シド

詩や短歌など書いてます。 小説も好きです。

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最近の記事

美女⑩ー➁ 最終話

信一が街まで下りてきた その頃麻里子は滝田警部補と西条巡査を待っていた。 一刻も早く来てと願いを胸に 新ためて自由となった麻里子は好奇心とは違う 生き延びる為に周りを見渡した 用意周到の信一は注射器等は彼のリュックに運び出され あるのはペットボトルの水と少しの食料だけだった麻里子は貪るように鷲掴みしながらお腹に食べ物を食い散らかした まさに本能のままの行いだった 他の女性達の部屋へ行き鍵穴をこじ開けようとしたが頑丈な仕掛けにより尖端は届かなかった 生きてる自分に出来

    • 美女⑩ー➀

      麻里子は目を覚まし愕然とした この人は狂ってる 信一を見て恐怖を通り越して 憐れだとそして自分の命はもう無いに等しい と思った 麻里子は死刑台に居る気持ちでいっぱいだった 切り札として尖らせてたフォークももう無い 体がもう動くのを止めてしまった様だ 助けも来ないだろう こんな僻地に私は畑に埋められ 人間薔薇にされるんだわ… 信一の手によって… でも待ってこんな華奢な優男に人は殺せる腕力はあるのかしら? 下手したら私の方がいくら信一より背が小さくても勝てるかも? 大体注射し

      • 美女⑨ー➁

        信一と有彩は施設で育った 無口な二人で互いにPTSD(心的外傷)で 歳も近かったせいか 口数は少なかったが互いの痛みを知っていた お迎えに来る家族も居なかったが 先に養子として連れて行かれたのは 有彩だった 裕福な家に引き連れて行く新しい家族に向かって園内のギリギリまで走って思い切り信一は手を振った 妹の様に可愛がってた有彩を信一は嬉しかったと同時に寂しさもあった 数カ月後今度は信一が新しい家族になる事になった 有彩絶対見つけてまた会おうと誓った この二人は滝田警部補

        • 美女⑨ー➀

          滝田警部補は仲さんから借りた書類に目を通し 慌てて西条巡査を呼んだ 西条巡査も書類に目を通し驚愕の表情を浮かべていた 解らない訳ではない それこそが今回の有彩と信一の繋がりに近づくだろと 二人は踏んだ 西条巡査と滝田警部補は車に乗り ○県○市に赴いた 最初に行った市役所には過去の表記 所謂住民票をお願いした 信一の名前も 有彩の名前も そこには記載されてはいなかった 次に市内にある病院を周ってみた データには残ってなど無く 新しく出来た病院や看護師も当時を思い

        美女⑩ー➁ 最終話

          美女⑧

          山小屋に滞在中の信一と有彩 そして数名の若い女性達 若い女性は有彩が先程寸法で測った 手作りの洋服に着替えさせられ ダイニングへ運ばれた 車椅子から腰をあげ 食卓前に座らせた若い女性は お化粧もされ 遠い所で信一が着席するのを待っていた 切り分けられたステーキは牧場の牛肉 美味しそうなサラダとお肉とライス かぶりつきたい衝動を抑えつつ 若い女性は周りを見渡す 薄暗い部屋にシャンデリア この部屋にはそぐわない洋室 ホテルみたいなものさえ感じ取れた 信一は若

          美女⑧

          美女⑦

          コンッコンッ 滝田警部補が居る刑事課に 仲さんが訪れた 滝田警部補は どうした?仲さん お茶を注ぎながら 声をかけた 例の事件あれから新しい遺失が見つかったよ 仲さんは少し不謹慎ではあるが気分が高揚して 話を続けた 例の事件とは滝田警部補が巡査の時に起こった未解決事件の事だ 犯人は未明 なのでお蔵入りになるかと思われたがここに来て巷で流行ってる未解決事件との関連性が漸く繋がりそうだった 若い女性をターゲットに次々に起こった事件 一人は街のゴミ箱付近で遺体は丁寧に

          美女⑦

          美女➅

          頭がズキズキするの 有彩 君も?僕はここ最近毎日だよ きっとあの時ね… 思い出したくもないよ さあ!いつもの場所に行こう 行けば気分も変わるよ そうね と頷きながら有彩は信一の手を握った その頃滝田警部補は 地下一階の古びた遺失保管庫 及び 当時の書類に目を通してた 首を傾げながら 滝田警部補は保管管理の主でもある仲さんに 手伝ってもらっていた 12年前の書類と調書を探していた 犯人は未解決だった 残忍極まりない殺人事件だった その事件を担当したのが若い頃の

          美女➅

          荒んだ町

          瓦礫の中 コンビニが一番ターゲットになる タバコ 食料 飲水 瓦礫の中の光景は 無法地帯と化していた ある者は食料を強奪 ある者はガレージを抉じ開けて 暖を取る為カートごと運び出す 家を持たない人からも略奪し 浅ましき事 恥ずべき事 だが 生きて 生き抜くためには 法を破って 倫理を破ってまで 必要だと 都合よく思い込む 自分の命が一番だと嫌でも思い込んでしまう 倫理観等無い無法地帯 助け合うのは親戚ではなく隣人だ… 泥水に浸かってしまったドーナッツさえ

