フーディッド・ジゾウズ・イン・ドブヶ丘 #パルプアドベントカレンダー2023
「てめえ、その頭巾売れるまで帰ってくんなよ」
アバヤが罵声とともに投げつけた包みをキナオは慌てて受け止めた。包みの中を確かめる。袋の闇の中で丸められた布が七色に輝いている。どうやら中身は無事のようだった。
12枚の七色頭巾。一枚200ドブ券。それが袋の中身、キナオたちの売り物、この冬を乗り切るための命綱だ。
廃泥蚕の繭で織ったその頭巾は七色の油色に輝き、ドブヶ丘の雨を弾く。廃泥蚕を育てるのも、そこから糸を撚り出すのも、頭巾を折るのも並々ならぬ技術が必要だ。技術には相応の