよ(8) 第4回期日 法廷決戦・当事者尋問(1) 一般市民の民事裁判初体験記【29】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 原告の私と被告のY氏ははじめて直接、法廷で対峙することとなりました。いよいよ雌雄を決する最終決戦のはじまりです。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年7月23日 第4回期日 当事者尋問 法廷はテレビドラマで出て来る法廷シーンのあの風景通りであった。 中央に裁判官が座り、その前に書記官が座っている。裁判官から見て、右側が原告席。左側が被告席。原告と被告は向き合う形になっている。 傍聴席には三人が座っていた。妻と娘と義母である。そう、K弁護 士と対

出るとこ出ますよ(7) 和解交渉決裂後の第3回期日 一般市民の民事 裁判初体験記【28】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 事態は裁判官の要請により行われた原告・被告弁護士同士による和解交渉は決裂となりました。そこで迎えた第3回期日の日がやって来ました。 前回のつづき・・・ 2018(平成30)年5月28日 第3回期日 この日は原告・被告双方弁護士出頭。原告よりは、協議の結果、和解による結論は難しいとの結論に至ったことを陳述。被告からは判決を求めるとの考えが陳述された。 裁判官はこれにて結審とするかと思いきや、原告・被告双方当事者尋問を行うとなった。  なんと私は、隣人と

出るとこ出ますよ(6) 和解交渉 一般市民の民事裁判初体験記【27】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 事態は裁判官の要請により、原告・被告弁護士同士による和解交渉となりました。 前回のつづき・・・  弁護士同士の和解交渉がはじまった。交渉であるから、お互いに折り合えるところは折り合わないと、まとまらない。  当方は、和解金は、104,220円でよいとした。支払い遅延の年5分云々の損害金も2万円の弁護士費用の請求はなしとした。ちなみに、今回訴訟でも、車を修理中、車が使えなかったことの損害について当方は請求をしていなかった。私と妻が、重視したのは同時に締結

出るとこ出ますよ(5) 第2回期日 一般市民の民事裁判初体験記【26】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 ボールを投げて、投げ返されて。双方1回ずつやって、第2回戦となりました。当方は、物証の検証も加えて、主張の論理を厚くして臨みました。相手方の出方はいかに!? 前回のつづき・・・  2018(平成30)年4月23日 第2回期日。 その日その時、私は新幹線で西に向かっていた。 スマホに着信があった。S弁護士からであった。 「あれっ、もう終わったのかな」私はそう思った。ところが、電話に出たS弁護士の口調の慌て方が事態の尋常でなさをすぐにうかがわせた。  

出るとこ出ますよ(4) 第1回期日 一般市民の民事裁判初体験記【25】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 法廷決戦は、当方の訴状に対して、相手方からの抗弁が出て、次はいよいよ裁判所でのやりとりとなります。 前回のつづき・・・  2018(平成30)年3月12日 第1回期日。 当方のS弁護士が裁判所に出頭。私は代理人のS弁護士に一任で出席はしない。 相手方のK弁護士は出席しなかった。相手にすれ出頭要請は急な話だから1回目の欠席は認められるそうだ。2回目からは原告・被告は来なくても最低限、双方の弁護士は出席となる。K弁護士は第1回期日欠席の代わりに、訴状の答弁

出るとこ出ますよ(3) 相手方からの抗弁 一般市民の民事裁判初体験記【24】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 隣家との争いは、弁護士同士の交渉が決裂。舞台は、ついに法廷へと移っていきました。先手はこちらから。訴状を出しました。訴状は裁判所に受理されて、相手方に当方の訴状が届きました。次は、相手方からの一手となります。 前回のつづき・・・  隣の家に、当方からの訴状が届く。日常生活を送っているとどうしても顔を合わすことは避けられない。この書状を通して、会話をするような独特な感じ。なかなかシュールな展開であった。  Y氏は明らかに、当方に敵意の視線を投げかけてきてい

出るとこ出ますよ(2) 訴状を出す 一般市民の民事裁判初体験記【23】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 相手が弁護士を立てて来ました。こちらも弁護士を立てて応戦です。お互いの主張内容は噛み合うことはなく、本件はついに、裁判所へと舞台を移すことになりました。 前回のつづき・・・  訴訟に踏み切る手続き。まずは訴状の作成だ。  これをつくるのは素人にはたいへん過ぎる。そこで、専門家の出番となる。  訴状の構成  ・事件名:本件は、損害賠償請求事件と記されていた。  これに、  ・当事者の表示  ・請求の趣旨  ・請求の原因  ・証拠方法  ・添付書類 と続

