5冊目:『本屋になりたい』(宇田智子)
■この本について
タイトル:本屋になりたい
著者 :宇田智子
出版社 :ちくまプリマー新書
発行年 :2015年6月
■読んだキッカケ
下北沢の喫茶店「イーハトーボ」で出会った。
■お気に入りのフレーズ
「ピーナツのような詩集」より
「これだと〇〇円くらいで落とせるはずだよ」
と先輩が言うのは、私がそれまで沖縄の市で落札したどの古本よりも高い値段でした。
(中略)
無事に落札できたものの、沖縄に帰ってから調べると、私の落札価格とほぼ同じ値段で売っている業者もいて、高く買いすぎたかもしれないと不安になりました。
「いいんだよ。もし売れなくても、この店にはこんな本があるんだとお客さんに感心してもらえれば。看板を買ったと思いなさい」
古本屋の先輩たちは、いつも前向きに励ましてくれます。そうか、と納得して、店に並べました。
3ヶ月ほど経ったある日。最初のお客さんがすっと店に入り、すっと本を取り出して、
「この本はこの値段ですか?」
と値札を指さしました。(中略)
高かったので、目を疑ったのでしょう。お客さんは頷いて、本を持ったまま棚に戻りました。いいんです、売れなくても私の本にしますから。勝手にいじけていたら、しばらくして、
「これ、ください」
と本を差しだされました。今度はこちらが目を疑いました。本当に買うんですか、この本を?
思ったよりずっと早く、価値をわかってくれる人が現れました。仕入れて値段をつけた私まで認めてもらえたようで嬉しく、一方では手放してしまうさびしさも感じました。
「本を仕入れる」より
こうして、目のまえの本にたった1つの数字を書き入れます。
(中略)
店を始めたころは、言われるがままに値引きしてしまい、後悔したこともありました。自分で自分の仕事を否定したようで、いやな気がしました。今はできるだけ断っています。
「この値段で買ってくれる方に売りたいんです」
と言って。古本の値段は店主の価値観を何よりも表すものですから、簡単に安くしてはいけないのではないか、と思っています。
■おススメしたい人
・ちょっぴり勇気をもらいたい人
・自分に自信がない人
・さまざまな働きかたに興味がある人
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