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【文化財】「ヨーロッパ古典絵画の輝き―模写に見る技法と表現」茅ヶ崎市美術館

 神奈川県湘南の茅ヶ崎にやって来ました。鎌倉・藤沢・逗子・葉山も近い人気観光地です。

 今回のお目当ては、茅ヶ崎市美術館の「ヨーロッパ古典絵画の輝き―模写に見る技法と表現」です。

茅ヶ崎市美術館(~6月5日 日曜日まで)
カルロ・クリベリー作「マグダラのマリア(部分)模写」
(原画は1475年頃、十二芳明氏制作)


 ヨーロッパ古典絵画の謎を材料・技法の面から解読する展覧会です。原画と同じ材料・技法にこだわって制作された模写作品は、一点一点見応えがあります。解説も豊富な図版と詳しい文章で分かりやすく、驚きの連続です。材料や道具は一部異なっていても、東洋絵画と共通する考え・狙いに基づくものもあり、絵画系の方はとくに刺激があること間違いありません。

今回のnoteのカバー画像に選んだ祭壇画の解説です。


 この展覧会は、多くの模写作品の展示を通して、材料・技法を詳細に紹介するに留まりません。さらに1歩踏み込んで、模写の意義や模写をする上での心構えも再考できるものとなっています。ロシアのイコン画家・修復家のイウリアニア(マリア・ソコロワ)さんの模写に対する考えは、ぜひ会場で確認してみてください!

 最後の展示室だけが撮影禁止で、そこにはラピスラズリ・辰砂・マラカイト・アズライト・オーカー・ピーチブラックなどの顔料の原料、胡桃油・亜麻仁油などの展色剤の原料。金地テンペラ様式の箔技法の道具である瑪瑙棒や箔盤、絵具づくりの道具である練り棒など、普段はまず目にすることがない珍しい資料群を見ることができました。
 中央に展示されていた金地テンペラ様式の製作工程は、とりわけ見応えがあります。他にも、チェンニーニ「絵画術の書」の研究資料や、西洋の鉛白の製造法など、内容は充実しています。1日中いても飽きないボリュームです。

 同じ湘南エリアにある葉山には、日本画家 山口蓬春の画室が保存された山口蓬春記念館があります。春季企画展「山口蓬春と四季の移ろい―蓬春が描いた自然の息吹―」が6月5日まで開催中です。今年の春はぜひ湘南で、西洋画と日本画が魅せる永遠の輝きをお楽しみください。

葉山の海岸から


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カバー画像:原画/フラ・アンジェリコ《リナイウォーリ祭壇画》1433-35年、木島隆康氏制作


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