質問013:速い球と遅い球を打ち分けるにはどうしたらいい?
回答
▶速い球は簡単。遅い球が難しい
速い球は、打てるのだと思います。
思いっきりボールを引っぱたけばいいだけですからね。
だけど逆の遅い球を打てずに、困っていらっしゃるのではないでしょうか?
遅い球を打つ場合、思いっきり引っぱたけばいいというほど単純ではなく、ラケットを振らずに単に当てて返すだけにすると、コントロール不能になる。
その返球スピードは、相手ボールの勢いに対する反発加減しだいとなり、アンコントローラブルな対応に成り下がりかねません。
速い球と遅い球を打ち分ける方法は、いろいろあります。
▶「ぶつける」「逃がす」の使い分け
今回はスイングエネルギーをボールに「ぶつける」方法と、スイングエネルギーをボールから「逃がす」方法による打ち分け方をご提案します。
スイング エネルギーをすべてボールに「ぶつける」のが、速い球の打ち方ですね。
野球でいう「ピッチャー返し」のイメージ。
球種としてはフラットになります。
一方、スイングエネルギーをボールから「逃がす」のが、遅い球の打ち方。
ボールを前へ飛ばすのだけれども、スイングのエネルギーを上や下へ逃がして、スピードを落とします。
上へ逃がすのがドライブ(トップスピン)、下へ逃がすのがスライス(バックスピン)というわけです。
野球でいうホームランは、ライナー性の勢いがあるというよりも、バックスピンのかかった緩やかな飛球になるイメージです。
▶コントローラブルな遅い球のコツ
スイングのエネルギーをボールから逃がせば、それによってスピードを抑えられるし、回転がかかるベクトルにエネルギーが作用することによって、ボールにはマグヌス効果の空気抵抗が働き、よりコントローラブルな遅い球へと変換することが叶います。
つまり相手ボールの勢いに対する反発加減に依存することなく、回転量の調整しだいで、自らスピードや深さをコントロールできるようになるというわけです。
▶「カス当たり」、練習には悪くない
回転量の調整を身につけるためには、いわゆる「薄い当たり」の練習をしてみてください。
良いか悪いかは別にして、「カス当たり」です。
一般的には「厚い当たり」が良いと評価されがちですが 、回転を操る練習をするにあたっては、薄い当たり、しかも極端な「カス当たり」を試してみると効果的です。
練習ですからミスショットになっても構いません。
むしろここで、入れにいかないことです。
スピードが出ない薄い当たりで、「カシュッ!」や「シュリーンッ!」のサウンドイメージで、スピンやスライスを打ってみる。
そうして回転をかけられるようになると、ボールをコントロールしやすくなり、ご所望いただいているショットを安定させる技術にも通じます。
▶断る、逸らす、かわす、逃げると、「やって来る」
力を伝えることばかりが大事のように言われがちですけれども、力を逃がせると、上手くいく案件は少なくありません。
仕事も恋も「全力で!」とばかりに頑張ると、力みがちだし、相手にとっても「重い」。
だけど仕事も恋も、断ったり、逸らしたり、かわしたり、逃げたりしていたら、向こうの方からやってきます(笑)。
▶「オノマトペ」で感覚的なプレーができる
話が脱線しましたけれども、それはさておき、薄い当たりを習得するにあたっては先述したように、「カシュッ!」とか「シュリーンッ!」とかのオノマトペを、インパクトでつぶやくのも有効です。
かつての人気アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』が、「キーン!」と言いながら走ったらメチャクチャ速かったイメージ。
「思考」できなくなり、「感覚」でプレーする(=体で覚える)テニスが実現します。
ビールなら「一気に飲み干す」ではなく「グビグビッ」でしょうか。
いわゆる「シズルを売る」というのは、五感を通じてイメージに働きかけるから手強いのです。
私たちは、あっさりやられてしまいます。
速いボールを打つならば、「思い切って引っぱたこう。そのためには腰の回転を使って……腕のしなりが大事だから……」などとうんチャラかんチャラと頭で考えるよりも、「バコーンッ!」です。
▶セレスもシャラポラも「せこい威嚇」などしない
ボクサーが「シュシュ!」とつぶやくのも、重量挙げ選手や陸上競技の投擲選手が「ガーッ!」と叫ぶのも、モニカ・セレスやマリア・シャラポワがグラウディングしたのも、その是非は別にして、もちろん「効果がある」からです。
決して、対戦相手への「せこい威嚇」などではありませんでした。
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(テニスゼロ)
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