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体調不良は自分で治す~腹痛・悪寒編~

勤めていた生協を辞めたあと、実家にUターンして療養へ入った。免疫異常系の難病を発症したのがこの頃だったのだが、当時は病名すらわからず、ただただ全身の激痛に耐えるだけの日々を送る。

たしか父のすすめだったと思うが、この頃漢方薬局に通い、体調の相談をし始める。あと韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』を見ていた時期でもあって、民間療法や東洋医学に興味を持った。

看護師だった母や、週末整体師をしていた父から体の雑学はよく聞かされていたし、私自身も生協職員として食育に関わる経験をしていたから、「薬食同源」とか「体を整える」のような考え方は、ごく自然に備わっていたと思う。

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興味を持ったらすぐ知識をほしがるのが私の癖で、図書館で東洋医学系の本を読み漁る。

このとき覚えた知識は、体内の毒素を出すための三つの方法――「汗で出す」「上から出す」「下から出す」。これらはその後の私の苦痛人生をたびたび助けてくれることになる。

まず「汗で出す」。

Uターン後、体力をつけるために社会人バレーチームに参加していたときのこと。練習に出かけようとしたある日、明らかな悪寒を感じた。もしかしてこれから熱が出るのか? と外出を躊躇したが、なぜかこのとき、自分でもびっくりするくらい冷静に「いや、バレーやって汗かいた方が治る」と確信していた。

その日練習に参加した私は、汗をいっぱいかき、冷える前に着替えて帰宅。すぐに入浴して体をじっくりとあたためたところ、すっきりと悪寒が消えた。これが「毒素を汗で出す」ということか、と興奮を覚えた。

多分風邪のひき始めなんだろうとは思うが、今思うとメンバーにうつすかもしれないから家で安静にしてろ、と過去の自分に言っておきたい。

その後も風邪なり腹痛なりで悪寒が走ると、熱めのお風呂や、カイロを貼って布団に入ったりなどして、じっとりと汗をかくようにしている。

父からもよく、寒気がしたら首筋にカイロ貼ってあたためろ、と言われてきた。たしか神経が集まってるから……だったか、詳しいことは忘れたが、首筋カイロは寒気に襲われている体にはとても気持ちいいので、必ずやっている。

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次に「上から出す」について。

激痛ではないが、モヤモヤとなんだか嫌な感じの腹痛のときは、炭酸水を飲んでゲップしたら治るよ、と言ったのは、専門学校時代に付き合っていた彼だった。半信半疑で試してみたら、本当にスッキリと治った。

私が読んだ本には嘔吐のこととして書いてあったのだが、炭酸水の件も今思うと「上から出す」のひとつなのかもしれない。

モヤモヤ系の腹痛はそれでいいが、激痛系の場合はまた別の方法になる。

激痛に襲われているまさに今そのときというのは、本当につらい。気絶したい。でも気絶できないというとき、もし動けるなら楽な体勢をとり、痛い部分に手を当てる。これは患部をあたためるためと、痛みを逃がすためである。

突然の激痛を抑える方法――私が長年あれこれ試してきて、一番効果があると思うのは、親身になって体と対話すること。手を当ててあたためながら、「どうしたの、大丈夫だよ」と母性とか慈愛とかを総動員して、痛い部分へ語りかける。

あと合わせて行いたいのが、最近私がよく言う量子力学の話から、自分の体を粒子にして、痛みで強張ったり周波数が乱れている部分を整えるイメージを持つこと。

これで悶絶級の激痛がひとまず落ち着いたら、痛みの原因、毒素の居場所を探る。それが大腸だとなったら、手でさすりながら、「こっちだよ」と痛みを誘導し、流してやる。

「こっちだよ」の行きつく先。
それが「下から出す」である。

この場合、大腸の流れを考慮して、左側を下にして横になり、時計回りを意識して痛みを誘導すると良い。

下じゃなかったな、という場合は、のどに指突っ込んで嘔吐させるのが私の常なのだが、元看護師の母からは「あんまりやると胃酸で食道が焼けるからほどほどに」と戒められた。しかしこれで楽になるなら、やらずにはいられない。それほど悶え苦しむ腹痛なのだから。

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激痛系腹痛に関しては、私の「大丈夫だよ」「こっちだよ」が効いたのか、はたまた波が引くタイミングが来ただけなのかはわからない。

だけど、こうすれば治るという方法がわかっていること、こうしたらきっと治るはずだという気持ちのよりどころがあることは、気絶したいほどの激痛に襲われている真っ最中の私にとってただ一筋の救いであり、安心なのである。

もちろん医者にかかることを避けているわけではない。「不安があるなら受診する」と母から常々言われており、実践している。でもそれ以前の未病のような症状は、自分で治せるものなら治したい。

「自分で治す」にこんなに執着するのは、二十代、三十代と、コントロールできない激しい苦痛に襲われる人生だったからだろう。だからコントロールしたいと切望するのかもしれない。

あと不調が来たときに、「そうだ、せっかくだからあの方法を試してみよう!」と、ちょっとワクワクする感じも、苦痛の緩和にはもってこいだと思っている。




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