出るとこ出ますよ(1) 訴訟になる前に 一般市民の民事裁判初体験記【22】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 もともとは、自宅の土地に停めていた車のドアに傷をつけられてしまったというのがそもそものはじまり。 相手が当方申し入れの修理代を詫びのひと言と共に支払ってくれさえすれば、すぐに解決できる問題でした。 ところが、この相手方ときたら、こちらもこれまで迷惑をかけられていたと被害者としての主張を弁護士立てて申し入れて来たのです。話のすり替えです。しかも、台風の風で飛んできた当方の自転車に自分の車も傷つけられたと言って来ました。虚偽、捏造の主張です。のちに、この修理代と

弁護士を立てて反撃する(6)  こりゃ、司法の判断を仰ぐしかなし 一般市民の民事裁判初体験記【21】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 2018年の年明け早々。Y氏の代理人K弁護士宛てに、回答内容次第では、当方訴訟も辞さずの通知書を送りました。前回は電話でしたが、今回は通知書でK弁護士は回答をして来ました。またしても、期待以上の怒らせ方です。 前回のつづき・・・ 年が明けて、しばらくして、Y氏代理人K弁護士より通知書が届きました。 2018年1月15日 通知書受領。   (写真 通知書) またまた弁護士名が仰々しく並んでいる。こちらはもう1ミリもビビりはしない。  【通知書の内容

弁護士を立てて反撃する(5)  やるならやるぞ! 一般市民の民事裁判初体験記【20】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 Y氏の代理人K弁護士の回答は、なんと「ゼロ回答!」。修理代金一切の支払いをしないという激烈なものでした。しかもその理由は、証拠も示さず、でっちあげた当方の自転車が風で飛んできて、自分の車のバンパーに当たったというもの。もう穏便にとはいかない空気が急速に私たちを包み出していました。 前回のつづき・・・  2017年も12月。しかも中旬となり押し迫ってきた感が増して来ていた。泣きたくなるぐらい陰鬱な感情を抱えながら、日常を暮らし、日々の仕事に追われるのは本当

弁護士を立てて反撃する(2)一般市民の民事裁判初体験記【17】自転車は空を飛ばない

当方の代理人S弁護士からの通知書をY氏の代理人K弁護士宛てに送りました。本格的に、法的紛争の幕が開きました。そして、K弁護士からの回答がもたらされます。 前回のつづき・・・ S弁護士から2017(平成29年)年11月27日付 通知書が知らされた。  あとで知ったことだが、この弁護士名が並んで仰々しいのは何の意味もない。業界の慣例なのであろうか。事務所所属の弁護士が回覧板にサインしているようなものだ。  【通知書の内容】  ・Y氏代理人K弁護士は、11月9日に予約の

弁護士を立てて反撃する(1)一般市民の民事裁判初体験記【16】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話 自分の宅地に停めていた車に、隣家の車の空けていたドアがぶつかっつて、傷が付いた。当方は事を荒立てる意思はなく、賠償してくれればそれで丸く収めるつもりだったのです。保険か実費で支払うかの返事を待っていた当方に寄せられた相手方の答えは、なんと弁護士の送り込み。難癖付けて、自分は悪くないと言い始めました。 理不尽にもほどがある。いい加減にしろ。私たち夫婦は戦うことを決めました。 前回のつづき・・・ 2017年11月22日 当方代理人S弁護士より相手方代理人K弁

開戦の決断(4) 一般市民の民事裁判初体験記【15】自転車は空を飛ばない

 さて、弁護士を頼むとなると費用の問題が避けて通れません。一般市民にとってはおいそれと出せる金額ではありません。しかも交渉がうまくいったとしても、高額の賠償金が取れるものでもなし。さすがに悩む私たち夫婦でした。 前回のつづき・・・  私「10万の修理代のために、50万はデカいよな・・・」  妻「やめる?」  しばしの沈黙が流れた。  私「でも、このままでというわけにはいかんだろ。お願いしよう」  私は弁護士に依頼することを決めた。実は、私は相手方の弁護士が来たという時

開戦の決断(3) 一般市民の民事裁判初体験記【14】自転車は空を飛ばない

 法的紛争に立ち向かう。私たち夫婦は強力な助っ人に加わってもらうことを決めました。代理人(弁護士)には代理人(弁護士)です。この時点で、もうご近所トラブルとは言えないレベルになって来ました。 前回のつづき・・・ 2017年11月14日(火) 妻と娘に義母に加わってもらい、とある法津事務所に相談に行ってもらっていた。K弁護士の話を詳しく伝えてもらうためだ。幸いだったことに、以前に、私が知己を得ていた弁護士さんがいたのである。相談したいとの一報を入れると、すぐに会ってくれるこ