きなこ

世の中に宝塚といふもののあんなるを、いかで見ばやと思いつつ

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最近の記事

『仮面のロマネスク』『Gato Bonito!!』感想

千秋楽おめでとうございます。全国ツアーを追いかける中で感じた心震える「何か」を残しておきたくて、書き始めた感想です。最初に言っておくが、とんでもなく長い。 『仮面のロマネスク』感想古典作品の「賞味期限」というものを、たまに考えたりする。 古典文学であれ、お芝居の演目であれ、時代にそぐわないという「賞味期限」がおそらく世の中のどこかにはあって、「賞味期限」が切れている作品だと、人によっては美味しくなかったり風味が落ちているように感じることもある。それでも、その作品が読み継がれ

    • 『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』感想

      「ハッピーエンドよりバッドエンドが好き。」 最近の私の好みはそんな感じです。 現実世界でままならないことを幾度も経験してひねくれた大人になってしまった私は、バッドエンドの方が現実味を持って受け止められるけど、ハッピーエンドはちょっとむず痒くなってしまう。そんな上手くいくわけないじゃん?と。つまりは信じられないわけだ。 「信じる」ということ 小声で言っておくけど(発信してる時点で全然小声じゃない)、正直ね初めて観た時はコメディで曲も良くて楽しいけど、随分ご都合主義な話だ

      • 『ジュエル・ド・パリ‼︎ 』 爽やかな情熱

        雪組生すべてが愛おしくて、最初から最後までずっとオペラを上げてるので、両隣の人に「この人、見過ぎじゃない?」って思われてそうでちょっと恥ずかしい。 背景が鏡になっている場面では後ろ姿も見たくておでこから目が生えそうなくらい私は頑張ってますし、全員が登場するカンカンでは右目と左目で別のものを観られないかなと人体の限界に挑戦しているのに、毎回楽しすぎた記憶を失っていて辛い。 そのくらい『ジュエル・ド・パリ‼︎』が好きですって話をします。 幕開きにミラーボールが回転して、白い

        • 『Lilacの夢路 ドロイゼン家の誇り』感想

          何度か観るうちにクセになってきて大好きになってしまった『Lilacの夢路』の感想と、私の心を最近盛大にざわめかしているフランツとディートリンデのカップルについて語る記事です。 (サムネはドイツに行ったことのない私が一番ドイツに近づいたストラスブールのクリスマスマーケットの写真です。クリスマスの場面でいつもこの光景を思い出す。) やっぱり好きだったLilacの夢路 芝居全体の感想タイトルにも書いたけど、私はやっぱりLilacの夢路という作品が好きだった!という話です。途中ちょ

        『仮面のロマネスク』『Gato Bonito!!』感想

          『海辺のストルーエンセ』考察

          色々なことが気になりすぎるので脳内を整理するために、考察記事を書きました。(今までTwitterでポツポツと呟いていたことのまとめです) この作品は自分の心で納得しながら観ていく楽しみがある作品だと思うので、その楽しみを奪われたくない方は読まないでください(笑) 人には人の受け取り方があると思うので、自分の心のまま楽しむのが一番だと思います。 これはただの私のわがままなのですが、梅田院での限られた診療で見るべきところをクリアにしたいという狙いもあって書きました。細かいこと

          『海辺のストルーエンセ』考察

          『海辺のストルーエンセ』フォレルスケットの意味を考えている

           2022年8月30日に公演が発表されてから、ずっと楽しみにしていた「海辺のストルーエンセ」が始まりました。朝美さんのために書き下ろされた新作という良さを噛み締めています。  贔屓が主演を務める公演での楽しみの一つが、開演アナウンスだと思います。私は朝美さんの声がきっかけでファンになった人間なので、ここだけで胸が張り裂けそうなトキメキを感じるのですが…どうしても副題の「ミュージカル フォレルスケット」の意味が気になってしまうのです。 (『冬霞の巴里』を観た時も「Fanta

          『海辺のストルーエンセ』フォレルスケットの意味を考えている

          観劇記録2022

          2022年も劇場にてたくさん心に残る体験をさせてもらった一年でした。少しでもその時の気持ちを残しておきたくて、取り急ぎ観劇まとめをします!! (書いている途中で年を越してしまった…変なタイミングで投稿してすみません…) ※座席からの写真を使っていますが、生徒さんのお席ではなく貸切公演などのものを使っておりますのでご承知おきください。心配性なので、注意書きしておきます(笑) 1月『INTO THE WOODS』  望海さんの歌声が素晴らしかった。どんな体勢でも歌えるってほ

          観劇記録2022

          11月6日の日記

          仕事からの帰り道、薄明の空を見た。 茜色から蒼藍色へと美しく染まる空を見た時、ふと心の中に贔屓の歌声が流れ出した。 Can you paint with all the colors of the wind 遠く離れた存在の誰かを応援するということは、どんなに好きでもその人の人生には関わることができないということでもある。(端から私は関わりなんて求めてはいないけど) しかしながら、私の人生には贔屓が深く関わっている。いつも心のどこかで支えとなっている。 美しい景色を見た

          11月6日の日記

          『蒼穹の昴』宝塚歌劇団の本物を創る力

          ネタバレしかないので、まだ舞台を未見であるという方はお気をつけください。  『蒼穹の昴』は亡き祖父との思い出の本だ。  10年前、中学3年生の夏、遊びに行った祖父宅の書斎で装丁の美しい本を見つけた。浅田次郎氏の『蒼穹の昴』だ。運命を変えようともがく登場人物に魅了され、訳もわからずひたすらに読み進めた。この時初めて「蒼穹」という言葉を知り、辞書で調べてはその意味に恍惚とした。(習い事の書道で「好きな文字を書きなさい」という課題が出て、迷いなく「蒼穹」と書いた記憶がある。)

          『蒼穹の昴』宝塚歌劇団の本物を創る力

          ODYSSEY感想 朝美絢さんのこと

           梅田芸術劇場で雪組公演『ODYSSEY -The Age of Discovery-』を観てきました。  Twitterをフォローしてくださっている方々は私が初日から騒ぎ続けているのをよくご存知かと思うのですが、オタクのなけなしの理性を梅田で完全に失くしてしまうくらい超超刺激的な作品でした。最後にODYSSEYを観てから1週間が経過したのですが、毎晩ODYSSEYのことばかり考えていてAM3時くらいまで眠れません。次の日も仕事なのに。どうしよう!?ということで、眠れぬ夜に

          ODYSSEY感想 朝美絢さんのこと

          「Fantasmagorie冬霞の巴里」考察

          「Fantasmagorie」 開演アナウンスのひとこちゃんがええ声すぎて、 「Fantasmagorie 冬霞の巴里」の「Fantasmagorie」がとても印象に残っている。 Fantasmagorie ➊ (19世紀に流行した)魔術幻灯(劇). ➋ 夢幻(的光景);(不気味な)幻影,幻想. 「プログレッシブ仏和辞典 第2版より」 観劇する前は➊ 魔術幻灯(劇)のことだと思っていたのだが、この物語は観客全員が見ていた「➋ 夢幻」だったのだと思う。 オクターブにとっ

          「Fantasmagorie冬霞の巴里」考察