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八戸市にある魚の駅とは?

まとめ

 八戸市には、イカ、サバなどの水揚げが盛んで、江戸時代から漁港の街として繁栄。鮫駅が実在する。さらに「サバの駅」という飲食店も実在し、サバ料理のフルコースを楽しむことができる。鮫駅近くにある八戸市水産科学館マリエントでは、八戸市とイカの関係を知ることができる展示がある。

 八戸市は八戸港を中心に、江戸時代から水産業で栄えました。特に、イカ、サバ、イワシ漁が盛んで、水揚げ量の8割を占めます。戦後、満州などから引き揚げてきた人々のために開設された八戸魚菜市場は早朝から活気づいています。
 そんな魚の街、八戸市は「鮫駅」、「サバの駅」が存在します。また、鮫駅から徒歩20分のところにある八戸市水産科学館マリエントには、イカについての展示が詳細に記載されており、八戸のイカ漁、イカ文化について深く知ることができます。

鮫駅

 JR八戸線にある駅。青森県最東端の有人駅でもあります。八戸線の電車の半分は八戸~鮫駅間です。八戸駅から、本八戸駅からのところにあります。駅名の由来は、明治~昭和初期にかけて、駅一帯が鮫町という町だったこと。この地名の由来は、沢(さわ)がなまった説や海岸付近でかつて鮫が盛んに獲れた説など諸説あります。また、鮫港という漁港もあり、鮫という地名が親しまれています。
 サメは、青森県で昔から食べられており、日本海側では「アブラツノザメ」、太平洋側では「モウカザメ」が食べられます。コラーゲン、カルシウムなど栄養豊富で柔らかくクセがありません。フライ、煮つけ、焼きなどさまざまな料理で食べられています。
 駅前には、駅名にちなんだ鮫のモニュメントがあり、まるでジョーンズです。さらに、日本一のウミネコの繁殖地であり、パワースポットの蕪島、八戸と海の共存について知ることのできる博物館、マリエントがあります。近日、記事で取り上げます。

イカの駅

 八戸港は日本一のイカの水揚げ量を誇ります。JR鮫駅から徒歩20分のところにある「八戸市水産科学館マリエント」では、イカ漁、イカの生態から八戸市民とイカとのつながりなど、イカについて詳しくなるコーナーがあります。ちなみに、イカは漢字で「烏賊」、「墨魚」、「柔魚」などさまざまに表されます。最もよく書かれている「烏賊」は、中国から伝わり、「死んだふりをして海面に上がり、それを狙ったカラスをおびきよせて食べる」という姿から由来されています。また、「墨魚」は墨を吐いたり、「柔魚」は柔らかな体を持つ魚と表現されています。
 主に青森県で水揚げされるイカは、スルメイカ、ヤリイカ。スルメイカは春から夏にかけて暖流にのって北上し、津軽海峡を回遊したものが特においしいです。ヤリイカは春に下北半島で盛んにとれ、干してするめにします。
 鮮度が良いイカは、触感が良く、熟していくと柔らかく、たんぱく質が分解され、アミノ酸に変質するためか、コリコリ食感からねっとりした食感に変わり、甘味を強く感じられます。この変化に気づかされた青森旅行。同じイカとはいえ、時間の変化によって表情を変えるという、今までの概念を覆されました。
 塩辛、さきいか、燻製、イカ刺しなどさまざまな料理があります。日本のイカ料理の定番といえば、いかめし。いかめしは、イカの胴体の中に、もち米、うるち米を詰めて醤油ベースのタレで煮込んだ料理。北海道南部の駅弁でよく見かける、「森のイカ飯」は有名です。煮込みすぎると固くなるイメージのあるイカですが、ふっくらしていて柔らかいです。もち米を使用しているためか、モチモチでイカの胴内にしっかり詰まっています。
 イカは煮込みすぎると硬くなります。これは、オーストラリアに滞在していたとき、現地で知り合った友人の家でパエリアを食べたときにイカの柔らかさに感動したため、コツを聴きました。そのときに友人から聞いた言葉です。イカを最後に入れて余熱で火を通すことがイカを柔らかくするコツでした。感動したので家庭でいかめしを作る場合、低温調理でじっくり火を通すか、生のイカに炊いたご飯を詰めて、沸騰した調味液に投入してすぐに火を止めて余熱でイカに火を入れつつ、味をごはんにしみこませる方法もあります。

