見出し画像

【365日のわたしたち。】 2022年5月10日(火)

沖縄は梅雨入りをしたという。

電話越しに、梅雨の沖縄はどうか、と彼に尋ねてみる。

ムシムシしてるわぁ、とのんびり、そして大きな声で答える。


東京にいた時よりも、彼はとても生き生きしているように聞こえた。

「地元の沖縄に戻ろうと思う」と死んだような目をした彼に言われた時、
場所を変えたくらいで彼の生気が回復するとは到底思えなかった。

それでも「そっか、それが良いかもね」としか返事はできなかった。


22歳のわたしたち。

将来を約束するには、お互いまだ若すぎると思っていたのだろう。

彼が沖縄に帰ると決まっても、私たちは未来への約束を交わせなかった。


このまま、東京と沖縄でやっていくのか、

それとも、どちらかが一方の住む地へ移住するのか。

まぁ、東京に疲弊して沖縄に帰った彼が、私の住む東京に戻ってくるとは到底期待できない。

だからと言って、私も今の生活を捨てて、彼の元に飛び込む気にもなれない。


八方塞がりというのか、私たちの関係は。



お互いにそのことに触れられず、3ヶ月が過ぎてしまった。

それでも、定期的に電話を通してお互いの近況を伺い合う。

それくらいの愛と情は残っている。



なぜ私たちは、見えもしない未来を危惧して、今の関係の結論を決めようとしてしまうのだろうか。

どうなるかなんてわからないじゃないか。

もしかしたら、画期的なアイディアが出てくるかもしれないじゃないか。

そうやって自分を励ましては、何を期待してるんだ、ともう一人の自分がツッコむ。


「東京は、まだ梅雨は先かなぁ」

そう言った私のことばに、


「そっかぁ…。そうだよなぁ。遠いもんなぁ」

とだけ答えた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?