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未来をつくる ~戦争と平和を考えてたどりついたこと~

小さな未来

先日、久しぶりに本当に明るい気持ちになれる出来事があった。
私が勤めている図書館に、赤ちゃんをだっこした若いママが来た時のことだ。
私が絵本の整理をしようとしていた時、その方は小さい赤ちゃんをだっこしたまま絵本を選んでいた。
見るといわゆる赤ちゃん用の単純な絵本ではなく、ちゃんとお話のある絵本を何冊も取り出している。
「赤ちゃん、何ヶ月なんですか?」と私がたずねると、「3ヶ月です!」と…。
赤ちゃんは本当に小さくて、ママの胸に顔をくっつけて、まるまったままぐっすりと眠っている。
ママはというとまるで少女のような、とてもかわいらしい方だった。
こんなに若いママにこの赤ちゃんのお兄ちゃんかお姉ちゃんがいるようにも見えず、「絵本、赤ちゃんに読み聞かせをするんですか?」と思わず聞いてみた。
するとその方は少し恥ずかしそうに「はい…」とうつむき加減で微笑んで、「私、小さい頃から図書館が好きでよく通っていて…。自分が読みたいから、読み聞かせをするだけなんです。」と、まるで言い訳をするようにはにかみながら話してくれた。
私は思わず「え~っ❤️」と声を出してしまった!
なぜか、その瞬間雲の間から太陽が出てきて私たちを照らしているような…、木々の葉をゆらしながら一瞬爽やかな風が通りすぎたような…、そんな感じがした。
私が感動して「いいと思います‼️」と伝えると、かわいいママさんは「そうですよね!いいですよね!!」と、今度はまっすぐ私を見ながら微笑んでくれた。

受け入れられない現実

ロシアのウクライナ侵攻から3ヶ月以上が過ぎた。2月24日、友人とランチをして帰ってきたら、すでにテレビには信じられない光景が映し出されていた。

「こんなに急に戦争が始まるなんて…」
「こんなにひどいことが起こっているのに、世界中がリアルタイムで見ているのに、止めることができないなんて…」

少しくらい寄付をしたところで何か役に立っている実感はなく、「自分には何もできない…」と考えてしまう日々が続いていた。

今何もできなくても、学んで、考えて、伝えて、そして祈ろう…

この日、若いママと話して「自分にもできること…いや、やらなければいけないこと」がわかった気がした。
例えば、3ヶ月の赤ちゃんはストーリーを理解できなかったとしても、ママの腕の中のぬくもりや声のやさしさを感じているはずだ。
それは「幸せの記憶」として赤ちゃんの身体のどこかに残り、きっと「平和の大切さ」を理解するのだろう。
とても意味のあることだ。
それを思うと、戦争についても「何もできない」と思いながら毎日しずんでいるだけの自分はやはり間違っている。
今こそ、自分の周りの子どもたちにだけでも「何が幸せなのか」や「平和の大切さ」「それぞれの文化を認める大切さ」を伝えなければいけないのだと思う。
それが「大人の責任」なのだ。

思い返してみれば、あの日以来「平和の大切さ」をテーマにした絵本を求める若いママが何人もいた。「ロシアやウクライナの歴史」に関する本で、学ぼうとしている高齢の方も多かった。
自分一人ではない。
きっと大勢の人が、自分の周りの子どもたちの「未来」を明るくするために学んで、考えて、伝えようとしている。
一度戦争になってしまうと、「人間は人間でなくなる」ことをテレビ映像やニュースが伝えている。
そして、もうひとつの視点から見る事実もあるのだろうと想像もできる。
だからこそ、子どもたちが将来きっと戦争を回避する知恵を身に付けられるように…。
そして今の一人一人の「平和」への意識が、大きな大きな流れとなって一刻も早く戦地へ届けられるように…。

一番近くにある「小さな未来」をつくることなら、私にもできるかもしれない。
じっとしてはいられない!
若いママの胸の中で幸せそうに眠っている赤ちゃんの寝顔が、そのことに気づかせてくれた…

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