いかめしや烹鱗のいかめし
青森市名物のっけ丼のイカの甘さに感動


サバの駅

 JR本八戸駅から徒歩15分、八戸市中心街の六日町にあるサバ専門店。八戸のブランドサバ、八戸前沖サバ。親潮により水温の低い場所で育ったサバで、プランクトンが豊富にあるため、たくさん食べて脂肪を蓄えています。旬の秋(9~11月)には、脂のたっぷりのった大きなサバに成長します。漁場が八戸港から数kmしか離れておらず、鮮度を保ったまま水揚げできるため、レアで食べることができます。
 今回は「銀サバ料理 堪能コース」(3575円)を注文。焼き、味噌煮といった定番から、つくね、刺身、漬け丼といった変わり種までそろい、バリエーション豊富なサバ料理に魅了されます。サバの串焼き、サバのつくね、サバの味噌煮、サバ漬け丼、変わり種3種(シメサバ、サバの醤油漬け、サバの味噌漬け)、せんべい汁、前菜、お通しがついています。
 特に美味しかったのが、サバの串焼き。脂がジュワーと溢れて、皮がパリパリ。丁寧に小骨まで抜いてあり、全部食べられます。追加したくなるほど、今まで食べた中で一番の焼き魚でした。味噌煮は、味噌の甘辛さとサバの柔らかく、染みる味噌でごはんがほしくなります。
 せんべい汁はすまし汁系のすいとん。サバの駅では、鯖の旨味が効いて優しい味わい。さっぱりしていてコクのある出汁と野菜の絶妙なハーモニー。
 名物はサバトロ漬け丼。アニサキス中毒のリスクが高いため生食に向かないサバ。江戸前寿司で用いられる漬けの技術で生に限りなく近い味わいを実現。臭みもなく、生特有のコリコリ感、脂の旨味を感じました。ちなみに、寄生虫の強さが日本海側と太平洋側で獲れる鯖で異なり、日本海側のサバの方が寄生虫の毒性が弱く、生で食べられる可能性は太平洋産より高いです。島根県では、サバしゃぶなど、レア状態で食べられるサバしかし、家庭での生食は基本的にオススメしません。生のサバを食べたい場合、信頼できるお店で食べましょう。
 つくね、シメサバ、醤油漬け、味噌漬けは、おつまみにぴったりな逸品。つくねは、味噌が効いており、臭みが全くなく、ゴマの食感も楽しいです。シメサバはちょうどよい塩梅。お酢と塩のバランスが絶妙。

サバの串焼き、つくね
漬け丼
せんべい汁

 サバの様々な食感を味わうことができ、サバの駅はサバ好きの聖地と言っても過言ではありません。お土産として、乗車記念ならぬ来店記念でサバの駅の切符を手に入れることができます。烏賊の駅⇔サバの駅⇔鮫駅と行先が表示されており、八戸の名物に繋がります。ちなみに、烏賊の駅は存在しません。

八戸市の水産文化から気づいたこと

 八戸市でイカ、サバを食べて気づいたことは、見えないところまで丁寧に行うことによって得られる感動。サバの駅では、サラダなどサイドメニューも美味しく、サバは小骨まで丁寧に抜かれており丸ごと美味しくいただけました。また、同じものでも、表現の仕方や時間をずらすなど見方を変えることによって、新たな発見ができることを学びました。鮮度のいいイカと少し寝かせた後のイカの食感、味の違いによって概念が覆されました。
 旅行を通じた経験は、新たな気づきを与え、感動や新たなアイデアを生むことができます。

参考文献


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