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90年代個人的洋楽10選Ⅳ

90年代の洋楽10選の第4弾になります。80年代も好きですけど90年代にもやっぱりいい曲が多いので、早くも4回目になってしまいました。今回はバラードが多いと思います、というかバラードしかないです。大昔ですが家に引きこもってしまっていた時は今回紹介するジョージマイケルのバラードとか身に沁みて癒されまくっていました。R.ケリーのバラードとかも好きでどうしようもない行き詰まりの部屋で流していました。そんな感傷に浸っていた時代の思い出の曲ばかりでそこまで有名じゃないのもあったりしますが、どうぞ。

Cowboys And Angels / George Michael (1990年)
冒頭で紹介した元ワム!のジョージマイケルのソロで一番好きな曲です。ジャジーというかあの天空を流れていくような旋律、彼の祈りの世界のとんでもない深さを表現していて、他にも凄いバラードがあったりするのですが僕の中ではこれが頭ひとつ抜けていると思います。件の引きこもりの時期はこの曲を聞いて「もう死んでもいいや」みたいな、(自殺願望とかの、いやちょっとはあったか)悪い意味ではなく「これを聴いたらもう思い残すことはない」的な心の底からの満足感を味わえた本当に救われていた(?)一曲で思い出深い大好きな曲でした。彼のあの才能は本当にポップス史上に残る天才的なものだったと思います。後のスキャンダルとか見ていると、繊細過ぎていろいろしんどかったのだろうと、当時引きこもっていた僕は彼にもの凄くシンパシーを感じていました。人が見えないものを病んでまで感じてしまうからこそ、誰も辿り着けない深い「神の領域」に手を突っ込んでこの旋律を地上に産み落とせたのだと思います。


(Everything I Do) I Do It For You / Bryan Adams (1991年)
ブライアンアダムスも好きでした。80年代の「ヘブン」とか「想い出のサマー」とか若かりし頃の名曲とかもいいのですがやっぱりこの壮大なバラードが一番好きですね。アメリカのビルボードで7週連続1位取ったのも凄いですが、イギリスでは何と16週連続1位だったというとんでもない世界的な大ヒット曲でもあります。「ロビンフット」という映画も大ヒットしていましたが、相変わらず映画には疎いので観てなくて、単にこの曲の雄大さに惹かれて一時ヘヴィーローテーションで部屋でかかりまくっていました。


Linger / The Cranberries (1993年)
これもめちゃくちゃ好きな曲でしたね。ラルクアンシエルのHYDEが大のお気に入りとかラジオで紹介されて流れてきた時間、時が止まったかのようにその雄大なアイルランドの平原が目の前に広がるような爽やかな風が朝焼けの中、吹き抜けていくような心地よさがありました。ケルト文化とかも興味あってその流れかな、とか思ったりしました。ド引きこもりだったからこそ、あの90年代の混沌とした時代の空気に汚されていないピュアな感性でこういういい曲に触れられたのは今となってはいい思い出です。引きこもりから抜け出られたからこそ言えるのですが。真っ最中は本当に生きた心地しなかったですね、でも傷だらけだったからこそ見えていた世界とかもあったから、そういう感性にこういう名曲は沁みわたっていきました。


Weak / SWV (1993年)
家に引きこもり出して最初の頃はまだ受験する目標とかあり、元気だったので洋楽とか一気に聴きだした時期でもありました。最初は80年代の「MEGA HIT’S 80's」というコンピレーションアルバムを通販で購入して自分の知らない洋楽の名曲をどんどんストックしていくのが快感でしたね。で、80年代だけでは飽き足らず90年代にも同じコンセプトのコンピレーションアルバム「MEGA HIT'S 90's」というものがありそれにも手を出して、まあ80年代の方が良かったですが、そのアルバムの中でこの曲とかは好きで出会えてよかったと思えた一曲でした。この全集買わなかったら絶対知らなかったと思うので。90年代は洋楽のガールズグループとか結構日本でもTLCとか人気あったりしましたが、その先駆けとかですかね。あんまり聞かない感じでしたが。そこまで洋楽マニアでもなかったので。でもこれは当時の洋楽らしい洒落たR&Bのいい曲だと思います。


When We Dance / Sting (1994年)
スティングはまだこの時30代前半とかだったらしいのですが、ポリス時代からとんでもない「大人な」名曲書いてきたから貫禄半端ないですね。この時すでにもう。今の僕の年齢の遥か下だなんて信じられないくらいに精神年齢が大人過ぎるのでしょうか。海外の人はやっぱり個人の独立とかさっとやったりする文化だから作る音楽もヨーロッパの歴史的背景も加味してこんな渋い曲をさらっとかけてしまうのだなって思うから、僕は洋楽が大好きになったのだと思います。あの当時は。今は何回か書いてきたように向こうが戦争ばっかりやったりして何か荒れている精神風景とかが音楽に現れてきているようであんまり好きじゃなかったり。偏見、食わず嫌いかもしれませんが、そう思ったりします。90年代くらいのこの頃はまだ世界は今よりは安定していたのかな、とか、そして古き良き価値観が根付いていた時代の空気を吸って才能を育んだ洋楽アーティストがアメリカにもイギリスにもまだたくさんいたのだなあ、って思ったりします。個人的意見ではありますが。


