詩作 51 猫が見ている
猫がみている
俺をみている
ただ見つめている
俺の影を見ているのだ
今日は雨恋人は仕事
猫と雨 家で留守番
憧れの生活と絶望に希望
猫はみている なにもかもを見透かしたように
既に死んだように死人で死に体の俺を
猫はみている 死臭をかぎ分けせせら笑うように
テレビも酒も活字もすべてが虚しく空虚
猫はみている テレビをみている
手にとった肉の塊を死んだ鶏の肉片を
猫はみている 旨そうだなとつぶやくように
トイレに行ってドアを開閉するとき
猫はみている 糞製造機を臭いの軌跡を
散歩も仕事も雨ではできない 恋人はいない
猫はみている つまらんつまらんというように
俺は猫をみないように見る嫌いだと言うように
猫はみている どうでもよいと見ている
つまらん詩人のつまらん詩(うた)を
猫はみている 聴いては唾をはくように
猫はみている
前世の記憶を哀しむように悟るように
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