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テルマエ展で学んだ古代ローマと日本のつながり

結論:古今東西、湯船の中では人類皆平等。

山梨県立美術館で2023年9月9日(土)~11月5日(日)に開催されていたテルマエ展。テルマエ展とは、ヤマザキマリさん原作の漫画「テルマエロマエ」をモデルにした展覧会。

テルマエとは、ギリシャ語の「テルモス(熱いという意味)」からきており、古代ローマの皇帝が民衆のために造った大規模公共浴場のことを指します。

古代ローマと日本の入浴文化のつながりに注目して、東西の歴史上のコレクションが展示されていました。

テーマとテーマの境には、ヤマザキマリさんが描いたイラストがあり、イラストとともに、セリフにも目がいきました。

今回は、甲府駅で自転車を借り、山梨県立美術館へ向かってテルマエ展を見た話。テルマエ展を見てから、山梨県の銭湯に行って温泉に浸かりました。

テルマエロマエ

2012年、2014年には映画化もされています。ローマの技術者が、日本の銭湯文化を視察し、古代ローマに持ち帰って戦を乗り越えて平和と健康をもたらすお話でした。映画館でテルマエ・ロマエ2の公開初日の1回目の上映を観て、そのまま銭湯へ立ち寄りました。

ローマの風呂の歴史

ローマの風呂文化は2000年前から始まりました。芸術が発展しており、当時の人々の生活も分かります。大理石を加工して造られた建物、像は2000年近く経っても姿を保たれ、当時の風景が垣間見れます。身を清めるために人々は入浴しており、身分関係なく人々が人々が交流、語り合う場所になっていました。プール、サウナ、運動場も完備されており、現在のジムのような雰囲気でした。当時の銭湯の内部を再現した休憩スペースもありました。

日本のお風呂の歴史

古代ローマの滅亡から1000年後の日本にも、お風呂文化がやってきました。平安時代には、動物が傷を癒すために入っていた温泉について描かれていました。

動物だけでなく、人間も傷や疲れをいやすために入浴しており、戦国時代は、武田信玄が長野県、山梨県を中心に戦の傷、疲労を癒すために隠し湯と評して温泉を愛していました。甲府市にある湯村温泉、身延町にある下部温泉も信玄の隠し湯の一つです。

江戸時代は、江戸、大坂など都市部で銭湯が観られました。たっぷりの水を大きな浴槽に入れて薪で沸かすのが、江戸の銭湯のスタイルでした。一方、温泉が湧いていた熱海、有馬、箱根などでは、温泉を中心とした観光地化が進みました。

日本のお風呂好きにより、身体を洗うために使われる石鹸類も進化しました。昭和に入る頃には、現在のようなシャンプー、石鹸が花王によって開発されています。

日本の東西の銭湯の違い

ちなみに、日本の東西でも銭湯の特徴が表れています。関東の銭湯は浴場の奥、関西では中央にに湯船があることが多いです。

江戸の開発のため、建築業を中心に肉体労働者の多かった関東では体についた汗、泥を流してから湯船に浸かりました。一方、船の集結地になった大坂など、商人の多かった関西では、湯船に浸かって身体を温めてから、身体を洗う方が多かったため、より近くに浴槽をつけました。ただ、奥に浴槽を置いたほうが、配管などの構造が単純化され、施工しやすいメリットはあります。さらに、関東の昔ながらの銭湯には、壁に富士山の絵が描かれています。

風呂桶(洗面器)も関東と関西で異なります。洗面器と言えば、昔ながら使われているケロリン。実は、ケロリンは関西のほうが小さいです。理由は、関西では身体を洗う前に湯船に浸かる方が多かったからです。しかし、いきなり入ることは、汗などをお湯に入れることから、タブー視されていました。現在も、汗などを入れることを嫌がったり、いきなり入浴することにより、ヒートショックのリスクもあるため、入浴前にかけ湯などで身を清めることは必須です。

かけ湯をするため、大きい洗面器では、重くて使いにくく、お湯も、もったいないため、小さく作られています。

ちなみに、ケロリンはなぜ、黄色かというと、発売当初は、白色でした。しかし、汚れが目立ってしまうため、黄色に変更されました。

山梨県の温泉の紹介

最後は、山梨県の温泉について紹介されていました。山梨県には、さまざまな温泉が揃い、増富温泉はラジウム泉、湯村温泉は、炭酸水素泉、塩化物泉、硫酸塩泉など、細かく泉質まで紹介されていました。

お土産

美術館、博物館の展覧会の魅力は、限定のお土産とガイドブック。テルマエ展のガイドブック、山梨県の温泉の特徴、日帰り温泉施設を網羅した山梨県百名湯という本を購入しました。上記の通り、山梨県の銭湯の営業情報だけではなく、温泉の泉質についても詳しく記載されていました。

テルマエ展限定の商品のなかでも、特に印象に残ったテルマエラーメン。キリンを始め、さまざまな動物をモチーフにしたパッケージが印象に残るキリマルラーメンが限定で販売されていました。名前は、「MISO RAMEN」。味は、優しい具沢山の味噌汁でした。

昭和の銭湯の定番だったケロリンも販売されていました。

玉川温泉

テルマエ展を鑑賞するうちに、温泉に入りたくなりました。玉川温泉は、お土産で買った山梨県百名湯には、記載されていませんでした。しかし、ドバドバあふれるお湯という口コミを聴き、行きました。

行ってみると、浴室は床上まで温泉が浸かるほどのドバドバあふれる温泉でした。ちょうどいい湯加減で時間を忘れ、ぼうっと浸かることができます。白く濁った温泉と透明な温泉の二つの浴槽がありました。小さな窓からこぼれる日光が入り込み、水面で全反射する風景が幻想的でした。

今後のテルマエ展

テルマエ展は、2023年11月25日(土)~2024年1月21日(日)に大分県美術館、2024年4月6日(土)~6月9日(日)パナソニック汐留美術館、2024年6月22日(土)~8月25日(日)神戸市立博物館で開催されます。大分県は温泉の噴出量が日本一、神戸市は日本三大名湯の一つである有馬温泉があります。

各県の温泉の紹介は山梨県とは異なると思いますので、山梨県で開催されたテルマエ展に訪れた方が行っても面白いと思います。興味を持たれた方は、ぜひお越しください。そして、銭湯にも行きましょう。

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