Waterfalls / TLC (1995年)
当時の洋楽通の人はみんなこのTLCとか聞いていましたが、僕はまだR&Bとか渋いジャンルが苦手というか、分かっていなかったのでスルーしていました。でもこの曲は1995年に相当ヒットしたみたいで関西のラジオ局FM802とかからミナミのアメリカ村のBGMって感じのイメージを持ったりしていました。当時のアメ村は気の弱い人間には手が出せない場所というかそんな勝手な(?)イメージがあり、怖くて近寄れなかった思い出があります。でもかっこいいなあという憧れもありその真ん中でこのTLCとかヒップホップとか流れていた感じがしますね。あの90年代独特の空気感はやはりノスタルジーを感じさせるものがあります。東京とかじゃ渋谷とか原宿なんでしょうけど、大阪じゃアメリカ村ってイメージがこういう曲にはあったりします。このライブ映像は記憶が確かなら宇多田ヒカルのデビューに合わせた「TLCとのコラボライブ」とかじゃないですかね。1999年とかの。そんなコラボ企画みたいなのがあったような。テレビでもやっていたと思います。


Before You Walk Out My Life / Monica (1995年)
これも「MEGA HIT’S 90's」のコンピレーションアルバムで知った渋いR&Bの隠れた名曲です。90年代は落ち着いていてまだ情緒豊かな時代だったから洋楽の完成度が半端なく高かったなあって個人的に思ったりします。80年代の荒々しさが取れてより洗練されていくピークみたいな、懐古主義になって申し訳ないですが、いい時代だったなと過ぎ去ってしまえば思ったりしますね。個人的には引きこもりとかあんまりいいことなかった時代ではありますが。王道行けたらこんな曲を彼女乗せた車の中で聴いたりしたんだろうなあ、とか。すいません。でも憧れていましたね。そんなシチュエーションに。まだ諦めるのは早いか。


I Believe I Can Fly / R. Kelly (1996年)
あの時代グラミー賞も洋楽聴きだして興味を持ったりして、数年前まで日本でも販売されていた「グラミーノミニーズ」というその年のグラミー賞にノミネートされた最優秀レコードとかの楽曲が収録されていて、毎年のように買っていました。ここ数年はもう出ていないみたいですね、残念です。で、その1997年の「グラミーノミニーズ」が個人的にツボな曲が多くて最優秀レコード取ったマニアックなショーンコルヴィンの曲とかも大好きでしたが、このR.ケリーのバラードも何か大空をイメージさせる名曲で心地よかったですね。家から出れない分空想をはためかせていた、みたいな。後にいろいろとスキャンダルが出て問題も多かったらしいのは残念ではあります。


I'll Be Missing You / Puff Daddy & Faith Evans feat. 112 (1997年)
この当時毎週のようにテレビ神奈川、関西では京都テレビでやっていた「ビルボードトップ40」を欠かさず見ていて、見始めでありましたが、この曲がずっと1位になっていたのを覚えています。ポリスの名曲「見つめていたい」をサンプリングしたヒップホップの曲ですが、向こうのヒップホップが苦手な僕でも聴きやすい名サンプリング曲に仕上がっています。これはパフダディという当時のヒップホップ界の大物プロデューサー兼アーティストが盟友のノトーリアスBIGが向こうのヒップホップ界では結構あった襲撃事件の犠牲となってしまい、その彼に対する鎮魂歌でしたね。奥さんのフェイスエヴァンスとかも参加して全体的に亡くなってしまった愛する人へ悲しみの中祈るような、そんな胸に迫って来る曲になっています。確か11週連続1位になったりしたんじゃないでしょうか。でも年間チャートはあのこれもレクイエム曲でもあったエルトンジョンのダイアナ妃へ捧げた「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」が1位になっていましたね。3000万枚売れたそうです、そのエルトンジョンの曲は。いろいろあった時代やなあ、と今思い出しました。日本でも阪神淡路大震災やオウム真理教の事件とか、ホント90年代は混沌としていましたよね。


Iris / Goo Goo Dolls (1998年)
90年代末はさらに渋い世紀末感漂うような寂れた感じのバラードとか邦楽、洋楽問わず多かったように思います。あの時代の空気感を優れた感性を持ったアーティストがそれぞれに体現すれば、まるで集合意識がそれを下ろしたかのような似たような名曲が固まっていた、そんな感じもします。これはその最たるものかも。僕もさらに引きこもりがドツボにハマっていった時期と重なるので、どうしようもないシンパシーというか、剥き出しの赤身の心に突き刺さるような感傷というものがこういった楽曲とともに刻まれていますね。二度と戻って来ない、辛い時代、でもあの溢れる涙のような揺らめきは何だったのだろう、と手の届かない所へ結晶化して落ちてしまった、そんな輝きも思い出させる、この時代の名バラードは僕の中でそう今でも息づいています。


最後はまた感傷的になってしまいましたが、ものの見事にバラードばかり集まりましたね。別に狙ったわけじゃなくて、今回いいなと思った曲がたまたまそれで。でも90年代は洋楽のバラード、マライアキャリーとかホイットニーヒューストン、セリーヌ・ディオンとかに限らず、いい曲多いと思います。多種多様な音楽がさらに花開いて、ロックもニルヴァーナやオアシス、レディオヘッドとか新しい才能が次々に現れて、時代は混沌としていきますがその時代を吸収して天才たちが思うままにその創造性を世界に放つ、そんなリスナーにとっては至福の時間だったのかもしれないです。日本でもミスチルやスピッツと宇多田ヒカルといった天才達が出てきましたもんね。80年代から90年代にかけての20年は音楽が最高潮に達していた、そんな見方も個人的ですが、出来るのかなとか思ったりします。まあその前後もいい曲は多いし、やっぱり音楽はいいですね。死ぬまで聴いていたいと思います。ではまた何かの10選で。


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