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15秒で読める小説

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15秒で読める!140字創作小説
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#雨

【140字小説】雨

【140字小説】雨

雨の音がする。
雨が屋根に当たる音。
雨が軒から滴る音。
雨が窓に打ちつける音。
姉が今夜もニ階で暴れる音。
姉が投げた何かが割れる音。
姉が泣き喚く声。
雨が屋根に当たる音。
雨が軒から滴る音。
雨が窓に打ちつける音。
大丈夫。
今夜は雨の音が全部かき消してくれるから。

【140字小説】rainy season

____朝は久しぶりに気持ちよく晴れてたのに。

1人でお弁当を食べていると、ガラス窓を雨粒が勢いよく打つ音。

その音は大勢の囁きに変わり、やがてクスクスと嘲笑に変わり…あぁまた私はずぶ濡れだ。

教室を抜け出し服が乾くのを待つ。

どうせこの場所は1年中雨季なのだけど。

【140字小説】ノンフィクション

【140字小説】ノンフィクション

雨が降っている。
遠くでサイレンが鳴っている。
前にもこんな夜があったような。
それとも映画で観たワンシーンの記憶だろうか。
映画の中では殺人鬼が侵入して家人を…。
___ガシャン
暗い玄関の方で何かが割れる音がした。

【140字小説】終末の雨

【140字小説】終末の雨

雨が降ると遠くから川の放流サイレンが聞こえる。

薄暗い部屋でそれを聞いていると、さながら終末気分だ。

浮かれた花金の声も雨音とサイレンで塗り潰され、ただの薄暗い一日の始まり。

外からは誰かが布団を叩く音が響き続けている。

そろそろ私も布団を干さなくては。

【140字小説】てるてる坊主

【140字小説】てるてる坊主

雨が1週間続いた夜、
白いフードの男が訪ねて来て言った。

「雨を止めたいから力を貸してくれ。」

どうすればよいか問うと

「俺を縄でお宅の軒先に吊るしてくれ。」

てるてる坊主の化身かなと思い、
言われた通りに吊す。

____翌朝、雨は止んでおらず
男は軒先でただニヤニヤと揺れている。