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『ジュエル・ド・パリ‼︎ 』 爽やかな情熱

雪組生すべてが愛おしくて、最初から最後までずっとオペラを上げてるので、両隣の人に「この人、見過ぎじゃない?」って思われてそうでちょっと恥ずかしい。

背景が鏡になっている場面では後ろ姿も見たくておでこから目が生えそうなくらい私は頑張ってますし、全員が登場するカンカンでは右目と左目で別のものを観られないかなと人体の限界に挑戦しているのに、毎回楽しすぎた記憶を失っていて辛い。

そのくらい『ジュエル・ド・パリ‼︎』が好きですって話をします。


幕開きにミラーボールが回転して、白い画家さん達が登場するのを観ていると、この美しい景色を観ること以上に心が高揚する瞬間などこの世にあるだろうか?と思わずにはいられない。アムールアムールしてもらって、あなたを描きたいされて、こんなに良くしてもらっていいんですか??って心臓が止まりかけているうちに、ジュテーム愛していますと連呼されて、(観客の)自己肯定感爆上がりプロローグが始まる。ヨッ!この世の憂さを全て忘れ去ってこそ宝塚!!という幕開きから最高の気分です(笑)


パリのレビューという何度も宝塚で扱われてきた題材でとてもオーソドックスだけど、全てに新鮮さがある。欲しいところに欲しいものがある安心感と、それでいてこの方でこんな場面を見たかった憧れを叶えてくれる。


朝美さん→和希さん→彩風さんと全く雰囲気の異なる箱が連続した後に、中詰のセリの上で三者三様の色気放つという、定番だけど、この流れ完璧すぎてため息出ちゃいますよね?一方で、ファンがこんな場面を見たいと夢見ていたものが実現するのは新鮮な喜びがある。

彩風さんが銀橋で観客を見下ろす表情が大好きなので、見下ろしドーファン様が決して揺らぐことない安定のかっこよさで、前列の人息してるかな…って思って見てる。微笑まれるより冷たく見下ろされる方がしんどくないですか?ってSS席に座った方に聞きたいです。

和希さんのキレキレなダンスが大好きだから、オベ様の男役や娘役といった垣根を超越したダンスを観られて嬉しい。こんなん見させてもらっていいんですか?って不安になりながらも、和希さんの観客に魅せることを意識して踊る天性のスター性に痺れる…

そして、朝美さんが娘役さんを愛おしそうに見つめる瞳が大好きなので、特定の娘役さんとの恋人場面があるのが夢みたい。娘役さんにたくさん囲まれてるのもいいけど、私が好きな娘役さんである野々花ひまりちゃんと組んで二人だけの特別な関係を魅せてくれて有難い限りです。経験を積んだ男役になった今だからこそ実現する包容力と、経験を積んでもなお失われないフレッシュなトキメキがあって。今この瞬間にご贔屓様に出会えたことに泣きそうです。(情緒不安定すぎる)

有栖さんや美穂さんの歌とサンジェルマンデプレの場面で一気に静謐な空気を劇場は取り戻す。静謐と興奮の繰り返しは祭りですね、ほんと。有栖さんと下級生娘役さん達の美しいコーラスから繚乱たる中詰へ。そして中詰ラストの縣さん中心の場面では激流のようなパワーを浴びていたのに、厳粛な場面を息を詰めて見守る瞬間の緊張感とのコントラストによって私の心はより一層高められていきます。心拍数上がりすぎて楽しすぎて、本当しんどい。

白燕尾は美しい絵画ですね。「宝塚の男役」という名の絵画です。白という色は、男役という存在が持つ、何者にでもなれる可能性と神秘性を湛えているのかなとおぼろげながらも感じている。全員が白いお衣装を来ている中で、一際目立つ赤のお衣装のトップコンビが銀橋の真ん中で出会うところ、凱旋門の前でパリの恋人達が出会ったような甘い幸せを感じられて、宝塚という存在に恋しちゃいます。


超失礼な発言をするのだけど…
「‼︎」が付くショーは、アツくてオラオラしていてとにかく味付け濃いめなイメージがあった(偏見です)。
けれど、初めて観た時から変わらず『ジュエル・ド・パリ!!』は私の中で爽やかな魅力を持ち続けているレビュー作品です。季節は夏に移りつつあり、生徒さん達は汗をかきかき頑張ってらっしゃるけれど(笑)、全ての場面が凛とした華やかさがあって清々しい。

とはいえ、ただ清涼に通り過ぎていくのではなく何か熱いものが後に残っていて、観劇後はいつも「宝塚っていいなぁ」という気持ちになります。その何か熱いものは生徒さんが宝塚にかける情熱なのだと思う。男役として、もしくは娘役としてこうありたい!という情熱が込められていると各場面で感じる。

これは傲慢な思い込みかもしれないけど、演者の宝塚にかける情熱と観客の宝塚を愛する情熱が合わさる劇場という空間、最高だ。宝塚っていいなぁ。

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