見出し画像

LA日記3日目〜まだ3日目なのが信じられない濃すぎるアメリカ

8/3

時差ボケがまだ抜けず朝4時には目が覚めてしまうが、開き直って小説を読んで過ごす。昔読んで東京の電車内で大爆笑をしてしまった群ようこさんの「アメリカ居すわりひとり旅」をkindleで購入して久しぶりに読み直している。やっぱりめちゃくちゃ面白いなあ。

昨日チェックアウトしたホテルのクローゼットにジャケットを忘れて来たことに気づいて、電話をするも、「今はわかる者が居ないから明日9時以降にもう一度かけ直してくれ」と言われた。どうかありますようにと祈るが、もしかしたらないかもしれない。お気に入りだったのでショックを引きずる。

4時に目が覚めてジャケットの事が脳裏によぎり、9時まであと5時間かぁなんて考えたり。いかん。こういう時は天にお任せだ。なくなっていたとしても悔やまないこと。きっとそれはそれで意味がある。

9時になりホテルに電話。昨日とはまた違う人に事情を再度説明し、電話口で待つ事10分ほど。ハウスキーパーの忘れ物リストに確かに「服」と記入があるとのこと!明日取りに来てって。良かった!涙

そんなこんなで遅めのスタートで今日はダウンタウン散策に。最初に向かったのはグランド・セントラル・マーケット。沢山のフード屋台がひしめく活気あふれるマーケット。

寿司もあったけど激暑でとても寿司気分ではなく、コーヒー屋さんでアイス抹茶ラテを。こだわりコーヒーのようで、研究者風メガネ男子のお兄さんが目の前で豆から挽いて丁寧に作ってくれ、めちゃくちゃ美味しかった!

観光客団体がわらわらとやってきてオーダーが殺到したのだろう。研究者のお兄さんはとても忙しそう右に左に動き難しい顔をしてコーヒー創りに集中している。「ありがとうとっても美味しかったです!」と言って席を立つとハッと顔を上げて満面の笑顔でThank you! Have a nice day!と言ってくれた。

次に向かったのはヴィンテージショップ。イーストロンドンのヴィンテージショップもたまに行くけど、アメリカの店はやっぱりカラーが違ってロンドンとはまた違う本場感があった。

行きの飛行機で観たタランティーノの「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の登場人物たちが着ていたような60年代70年代のアメリカのファッション。

レースとリボンがかわいいトップを購入。ミュージカルのアニーみたいなクリクリヘアーの笑顔がかわいいお兄さんが$40を$35にまけてくれた。ありがたや。


ロサンゼルスで今勢いのある本屋さん。ということで「THE LAST BOOKSTORE」に行って来た。「最後の本屋」という名前なのはAmazonなどの影響で絶滅の危機に瀕する「本屋」を皮肉って名付けられた、本を再定義した新世代の本屋というコンセプトだそう。

店内はたくさんのお客さんがいて、みんなそれぞれリラックスした表情で本をめくって楽しんでいる。

本って書く側は孤独な作業だろうに、ひとたび書物になるとまるで宇宙に飛び出すかのように年齢も国も時代さえも超えてこんなにも多くの人と繋がっていくことができるのだなあ。とにかく圧倒的にワクワクが呼び起こされる店内。ここになんなら一日中いてもいいかもな。ダウンタウン滞在中にきっとまた来よう。

ヴィンテージショップや本屋の近くにはアメリカ最大の日本人街「リトルトーキョー」という地区があるようだ。

日系スーパーに入ってみたらそこはまさに日本だった!去年行った宮古島のドンキみたいな雰囲気で、食品コーナーには刺身、寿司、お惣菜、薄切り肉、野菜、もうなんでもあった。

感動しながら、明太子おにぎり、おーいお茶、煮物のお惣菜、唐揚げ、日本のヘアコンディショナー、フェイスシートマスクを買う。目を爛々とさせ足速に店内を駆け巡り盛り上がる私に息子「お母さん僕が大学生になったら日本に住めば?」と。

考えたことはなかったけれど、人生何がどうなるかわからない。決めさえすれば世界中どこにでも住めるかもしれない。すっごい長生きしたらあと40年くらいか。少なくともまだまだ行ったことのない世界の地を旅してみたい。

今日はこの後、どーんと考えさせられ、落ち込むとかではない言葉がなかなか見つからないような、複雑で思考がバグるような光景に遭遇。

この街を歩いていると、ホームレスの数の多さに驚いていたのだが、リトルトーキョー地区のすぐそば、隣?にはSkidRow(スキッドロウ)という凶悪犯罪が横行する地域があると言う。

夕方車でスーパーに買い出しに行く際にリトルトーキョーを通過し、ある道に入った途端人生で見た事もないような光景が広がっていた。

歩道にびっしりぼろぼろのテントが並び、ゴミだらけで、裸足で奇声をあげる人が何人もうろついていた。ゴミに頭から顔を突っ込んで地べたを這いつくばる人も。1人で大声で怒鳴り散らしている人や目の焦点があってなくただ立ち止まってる人。薬物中毒者の巣窟なのがわかる。大気にもあきらかに薬物の匂いが充満している。

情報としてはロサンゼルスは治安が悪いと聞いていたけれど、車からではあったけど、実際この目で見た衝撃は強すぎて言葉を失ってしまった。メンタルが破壊した人間が徘徊するその光景は惨憺たる状況でゾンビ映画のリアル版だ。冗談抜きで。

この旅の3日前までカンボジアにボランティアに行って来た息子は世界の政治に興味があり、私なんかより何十倍もこのアメリカの抱える問題について知っていたようだ。「外国からドラッグが安くアメリカに流れてきてるんだ」「こういうことなんだよね。僕はアメリカのリアルを見れて良かったと思う」

夜、アパートメントに戻ってからも衝撃から抜けられず、こんな記事を目を皿にして読んだ。

日常を生きていると、世界の貧困や薬物中毒、ホームレス、戦争というニュースは世界のどこか遠くで起きていること…とつい思ってしまうのだけど。こうしてリアルを見ると、原因と結果が明らかに理解できる。

そして、決して自分たちも無関係ではないことに気がつく。では、どうしていけばいいのか…。
そこがすぐに答えがでるわけではないので、今日私は重たく複雑な気持ちになったんだ。

でも、こうして書いてみてほんの少しだけど、わかった。先進国で生きる私たちの子供や、大人にも、華やかな場所や音楽やファッションや文化のすぐ隣にはいつでも簡単に手に入る姿形をして、世界の地獄の扉が鍵をかけずに存在しているのだ。

人間のメンタルや喜怒哀楽の揺れにつけこんで、何かに依存させるという地獄。

それは人類誰もが持っている「つながり」を得たいという気持ちが裏目に出ることからはじまるのかもしれない。一時的に緊張感や不安感がやわらぎ、ずっと悩んでいた劣等感が解消された気になって、孤独が解消したかのような気持ちになるのかもしれない。

今日私はアメリカの悲しみと生きる苦しさと世界の地獄をこの目で見たけど、このことをしっかりと受け止めて、昨日とは違う明日をまた迎えようと思うのだ。アメリカに早くも圧倒されている。











ありがとうございます。とっても励みになります!いただいたサポートは更なる学びに使わせていただき還元とさせていただきます⭐️🌿