Nyori

色々とエンジョイしてる字書きのオタク。好きな本のこととか博物館の感想とか。

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  • 考古学いろいろ

    主に古墳時代を中心に、実際に訪れた遺跡や考古学書の感想をまとめています。

最近の記事

春夏秋冬の花々が織りなす日本画の世界【山種美術館 花flower華2024】

JR恵比寿駅から広尾中学校のある丘を登っていくと、優美な日本画コレクションで知られる山種美術館が見えてきます。 現在、四季の花をテーマにした所蔵作品展『花・flower・華 2024』開催中(5/6まで)。日本画でお花見を楽しみたい方必見です。 メインビジュアルになっているのは奥村土牛による京都・醍醐寺の桜を描いた一枚『醍醐』。 豊臣秀吉の醍醐の花見で有名なこの桜の花びらを大胆にデフォルメし、薄桃色の重ね塗りを繰り返すことで、花を見た時の印象を幻想的に表現しているようです。

    • 名画、そもそも絵画とは何か? マティス展で考えた【国立新美術館】

      アンリ・マティスの絵、良いですよね。 大胆にデフォルメした形状、生き生きした色彩。見ていて楽しくなる作品の数々。 その一方で、こう疑う瞬間もあります。マティスって実はけっこうヘタなのでは、と(超失礼) マティス作品って何だろな? そんな疑問を抱えつつ、国立新美術館の『マティス 自由なフォルム』展を観た感想と考えたことを記事にしました。 展覧会の前に:子供の落書きのような絵 美術界には「子供の落書きにしか見えない」と揶揄される画家が何人かいます。よく挙がるビッグネームの筆

      • 繊細高密度の花鳥風月【池上秀畝展感想】

        池上秀畝展@練馬区立美術館に行って来ました。展覧会は2024年4月21日まで。終了間際ギリギリでした。 スマホのオススメ通知で知った展覧会でしたが、想像を絶する素晴らしさに大満足。 東京展終了後は(5月から)長野県立美術館に巡回するようなので長野市の日本画ファンの方はぜひご覧ください。オススメ ところで、池上秀畝って誰? 明治~昭和の日本画家と言われても横山大観とか上村松園あたりしか思いつかない人間なので、池上秀畝の名前にもピンときていませんでした。 調べて納得。 岡倉天

        • 【北欧の神秘】ムンクの叫びだけじゃない、北欧絵画の世界【SOMPO美術館】

          北欧と言えば ノルウェー、スウェーデン、フィンランド。 フィヨルド、オーロラ、白熊にヴァイキング。 北欧神話にカレワラ、イプセンの戯曲『人形の家』、シベリウスの交響詩『フィンランディア』。 おなじみ『ムーミン』やIKEA。 気付けば日本にしっかり根付いている北欧文化。ですが絵画に限っては意外と目にする機会がありません。 いや、ひとつあるんですよ。とてつもなく知名度の高いノルウェーの油絵。世界的に知られてるのが。 ムンクの『叫び』 叫んでますね。ウネウネです。 忘れよう

        春夏秋冬の花々が織りなす日本画の世界【山種美術館 花flower華2024】

        • 名画、そもそも絵画とは何か? マティス展で考えた【国立新美術館】

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        • 考古学いろいろ
          6本

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          始皇帝陵の発掘調査って兵馬俑以外でもガンガン進んでるんですね!?【読書メモ】

          日本の古墳の本以外の考古学本も読みたいな…せや、中国の遺跡本読んでみよ!と意気揚々とページを開き、タイトル通りの叫びを上げました。 皆さんご存じでしたか!? すみません、私は知らなかったよ! 書誌情報 「始皇帝」 始皇帝。 初めての皇帝。ザ・ファースト・エンペラー。 天帝と王しかいなかった中国で、「初めて国土を統一したんだから王より偉くなっても良いよね」と皇帝なる言葉を生み出した人物。 (本名はおそらく趙政さん) 「始皇帝」の名はたぶん、永遠に語り継がれるんでしょう。

