すこーし気になる病気解説します。【帯状疱疹】vol.4
ワクチン接種後の体の不調を訴える症状として、帯状疱疹に悩む方が激増しています。それ以前からも身近な病気としてよく耳にする「帯状疱疹」について、東京慈恵医科大学皮膚科客員教授 本田まりこ氏の回答をもとにまとめてみました。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、チクチクした痛みに続き、体の右か左の半身だけに、帯状に赤く小さな発疹ができることからついた病名です。小さな水ぶくれを伴う特徴があります。 発疹は体のどこにでもできますが、特に多いのは胸や脇腹、目や鼻、額です。多くの場合、痛みやかゆみなどから始まり、放っておくと重症化する病気です。
発症する原因としては、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染です。子どもの時に、これに初めて感染したときには、いわゆる「水ぼうそう」になります。症状が治まったあともこのウイルスは死滅せず、脊髄から枝分かれした感覚神経の神経節の中に何十年も潜み続けます。
ただし、水ぼうそうになった時点で、体はこのウイルスの免疫を獲得しているので、その後しばらくは体に悪さをすることはありません。
しかし、この冬眠状態のウイルスは、加齢・過度な疲労・ストレス・病気などで免疫力が低下すると、ウイルスが再び増殖して、活性化することがあります。この2度目のウイルスの暴走こそが帯状疱疹なのです。
同じウイルスでも1度目と2度目では違う病気として現れることになります。
帯状疱疹を発症しやすい年代は、獲得した免疫の効果が薄れる時期といわれる、20代と50代が中心でしたが、最近では、20-40歳代の発症率が増えています。
これまでは、糖尿病などの生活習慣病のある人、ガンや関節リウマチで免疫抑制剤を使っている人の発症が多かったのですが、最近ではcovidワクチン接種した方の免疫力が下がっている方が増えており、幅広い年代に多く発症しています。
一般的には、約85%の人が、5歳までに水ぼうそうにかかるといわれています。以前であれば、第一の発症ピークである20代はその免疫が薄れてくる頃で、そこに仕事の疲れやストレスなどが重なることで発症していました。
そして、30~40代にはいったん罹患率が減ります。この年代は、子育てをする人が増え、子どもが水ぼうそうにかかることで気づかないうちに体内にウイルスを再度取り込み、免疫力が再活性化するためです。
そして免疫力が弱まる50代に発症が増えはじめ、さらに免疫力が低下する高齢者も発症率が高くなる…というのが一般的でしたが、2020年以降のコロナワクチン接種者が増えるにつれ、一気に帯状疱疹を発症する人が激増していいます。
先述した症状としては、左右どちらかの部位にピリピリした痛みや違和感を覚え、強い痛みが4~7日続いたあとに、赤い発疹ができ、約2週間でかさぶたになり、約3週間で治るというもの。
しかし、疱疹の発生が広範囲にわたったり重症化した場合には、皮膚症状が治ったあとも、痛みだけが数ケ月から数年も残る「帯状疱疹後神経痛」になることもあります。帯状疱疹になった患者の1-2割の人がこうした後遺症に悩まされます。ほかにも失明、脳炎、難聴、運動神経麻痺などの合併症を起こすこともあるので、症状があらわれた場合には、はやめに治療をしましょう。
発症しやすい部位は胸や腹部、背中、顔など。治療の柱は「ウイルスの増殖」「皮膚の炎症」「痛み」を抑えることで、抗ウイルス剤、抗炎症剤、鎮痛剤などの薬物療法が基本になります。皮膚症状が出てから3日以内に治療開始するのが理想的です。
ただ、免疫力が低下することで発症するので、日頃から、免疫力を高めておくことが必要です。喫煙や過度なストレス、過労などの負担を減らし、しっかり休息をとるようにしましょう。また、適度な運動と栄養バランスのよい食事と規則正しい日常生活。一番のポイントは、腸内環境を改善する生活習慣を継続することが重要です。
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