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未来のカラス 23 Last Episode

浄化される森


一本のツタが瞬く間に
大きな森を作り
いつのまにか
数百種にも及ぶ草花、植物が
身を寄せるようになった。


かつての仲間は
ウェッジの元に行った。


この広大な地球に
未完成な人間と子供が
たった数十万人。


戦争も暴動も何も起きずに
人の心によって再生された。


悪魔に魂を喰われたウェッジは
肉体も魂もなかったが、
意識だけはわずかに残っていた。


目的はセシルに会うこと。


どこを探していいのか
どこにいるのか
死の世界は
抽象的で
寒かった。


悪魔も神もいない
荒唐無稽な世界に
身を任せるだけで
動きたくても動き方も分からず
ただ、そこにただずむ以外なにも
出来なかった。


かつてウェッジが撃ったメンバーすら
誰もいなかった。

セシルはセシルでウェッジと同じとこにいた。


最後にセシルが思ったことは
ウェッジへの深い愛情だと、
伝えたかった。


セシルの魂はウェッジのそばを
クルクル回るだけで
見つかることもなかった。


セシルもウェッジも
ゆくゆくは英雄扱いされるだろう。
殺して英雄になるなんて
戦争でもないのに。

しかしこれは独立運動と位置づけされるのだろう。


しかし2人にはそんな名誉などいらなかった。


人間を人間として救う、

という大義名分に生かされていただけだった。

命をかけて、仲間を守るために。


死に方としては本望だったが、
セシルもウェッジも
思いや名残が続く辛い時間だった。

まるで4次元にいる意識だけのウェッジ
世の中に魂として彷徨うセシルには
近くにいても何光年も離れた存在だった。

2人が作った新しい地球は
見違えるほど変わった。

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