ラーリー一家と3匹の犬


ラーリー一家と3匹の犬


ラーリー一家には奥様と旦那様と年老いた家政婦が居ました

奥様も旦那様も老家政婦も皆犬好きでした

旦那様は少し離れた大きなスーパーの社長さん

奥様はお買い物が大好き

老家政婦はゆったりと窓掃除や洗い物などのしてる。

ある日お客様が来るからと何時もより綺麗にする為年老いた家政婦が丸い腰に手をあてながらもせっせと床掃除をする 

今日は大事なお客様と言うのは奥様の気遣いで老家政婦を里に戻してあげようと思い
新しい家政婦を招くにあたって旦那様と相談のうえ決めた事だった

老家政婦は務めてもう20年以上になる
犬好きのご夫婦と共にやってきた

犬たちのお世話も老人が大好きで尻尾をブンブン振りながら歩み寄る

子犬たちもやんちゃぶり発揮し
何度か老家政婦がよろけそうになると
ワン!ワン!と小さな体で奥様を呼びに行く

コンコン ドアがノックされる
お掃除の途中ではあったが大抵綺麗になった
部屋を見渡し

老家政婦がドアを開くと
若くて美しい女性が立っていた

客人が来たと報告すると
二階から奥様が降りてきた

耳の悪くなった老家政婦には会話は聞こえない

だが直ぐに客人は席を立ったみたいだ

またドアをノックする音が聞こえ
今度は先程より少し年上の女性が立っていた

奥様との会話も弾んだんだろう

これから一緒に買い物に行くとの事だった

 老家政婦は掃除の続きをしようと
暖炉の所に膝を曲げた 

すると突然胸が苦しくなり息も絶え絶えとしてるではないか

異変に気づいたのはいつもお世話してる犬たちだった
頬擦りしたり舌でぺろぺろしてる間に
お父さんパパとママは車を追った
幸いな事に途中でエンジンに故障があったんだろう
直ぐに飼い主に会う事が出来た
パパさんワンコとママさんワンコがグイグイ引っ張り異変を伝えるべき
ワン!ワン!ワン!と鳴く

奥様も何か変だと思い急いで自宅に客人と戻った

そこには血の気が無い家政婦が横たわってるではないか

慌てて救急車を呼ぶ奥様だったが
年老いた家政婦が息も絶え絶えに
「息子も娘も居ないから看取ってほしい」
と涙ぐみながら訴える彼女の手はよぽよぽのしわくちゃだった

奥様は旦那様に電話して急いで帰るよう伝えた

旦那様は少し遅かったが何とか間に合った
二人を見て安堵したのか可愛がってた犬たちの前で目を閉じた

何とも言えない切なくも苦しさもあった夫妻を慰めるよう
くぅ〜んと犬たちも亡骸に頬擦りしたり
夫妻に寄り添ってみたりした

この苦しさは我が子を流産した時に似てる
奥様は喪失感から買い物に走ったがそれでも心の中には我が子を抱きしめてあげられなかった思いと悔しさで胸に渦巻いてたんだろう

老家政婦はもうずっと寄り添い母親も同然だったのだから

丁重に葬儀をし弔い
墓石には
愛するマギー親愛なる家族
と墓石に刻まれた

残った犬たちと夫妻の前に現れたのは
先日公募して採用となった女性だった

彼女こそ本当の娘だったのだ
村に置いてきた家政婦はもう口減らしの為に我が子を残してきた事を教えてくれた。

これからはご夫婦の為にも亡くなった実母の為にも頑張り奉仕すると良い

リードで繋がれてた犬たちも彼女に擦り寄り 
頬にぺろぺろして歓迎した

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