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絵画とか映像系とかの研究してます。多摩美に通うギリギリ都内。 ミニマリストなど暮らしの…

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絵画とか映像系とかの研究してます。多摩美に通うギリギリ都内。 ミニマリストなど暮らしの備忘録、評論とか芸術とか。

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物語の復権

美大や専門学校なんかに通っていると専門的な技術や技法はあって当然、美的要素は自然と付与されるものだとされる風潮がある。それは惜しくも普遍的とは言えないものだ。生産されるものの多くはそうしたハンディキャップを持つわけで、narrative物語性を拡張することが課題とされる。例えば筆触一つとっても絵を描いている人、筆の扱いを知っている人でないとそうした心地よさや凄みや緊張感や面白さは伝わらなかったりする。実践知にしろ、理論知にしろ受け手が感じ入るのは作り手の1/10程度と肌感覚と

    • 社会のど真ん中で孤独になるということ

      先日、用あって新宿を訪れたが駅近くの人も車も往来の激しい道すがらに久しぶりにホームレスを見かけた。数年前、上京した頃は上野などにそうした光景を多く見かけ衝撃を受けた記憶があるが、現在ではホームレス地域生活移行支援事業のおかげか、ほとんど見かけなくなっていた。そもそもホームレスの多くは大都市を好むという。廃品回収や食べ物を拾うのも都合がいいからだ。今や排除アートや強制退去、テロ防止の意識など風当たりが強くなりアパートへ移行する人が増えている。 しかし、ある種ホームレスの生活で

      • コンプレックスを生み出す仕事

        ありがたいことに幼少期から歯科にはよく通っており、矯正も行なっていたがその頃から顔がよく歪みがちだった。姿勢が悪く、勉強したり絵を描いたりとデスクワークが多かったので作業中、右利きで手元を覗くために顔が左側に傾いたものだ。すると顎の位置が左下にずり落ちてくるようになり、奥歯がずれて噛み合わせも左に偏るため顔全体で見たときの水平垂直も崩れてくる。 そうした容姿を気にすることが今まで全くなかったのは、一律の制服や髪型でよく、顔採用がなかったためだ。高校も大学も必要な能力を修練し結

        • 掛け時計【日常アイテム003】

          無印良品 日々の時間感覚を保つために私は掛け時計が部屋にあるようにしている。腕時計を付けることは左右非対称であり、机やキーボード、液晶タブレットなどに干渉したり、用を足したり手を洗ったりする際に気を使うのであまり好きではない。よほどの思い出やブランドに対する敬意、広告塔として、あるいは健康機能を考慮しなければ付けるメリットをあまり感じない。人や世間のファッションを楽しむことはあっても自分がしようとは思わないのがただ乗り精神だ。 スマホやpcで時間を確認することもあるが、一

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        • ミニマリスト
          6本

        記事

          倍速視聴の弊害

          失われた30年の間に親からの仕送り額が減り、学生はアルバイトの必要性が増した。暇、何もしていない時間を嫌うZ世代はタイパを重視する。暇であることが高貴であった時代は終わり、何もすることがないとバカにされる始末である。デジタルネイティブであるため、欲しい情報や結果はすぐに手に入る。彼らがテレビや本離れをするのはコンテンツの内容以前に、広告や尺稼ぎに付き合っていられないからだ。過食部位スカスカの情報はそれに見合った時間で十分だと冷ややかな視点が存在する。 一方で時短の流れがあれ

          倍速視聴の弊害

          聴覚情報処理障害(APD)とノイズキャンセリング

          いつかの飲み会の日、騒がしい居酒屋で相手の話が入ってこない。それはお酒や話の巧拙が要因ではない。単純に聴覚の問題だと後に分かった。思い返せば、昔バイトをしていた際も電話対応が苦手だったものだ。店内のbgmや騒音の中、音質の悪い子機で声の音だけを抽出することはとても負荷のかかる行為だ。相手のことを知っているならば声質や話し方などでまだ楽かもしれない。対面なら表情や口の動きで何を話しているのか自分の中で補完することもできる。 絵を描いていると圧倒的に視覚情報が優位になるが、オー

          聴覚情報処理障害(APD)とノイズキャンセリング

          ハンガー【日常アイテム002】

          サワフジ ミニマリストの著名人、ローランドの指南の一つにハンガーを統一するというものがある。ハンガーはミニマリストのリトマス紙であり、人間の性格もおおよそ見当がつくものである。 使用しているのはサワフジの商品だが、個人的にこだわるポイントは滑り止め加工、スリムさと強度のバランス、肩の干し跡が残らないラウンドした角に、溝やフックなどがないシンプルさだ。よく似たタイプのものが百均に売られているが、肩の形状が鋭角気味で服に跡が残ってしまう。また、厚みがあると本数を揃えた時に嵩張

