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小売りは「売る」から「体験」へ 【前編】

column vol.28

RaaS(ラース / Retail as a Service)」という言葉はご存知でしょうか?「サービスとしての小売」という意味で、小売企業が持つ資産(場所や物流網、顧客情報など)を、他の企業に対してサービスとして提供し、新たな収益を得ること。例えば、館の一画を月額で貸し出したり、人材や在庫管理、販売支援などの運営業務もサポートします。

この代表例が、D2C(Direct to Consumer)などを展開している、店舗を持たない企業。今まではECサイトだけで販売していましたが、RaaSによって実店舗という新しい販売機会を得ることができました。

低コスト低リスクで実店舗で販売可能。RaaSは、これからの小売業界をリードするサービスとして国内でも注目されています。

「体験を売る」サンフランシスコ発の「b8ta」

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RaaSといえば、アメリカ・サンフランシスコで生まれた「b8ta(ベータ)」が有名です。世界で直営店を20店舗以上を展開するまでになり、これまで1,000以上のブランドが出店してきました。

b8taは何と言っても「売る」から「体験できる」に小売の場を転換したことに評価が集まっています。2015年にオープンしたのですが、その頃のアメリカでは「リテールは死んだ」と言われていました。そこに光を射したのがb8taです。

出品者は月額でb8taの店舗に製品の展示とディスプレイでのPR(動画による製品説明など)が可能なうえ、店舗スタッフを出す必要もなく、b8ta店舗内に設置されたカメラで取得される来店者の行動データを随時確認することができます。

展示されている商品が良いと思ったら、そのままオンラインでお買い物。実店舗はブランドや商品の価値を伝える場となり、商品の善し悪しを体験できる場となっています。

また、テストマーケティングの場としても利用でき、発売前の商品を展示し、カメラ解析により来場者を分析し、展示商品に関心を寄せた人数属性、店舗内の行動パターンなどの回遊データを取得することができます。

「b8ta」が日本に初出店

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その小売業の救世主・b8taの日本初の店舗が8月1日、新宿マルイ有楽町電気ビルにグランドオープンしました。

「ファブリック トウキョウ(FABRIC TOKYO)」の新D2Cブランド「スタンプ(STAMP)」(有楽町店)や、ショッピングアプリ「ベイス(BASE)」(新宿店)など2店舗で合計145種類以上の商品を展開しています。

ベータ・ジャパンの北川卓司カントリーマネージャーは「オンラインが重視される時代だからこそ、オフラインでは体験が重要になる」と昨今の小売業界について見解を述べるとのこと。

日本では他にも「蔦屋家電+」(東京・二子玉川)や「シブヤベイス」渋谷PARCO「ブースタースタジオ バイ キャンプファイヤー」などがRaaSを取り入れており、今後のますます展開していくでしょう。

他にも海外のRaaS事例をもう少し語りたいので、次回続きを書きたいと思います。ぜひ後編もお楽しみに。よろしくお願いいたします。

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