          始皇帝陵の発掘調査って兵馬俑以外でもガンガン進んでるんですね!?【読書メモ】

          【画像生成AI】クリムトかぶれのChatGPT君とお花見してみた。

          春は桜。とは言うものの、雨が降ったり風が吹いたり、存外お花見する機会って貴重ですよね。 存分に桜(のようなもの)を見て和みたい。 画像生成あそびも兼ねて、ChatGPT搭載のDall-E3でお花見気分を味わってみることにしました。 コンセプトさて、どんな画像を作ってもらおうか。 5分くらい考えて、今回は以下のようなコンセプトでいくことにしました。 桜の花と、それを見上げる妖精さん 夜桜をイメージ。背景は暗く、桜はほの白く発光している感じ クリムト風を基準に味付けし

          【画像生成AI】クリムトかぶれのChatGPT君とお花見してみた。

          漢字が読めなくても楽しい中国古代青銅器入門

          難読漢字と美術館 漢字が読めない。覚えられない。 そんな悩みを持つ美術館好きの人間にとって、漢字文化圏の文物はちょっぴり敷居が高いもの。 というのも、 『八橋蒔絵螺鈿硯箱』←尾形光琳作の国宝 『伊万里色絵花卉文輪』←古伊万里 柿右衛門様式の重要文化財 読めない!! 作品が素晴らしいことは分かるけど! 読み方が! 分からない!! もちろん、ちゃんと読めばこの漢字だらけの名称は特別難しいことを言っているわけではなく、「IKEAの桜柄プレート」くらいの意味合いであること

          漢字が読めなくても楽しい中国古代青銅器入門

          プリンタニア・ニッポン4巻に情緒を破壊された人のつれづれなる感想語り

          祝プリンタニア・ニッポン4巻発売! いやー、凄かったですね。情緒がめちゃくちゃです。特に描き下ろし。 感想語りてぇ! そうして出来上がったのがこの感想と考察ごた混ぜ記事です。 プリンタニア狂による生餅会の投稿ってこんなんかなと思って眺めて頂けると幸い。 ※この記事はネタバレ満載なので、まだ読んでないよって人は気を付けてね。 WEB漫画総選挙2023 第4位おめでとう! すあまが何年も王冠欲しがってたので、無事に戴冠出来て良かった 全体をざっくりと。4巻の範囲は荒期の

          プリンタニア・ニッポン4巻に情緒を破壊された人のつれづれなる感想語り

          キトラ古墳天文図を隅々まで見たい!を叶える一冊。

          古墳ファン、壁画ファン、そして天文学ファンが楽しめる飛鳥時代の素敵な遺産・キトラ古墳天文図。 古墳石室の天井部分に描かれた星図は、現実の星空と整合しない部分はあるものの、精密な天体観測で作られた天文図を元に描かれたと言われています。 科学的・歴史的価値だけでなく、朱線で描かれた天の区分、金箔押しの星々、それらを繋ぐ線の生み出す図像は美術品としても素晴らしいですね! 実物が見たい! そんな貴方は文化庁HPで壁画公開時期をチェックしてみましょう。 公開内容は毎回変わりますが

          キトラ古墳天文図を隅々まで見たい!を叶える一冊。

          最新情報から捉える明日香の古墳 -『古墳と壁画の考古学』感想-

          概要 タイトル通りの『古墳と壁画の考古学』を期待して読むと、ちょっと違うんじゃない?という感想になりますが、いい本です。 内容に忠実なタイトルにするとしたら『キトラ・高松塚古墳の考古学 ~古墳の築造と壁画に関する最新研究成果紹介・明日香村の他の古墳を添えて~』でしょうか。 情報量の多い良書ではありますが、古墳と壁画の総合書籍をお求めの方はご注意を。 書誌情報 『古墳と壁画の考古学:キトラ・高松塚古墳』 著者:泉 武, 長谷川 透   出版社 ‏ : ‎ 法蔵館 発売日

          最新情報から捉える明日香の古墳 -『古墳と壁画の考古学』感想-

          黒曜石が作った縄文世界 - 『八ヶ岳西麓の縄文文化』感想 -

          書誌情報 『八ヶ岳西麓の縄文文化 二つの国宝土偶と黒曜石の里』 著者:鵜飼幸雄   出版社‏:敬文舎 発売日:2022/3/16  単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 128ページ ISBN-13:978-4906822362 茅野市と縄文、黒曜石について 八ヶ岳の西麓・霧ヶ峰の南麓――長野県茅野市は、蓼科高原(高原リゾート別荘地帯)や諏訪湖などにアクセス良好な山岳観光の拠点として知られている。 現在の茅野の印象は、雄大な山々を臨む静かな田舎町。なのだが。 遡ること2

          黒曜石が作った縄文世界 - 『八ヶ岳西麓の縄文文化』感想 -

          ChatGPTと『天使の化石』の絵を作ろう!