          ハンガー【日常アイテム002】

          折りたたみ傘【日常アイテム001】

          セブンイレブン 私が使用しているのはセブンイレブンの自動開閉式の商品だ。重視しているのは開閉時のサイズと重さ、使いやすさだ。成人向けでバックパックを背負える十分な広さと強度。ボタン一つで開閉でき、傘袋はタオル地で乾燥が速く張り付きがない。サイドのチャックもありスムーズだ。 1000円少しの値段とは思えない洗練された素材と仕様、それもそのはずデザインしたのは佐藤可士和氏だ。コンビニの傘は使い捨てや粗末なイメージがあるが、これは購入してからかれこれ2年近く経つ。コンビニで購入

          折りたたみ傘【日常アイテム001】

          地に足つかない生活

          吊るす 浴室のアメニティはどのように置くことが最も美しいか? 一人暮らしにありがちなユニットバスや2点セパレートでは収納や置き所に頭を悩ませるものだ。仮に置き場があっても底がぬめれば予想以上に掃除を必要とするし、高価なディスペンサーを設置したりするのも便利さはあれど、詰め替えの面倒さは然り、根本的な解決にはならない。 ここで欲しているのはhack感だ。 結論からいえば、パッケージごとそのまま吊るしている。いわゆる浮かす収納といわれるもので、詰め替えの作業も掃除も必要としな

          地に足つかない生活

          水道水を飲むために私が試した5つの方法

          一人暮らしの浄水問題実家を離れて一人暮らしを始める際、悩むことの一つに飲み水の問題がある。一般的な選択肢としては浄水器を蛇口に取り付けたり、2Lのミネラルウォーターを箱買いしたり、ウォーターサーバーを設置したりするなどだ。しかし、どれも費用や管理が大変だ。日々の生活の中で慣れることはあっても不便さが解消するわけでは無い。一番留意すべきは不便さに慣れてしまうことだ。 では水道水を直飲みすることの是非はどうだろうか? しかし、実際のところ水道水を直飲みすれば明らかにカルキ臭さ

          水道水を飲むために私が試した5つの方法

          ONE PIECE FILM REDから世相を読む

          新時代とは何か? ウタの言うところの、海賊が憎いーーはシャンクスに対したものではなく、自己嫌悪を避けるための、否定しようのない暴力に当てられた言葉だ。 序盤、ウタウタの能力は上記の条件を果たし、ウタは国家の主導者として理想郷を作ることに成功する。ウタの築き上げたコミュニティは一種のシェルターであり、ウタ自身の己の内に潜める暴力性を平和利用するという核に似た側面もある。そのトットムジカは触れてはならないものとして描かれているが、一概に勧善懲悪でないところもまた議論を呼ぶところ

          ONE PIECE FILM REDから世相を読む

          ハイパーハードボイルドグルメリポート

          テレビ東京系列/2017〜 異文化やかけ離れた生活圏は非日常として映り、その中で食事をとることは束の間の日常と呼べる瞬間だ。堅苦しいドキュメンタリーではなく、普遍的な食事を中心に添えることで興味の間口を整備している。肌の色や崇拝する神様、身分を超えた共通項は視聴者に親近感を与える。 飯どころを巡る日本の一般的なグルメリポートと決定的に異なるのは、生命の危険や法に触れる緊張感が常にあることだ。薬や銃が飯と同じレベルで語られる世界観は想像に難い。そうした経緯を見せられると単な

          ハイパーハードボイルドグルメリポート

          極限までストレスを減らす工夫

          趣味でミニマリストをしている私が気にかける基準の一つにストレスがある。日々の暮らしで自分のリソースを適切に分配することは難しい。丁寧な暮らしと称して数多の工程を脳に課し、無意識の疲労を強いていないだろうか。ルーティン化された行為は小脳で処理されるというが、それすらもストレスが全くないというわけではない。 例えば何かを飲むための容器だ。グラスなら比較的、重く、冷たく、硬く、割ってしまうのではないかという緊張感が常にある。凶器にもなり得るなら当然だ。1日10回以上は手にするもの

          極限までストレスを減らす工夫

          SNS世代は長文に飢えていないか

          物心ついた頃からSNSが当たり前の世代は長文を書くプラットフォームが身近に存在していないのではないだろうか。新聞やブログがTwitterの140文字に、YouTubeがTikTokの15秒に圧縮される流れは記憶に新しいが、端的な世界に育ったニュータイプとも言えるZ世代にとって"長文失礼"の文句はもはや死語と化している。 あるいは受験における小論文や大学で日常的に提出するレポートや論文はどれだけ人の目につき、評価が受けられるのだろうか。いいねの通知がもたらす脳の報酬系の分泌を

          SNS世代は長文に飢えていないか