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弁護士を立てて反撃する(5)  やるならやるぞ! 一般市民の民事裁判初体験記【20】自転車は空を飛ばない

ここまでのお話

Y氏の代理人K弁護士の回答は、なんと「ゼロ回答!」。修理代金一切の支払いをしないという激烈なものでした。しかもその理由は、証拠も示さず、でっちあげた当方の自転車が風で飛んできて、自分の車のバンパーに当たったというもの。もう穏便にとはいかない空気が急速に私たちを包み出していました。


前回のつづき・・・

 2017年も12月。しかも中旬となり押し迫ってきた感が増して来ていた。泣きたくなるぐらい陰鬱な感情を抱えながら、日常を暮らし、日々の仕事に追われるのは本当につらいことであった。しかも隣人だ。日常の中で、どうしても姿を見ることもある。お互いに声は決して交わさないが、渦巻く負の感情は否定のしようがなかった。

 Y氏は、我々と外で、すれ違う時でも、下を向くことは決してなく、ツンと鼻を上に挙げ、背をピンと反るようなポーズを取るようになっていた。
 「フン!」とでも言わんばかりの態度である。当方もなめられたものである。

 前回の交渉結果は、相殺で支払わないというショッキングなものではあったが、プラスの部分がないわけではなかった。
 塀の建設については、例の平成25年2月11日付けの覚書きに反するということを認めて、建設をしないということを表明して来た。
 一時は、当方の負担で塀を立てろと言ってきていたのである。そこから考えると、これは大きな成果であった。S弁護士に尽力によるものである。私たち夫婦は、S弁護士を守護神のように感じるようになってきていた。

 私がS弁護士に信頼を寄せるようになったのは、私たちの要望に対して、法的に無理なこと、問題があることについては、ちゃんと正してくれることであった。例えば、損害賠償に、代車代を上乗せしたいと言ったところ

 「お気持ちは分かりますが、実際に実費で負担したものでないと請求はできないのです」と優しく正してくれる。
 こういう行為がなく、Y氏のK弁護士式で「言ってみますよ!」とぶっ放してしまうと、相手とは大揉めになることは必至だ。

法的に何らチェックがされていないまま主張されると話は決してまとまらない。だいたい、法的なチェックを入れない話をするのなら、別に弁護士でなくてもいいのではないかとなる。

 何度も言ってしまうが、こんなレベルで、自称ベテランが、何年も弁護士バッチ付けて、この仕事をし続けていることが私には、信じられなかった。人間、肩書は万能ではないことを私たちは学んだ。

 さて、S弁護士との相談の結果、その年の年末までに、当方の回答内容の詰めをして、年明け早々にK弁護士宛てに、当方の通知書を送ることになった。

 通知書の内容には次のことを記載してもらった。
 ・塀の建設については、平成25年2月11日付け覚書に反すること
から建設しない旨表明があったことを承知する。
 ・車両の修理代金の相殺の件は、Y氏側の車両に当方の自転車が当
たった事実はないことから当方は相殺の申し入れに応じることはできない。
 ・平成30年1月19日までに、車両の修理代金104,220円を振込送金することを求める。


 これに加えて、当方はここで重大な意思表示を行った。

 その部分の原文を記載する。
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 上記期日までに何らの支払がない場合には、○○氏(私の名前)は、
訴訟等の法的手続を検討せざるを得ませんことを、念のため申し添えます。
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 脅しでもハッタリでもなんでもない。一般市民、一世一代の「出るとこ出ますよ!の意思表示である。


 法的手続 

 なんと重い言葉か。
 とはいえ、この時は、なんとかこの内容で解決してくれればとは思っていたのではあった。
 なんとも気の重いその年の年越しとなった。

 つづく

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