見出し画像

神話の聖地巡礼、高千穂編

宮崎県高千穂町

 宮崎県北端の町。熊本県、大分県に接する町。鉄道は通っておらず、公共機関を使う場合、博多、熊本から高速バス、延岡から路線バスを利用して行きます。福岡天神から1日3往復4時間25分、熊本桜町バスターミナルから1日1往復2時間40分、延岡駅から1日13便70分。
 高千穂バスセンターの中心に、街が広がります。

神話のふるさと

 高千穂は、古事記、日本書紀、各地の風土記において、たびたび登場します。特に、天孫降臨の舞台として有名です。
 高千穂神社~槵觸神社(くしふるじんじゃ)付近の神話通り(国道218号線)には、33もの神話モニュメントがあります。神話の解説と場面を切り取った紙人形があり、高千穂の神話をサクッと学ぶことができます。


今回は日本最古の歴史書である古事記の場面を巡ります。

古事記

 日本最古の歴史書。681年、天武天皇が作成を命令し、721年、完成。国生みから大和政権が統一するまでの物語。上巻、中巻、下巻に分かれており、上巻では、日本誕生~天皇誕生、中巻は神武天皇~15代応仁天皇、下巻は16代仁徳天皇~33代推古天皇の時代風景が書かれています。
 高千穂は、誓約、天岩戸隠れ、天孫降臨の舞台になった場所と伝えられています。

聖地巡礼

大岩戸神社

 高千穂バスセンターからふれあいバス岩戸線で15分かけて終点岩戸へ。片道200円、1日10本。バス停から徒歩5分。
 天照大御神(アマテラスオオミカミ)が引きこもっていた天岩戸がご神体の神社。西本宮から天岩戸を拝観することができます(要申込)。
 アマテラスは弟である須佐之男命(スサノオ)の素行の悪さを目の当たりし、自信喪失になり、引きこもってしまいました。ちなみに、アマテラスは太陽、天界の神、スサノオは海原の荒神です。
 境内にあるおがたまの木。アマテラスが岩戸隠れした際、アメノウズメが踊るときに手に持っていた枝が、おがたまです。
 ご利益は諸願成就。西本宮では豊作と平和を祈る「願懸け祭り」、東本宮では豊作に感謝し、繁栄を祝う「願ほどき祭」が行われます。

東本宮

天安河原

 天岩戸神社西本宮から徒歩15分。別名「仰慕ヶ窟(きょうぼがいわや)」
 アマテラスが引きこもってから、晴れなくなりました。このままでは、農業などに影響が出るため、神々はなんとか、アマテラスを外に出して、晴れるようにしようと思っていました。天安河原は、アマテラスを出させるために、神々総出で話し合ったとされる場所。この話し合いでは、オモイカネ(知恵の神様)が、踊って楽しそうな雰囲気を出してアマテラスの興味をひかせ、顔を出したときに、無理やり外に出す作戦を提案。このとき、踊りを担当したのが、「アメノウズメ(踊りの神様)」。
 また、石積みして願いことをすることで叶うと言われるようになり、人々の祈りが込められた石積みが神秘的な雰囲気を演出しています。

神々がアマテラスを覗いているときの風景
石積みから伝わる人々の強い祈り

槵觸神社(くしふるじんじゃ)

高千穂バスセンターから徒歩10分。
 古事記の中では、アマテラスの孫、瓊々杵尊(ニニギノミコト、以降ニニギと記載)が降臨した「槵觸峰(くしふるだけ)」に鎮座する神社。天孫降臨後、栄華誇る
 御神体はニニギ。1694年に社殿を建立、瓊々杵尊など国譲り神話の神々が祀られている。天孫降臨のとき、武甕槌命(タケミカヅチノミコト)と建御名方命(タテミナカタノミコト)が行った力比べが相撲のルーツとされています。このことから武道の神も祭神としてまつられています。
ご利益は所願成就、歌、武道。

整備された土俵

高千穂神社

高千穂バスセンターから徒歩15分。
 高千穂皇神(たかちほすめがみ)を祀った神社。高千穂皇神は、アマテラスの子孫の神々。
 ニニギ(アマテラスの孫)が天孫降臨し、栄華誇る女神、木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)と結婚。息子の山幸彦(ヤマサチヒコ)、息子の妻の豊玉毘売(トヨタマビメ)、孫の鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)も高千穂皇神の一員です。ちなみに、身の潔白を証明するため、サクヤビメの子孫は火へ産み落とされます。ウガヤフキアエズノミコトの息子が初代天皇、神武天皇です。
 ご利益は諸願成就、縁結び、夫婦円満、子孫繁栄。
 境内には樹齢800年、秩父杉や夫婦杉もそびえてます。手をつないで夫婦杉を三周まわると幸せになれるといわれています

高千穂峡

高千穂バスセンターから徒歩30分。
 昭和9年に五箇瀬川峡谷として国の名勝天然記念物に指定された日本を代表する景勝地の一つ。シンボルである真名井の滝など柱状節理が形作る独特の渓谷美。照葉樹林、落葉樹林の多様な森林と清らかな水。自然豊かな高千穂峡が神々の降り立つ場所として、最高の場所であったと思わせます。夏は心地よい風を受けながら、無心で森林浴すると、パワーが得られそうな場所。新緑、夏のライトアップ、紅葉など四季の変化を感じることができます。


神楽

 アメノウズメがアマテラスを外に出すための踊りは、神楽踊として現在にも名残があります。宮中の儀式、武士の祈願行事、地域の神事芸能として存在。
 神楽とは、神の降臨を願い、問答、願い事をして神とともに楽しむ場所。宮崎県には、350か所もの神楽が現存しています。高千穂にも、高千穂神社や大岩戸神社などに存在します。和楽器の演奏に合わせた舞は、優雅で煌びやかな雰囲気を醸し出しています。
 こうして多くの神楽が残っているのは、地域の絆の強さと人々の生活に密着しているから。神楽で使われる能面も、住宅や店舗の入口に飾られています。しめ縄も、高千穂では、年中玄関に飾られています。
 高千穂ならではの夜神楽は、夜通し三十三番の神楽。毎年11月中旬~2月上旬、各集落の例祭日に奉納。五穀豊穣を祈願したり、無病息災の感謝を述べます。1978年、国の無形民俗文化財に指定。

 日本史を学んでから旅行することで、なぜ、この地に神々が降り立ったのか考察できるようになります。歴史を学んでいくことで見える地域特有の文化を楽しみましょう。

近日公開予定、出雲編もお楽しみに!




この記事が参加している募集

旅のフォトアルバム

日本史がすき

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!