開戦の決断(4) 一般市民の民事裁判初体験記【15】自転車は空を飛ばない

 さて、弁護士を頼むとなると費用の問題が避けて通れません。一般市民にとってはおいそれと出せる金額ではありません。しかも交渉がうまくいったとしても、高額の賠償金が取れるものでもなし。さすがに悩む私たち夫婦でした。


前回のつづき・・・

 私「10万の修理代のために、50万はデカいよな・・・」
 妻「やめる?」

 しばしの沈黙が流れた。
 私「でも、このままでというわけにはいかんだろ。お願いしよう」

 私は弁護士に依頼することを決めた。実は、私は相手方の弁護士が来たという時点で、当方も弁護士を立てないと応戦できないことを覚悟していた。以前の仕事で、会社の顧問弁護士と一緒に問題に立ち向かったことがあり、その時の経験が大きかった。弁護士には弁護士で対抗するしかない。

 私たちと一緒に戦ってくれることになったS弁護士は、30代前半の女性。新進気鋭の若手弁護士と、自称超ベテラン弁護士との対決である。パッと見は、おじいさんと孫娘の構図だ。
 
 依頼とはなったが、委任契約の締結と着手金の支払いが終わらないと、弁護士は正式には動けない。ということで、妻は執拗なY氏の「塀を立てさせろ」要求への返事をぼかしながら時間稼ぎをしていたのであった。

11月20日(月)防犯カメラを設置してもらう。電器屋さんが無理を聞いてくれて超特急でやってくれた。

 しかしながら、この行為はいたくY氏を刺激したようで、Y氏は、
11月21日(火)朝、出勤のために外に出ていた妻に向かってこう言い放った。

 「ええの付けはったな。ピースして通るわ!」

 妻は信じられないぐらい腹が立ったのだろう。はじめて、出張中で仕事をしている時間帯の私に電話をして来た。妻は怒りに震えていた。関西で言うところのヤンキー上がりの品の悪いおばはんの実相がこれ以上ないレベルで浮き上がって来ていた。

 
 つづく。

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