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台湾一人旅での出来事

一人旅で台湾にいった時の話だ。千と千尋で有名な観光スポット、九份に遊びに来ていた。帰りは、ローカルバスで台北市内まで帰ることにした。出発直前のバスにぎりぎり間に合いほっとしたのもつかのま、小銭を持っていないことに気づいた。ついつい市場で小銭を使い果たしてしまっていた。

バスのチケットはたった80元。手元にあるのは、1000元札(3500円)のみ。

「うう〜。さすがに1000元出すのはなあ・・・困ったなあ・・。」

私の困った様子を見ていたのだろう。隣に座っていた女の子が、にっこりした笑顔で80元を私にくれた。

その子の優しさに思わず泣きそうになった。制服を着ていたその子は、どうやら下校中らしい。九份のふもとに住んでいるのだろう。

80元もあれば、美味しいおやつでも買って帰れるだろうに・・・。

嬉しい反面、申し訳ない気持ちになった。

それにもかかわらずその子は、終始笑顔で「どこから来たの?」「ひとり?」「旅楽しんでね!」と話してくれた。「なにかお礼をしたいな。」と思っているうちに、その子はふもとのバス停で降りていってしまった。バスが見えなくなるまで、ずっとこちらに手を振ってくれた。台北市内までの台湾の風景はなぜか、さっきよりずっと綺麗に私には写って見えた。

あの子のやさしさは私の一生のたからもの。

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