          荒んだ町

          美女⑤

          コンッ コンッ 有彩の居る部屋にノックの音が鳴った 有彩はまだベッドの上に横たわってる 点滴をうけていた 有彩の母がドアを開くと 信一が立っていた 有彩の母に花束を渡すと 有彩は 「信ちゃん来てくれたのね 嬉しいなぁ ずっと会ってなかったから寂しかった」 信一は照れくさそうに 「僕も有彩と会えなくて寂しかったよ」 と伝えた 有彩の母は久々のお友達との再会に嬉しそうに気配りして 「私 有彩の洗濯物出してくるから少しの間かまってあげてね」 と伝え洗濯物を入れたバ

          美女⑤

          美女➃

          信一は相変わらず頭痛に悩まされていた クリニックで処方された薬を飲んでも 脳に違和感を感じていた 「本当に効くのかなぁ〜」 半信半疑で一時でもいい痛みが取れればいいと前向きに考えた 電車に乗りバスに乗り 巷では毎日のように暗いニュースばかり 若い女性が犠牲になるものだけ繰り返し流されてたのをネットニュースでみていた 可哀想とは思っても所詮は他人事と思っていた。 ズキッとニュースを見てる時は必ずおこった。         場面は変わり 宮本有彩の個室の中 滝田警部

          美女➃

          美女③

          「ねぇ おかあさん痛み止め持ってない?」  信一が母に声をかける 背中越しに母が 「薬箱に入ってるわよ今朝のお薬ちゃんと飲んだ?」 「うん 飲んだよぉ でも頭痛いから頂戴」 薬箱から痛み止めを取り出し水で流し込む 最近 信一は頭痛に悩まされてた 常にズキズキする痛みで今度かかりつけの医院に行く事になっていた。 土曜日 母が信一を連れて近くの小野よしあき内科に連れて行った 先生に信一が頭痛と吐き気をもよおす事を告げると直ぐにMRIを撮るよう指示した 約1時間 ガタ

          美女③

          美女②

          救急車の中生年月日と名前を隊員に伝える が意識朦朧の私 父と母が交互に慌てて 宮本有彩(みやもとありさ) 2002年6月4日生まれ と伝える 直ぐにかかりつけの総合病院で解毒剤を投与 点滴をうける 有彩は意識を取り戻すには少し時間がかかった が 大きな会場で起きた青酸カリウムの犯行となれば警察も動き出し 担当にあたったのは 滝田警部補 西条巡査だった 大胆な犯行 昼間の中 人混みの中での犯行 目撃者は人だかりで皆目見当もつかない 唯一僕(牧野信一)一人だけが

          美女②

          美女

          いつも優しく綺麗な顔立ちと佇まい 品があり 誰からも慕われ 憧れの的だった 彼女 裕福な家に育ち 僕にもあの素晴らしい彼女から 何度か声をかけられ 友だちから親友へと変わった いつだって周りには友達がいて 笑顔で笑い方も品が良く そんな彼女は学校以外でも声をかけられるくらい 皆平等よ とがモットーの彼女は女神かも知れない ある日彼女からカードを渡された 誕生日パーティー開く事になったから 良かったら来てね あなたのお友達も連れて形式的なパーティーじゃないし 親が

          燿と陰

          いつも彼女は長い黒髪で横顔なんて一度も見た事なかった ある夜僕は彼女の夢を見た 段々と暗闇に堕ちてく眠りの中 どんどん深く 深く沈んで行く僕は 突然横から手が出てきて掴まれた そして止まった… もっと沈みたかったのに… 深く潜りたかったのに 突然の出来事に困惑気味の僕は 目を疑った いつもの彼女の横顔から 何かの陰だろ 呪文と共に矢を目から放たれてた 綺麗な目から放たれた横顔のもう一つの顔から光の矢が放たれて邪気を祓ってくれた 暗闇の中唸る声が聞こえた 彼

          燿と陰

          ラーリー一家と3匹の犬

          ラーリー一家には奥様と旦那様と年老いた家政婦が居ました 奥様も旦那様も老家政婦も皆犬好きでした 旦那様は少し離れた大きなスーパーの社長さん 奥様はお買い物が大好き 老家政婦はゆったりと窓掃除や洗い物などのしてる。 ある日お客様が来るからと何時もより綺麗にする為年老いた家政婦が丸い腰に手をあてながらもせっせと床掃除をする  今日は大事なお客様と言うのは奥様の気遣いで老家政婦を里に戻してあげようと思い 新しい家政婦を招くにあたって旦那様と相談のうえ決めた事だった 老

          ラーリー一家と3匹の犬

          やるしかねぇ

          何度も逆境に合う度 乗り越えてきたじゃねえか 燻ってた魂の叫び 耳の穴かっぽじって よぉく聞きやがれ ドクン ドクン 聞こえるか? お前の魂の音だぜ 苦しかったら 泣き叫べ 喚き散らかせ それが本音で本心だろ 一人でカッコつけてんじゃねぇ お前になにが残ってる 五体満足で何も失っちゃねぇ どんな障害があろうとも 乗り越えられるさ お前は自由 羽ばたきな 背中に生えた天使の名残 天国の階段踏み間違ったのは お前らしいぜ 笑っちまうな この堕天使が 地上に真っ逆さま 落ちた矢先

          やるしかねぇ