          はじめに みなさん、DALL-E3使ってますか? OpenAI社提供、自然言語に強く、日本語もオッケーなDALL-E3くん。最近はWeb記事のサムネイルでDALL-E3作成の絵を見かけることが増えてきました。 便利ですよね。私も重宝してます。 残念ながら非オープンソースなのでStable Diffusion系のようなカスタマイズは難しいものの、Microsoftが標準画像生成AIとして導入しており、気軽に試せるのが良いところ。 現在(2024.3.6)DALL-E3を使う

          ChatGPTと『天使の化石』の絵を作ろう!

          液体と固体の間に -工芸の超絶技巧が想像を絶する件② 稲崎栄利子-

          『超絶技巧、未来へ!』展で見かけた現代作家の超絶技巧工芸品についてつらつら感想を書くnoteその2。今回は常識破りな陶芸作品を取り上げてみようと思う。 ちなみに、木彫り超絶技巧を紹介したnoteその1はこちら。 やきものジャンルのひとつ、陶芸。漠然と陶器を作ることだと思っていたら、磁器のほか、土器・炻器(せっき)も含むのだそう(炻器って初めて聞いた) 基本的にどれも土を焼いて作るのは分かる。違いは何だろうと調べてみたら、焼成温度で呼び分けることが多いらしい。なるほどね。

          液体と固体の間に -工芸の超絶技巧が想像を絶する件② 稲崎栄利子-

          禁忌から生まれたまじない・しきたり -『禁忌習俗事典』感想-

          書誌情報 『禁忌習俗事典: タブーの民俗学手帳』 著者:柳田国男   出版社‏:河出書房新社 発売日:2021/3/5  文庫:208ページ ISBN-13:978-4309418049 概要 柳田国男が収集した全国各地の禁忌・タブーに関わる行為や言葉を並べた事典。2014年に発行された同名の単行本の文庫化。オリジナル版は1938年出版。 発売後すぐ品切れになるなど意外な人気っぷりで担当編集者も驚いていたようだが、『定本柳田国男全集』未収録なので隠れたニーズがあったのか

          禁忌から生まれたまじない・しきたり -『禁忌習俗事典』感想-

          野又穣作品をオススメするnote

          野又穣作品は良いぞ。 個人的に大好きな画家・野又穫氏。ここ数年評価が上がってきたとはいえ、まだまだ『知る人ぞ知る画家』の感が強い。 でも、朽ちた廃墟の写真やイラストが流行っている昨今、野又作品が刺さる人も沢山いるはず! と思い立ち、ネットの片隅に推薦怪文書を上げてみることにした、それがこのnoteです。 まずは一枚。野又穫という画家を知るために、まずは彼の作品を一枚紹介してみよう。(撮影:自分) いかがだろうか? 「良い!」と思った方は他の作品もきっと好みに合うと思う。

          野又穣作品をオススメするnote

          とっても、スルメです。 -工芸の超絶技巧が想像を絶する件① 前原冬樹-

          超絶技巧といえばフランツ・リストのピアノ演奏技術…だったのも今は昔。最近では、あらゆる分野で想像を絶する器用さの産物に対して超絶技巧の名が冠されている。 昨年秋、『超絶技巧、未来へ!』という展覧会を観て、現代工芸における驚異の手仕事に度肝を抜かれた。 東京での展覧会は終了したが、2024年も全国を巡回している様子なので、直近で観に行った方もおられるかもしれない。 本noteでは展覧会の図録を眺めつつ、気になった現代作家の超絶技巧工芸作品への感想をつらつらとまとめていこうと思

          とっても、スルメです。 -工芸の超絶技巧が想像を絶する件① 前原冬樹-