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『ナイル殺人事件』再び見た直後の雑記

ケネス・ブラナー監督兼主演兼製作作品『ナイル殺人事件』を新宿バルト9にてもう一度見てきました。

もちろん、アガサ・クリスティ原作の船上ミステリーであることに変わりありませんが、

それ以上にとてつもない多重恋愛劇でした。

詳しくはネタバレになるので書けませんが、

略奪愛、愛の嫉妬、愛の未練が3つ、老いらくの恋、格差の恋、同性愛、それと親子の愛、そして仕事への愛まであり、2回見てようやく落ち着けるぐらい物凄く濃厚です。

さらには

金欲と格差もキーワードの一つになります。

メインキャラのサイモン・ドイルはそんなに出もよくなく、仕事もほぼほぼしてない、性慾と背が高いイケメンといういわゆるプレイボーイ。そんな彼が大富豪の娘、リネットと急遽結婚する。まず、ここに格差婚がある。

さらにはサイモンの元恋人でリネットの学友でもあるジャクリーンとそのリネットの関係にも格差がある。ここで使われるのが「クレオパトラ」である。前半にリネットが「クレオパトラ」のコスプレをするシーンがある。この「クレオパトラ」が格差にも繋がる使い方をしている。

リネットの従兄弟で財産管理人のアンドリューやメイドのルイーズの存在もピリリと『ゲームの規則』や『ゴスフォード・パーク』の格差の下の方の描写にも通じる。サイモンのシーンだけでなくブークのシーンでも家柄を気にするシーンがあり、そこがまた階級社会のイギリスらしさがある。そうそう、この作品に出てくるお医者様もやはり格差に関わるね。

ちょっとのシーンで蛇を使ったり、ワニを使ったり、医者がやっている野球もどきのゲームで医者が1937年のホームラン王ジョー・ディマジオを口走ったり、ほんのちょっとことにもディティールが詰めこまれている。

この映画の唯一の弱点は情報量の多さで、2,3回見て隅々まで楽しめる。

時間がない方は見る前にパンフレットとHPをよく見てからの方がいいかも。

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