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高校生の質問①「すべての高校生に受け入れられる制服は?」

このnoteでは、女の子として生まれ、「ちいちゃん」と呼ばれて育ってきたかつての自分。男性として生き、「たっくん」と呼ばれ、福祉の専門家として働いている今の自分。LGBTQ当事者として、福祉の現場に立つ者として、「生」「性」そして「私らしさ」について思いを綴ります。(自己紹介はこちら)
今回から、講演会で出会った高校生からの質問に答えていきます。

【高校生からの質問】

「最近、女子生徒のスラックス制服を認める高校が増えています。田崎さんは、どんな制服なら、すべての高校生に受け入れられると思いますか?」

***

【田崎の回答】

学校で性の多様性について講演した後、『性的マイノリティの人は、どんな制服があったらいいのですか?』という質問をされることが増えました。多くの学校で制服の見直しが始まっているから、関心も高まっているのだと思います。

僕は、制服に関して、『女子生徒のズボンを認めるなら、同時に男子生徒のスカートを認めてほしいです』と言っています。トランスジェンダー男性だけでなく、トランスジェンダー女性の存在にも目を向けないとおかしいですよね。

僕は、質問の中にある「すべての人」という言葉がとても大切だと思っています。すべての人って、だれとだれを指しているのでしょうか。みなさんが想像している「すべての人」から、実はとりこぼされている人はいるのではありませんか。そういうことも考えてみてほしいと思います。
 
制服の問題を人権として捉えたときに、性的マイノリティーを含むすべての人に選択肢があることが大前提です。しかしこれまで、制服には選択肢がなく、性的マイノリティーにとっては不平等な存在だったのです。今、そうした現状が少しずつ変わっているわけですが、もしも学校の先生や保護者が「男子はスラックス、女子はスカートが当たり前」「どうしてもと言う生徒には、特別にスラックス(スカート)を認める」と考えているのであれば、それは制服における公平性の視点が欠けていると僕は思います。
 
僕は、制服は選択肢が多いほどいいと思っています。選択肢が多いほど、「これは自分らしくいられる制服ではないな」という人が少なくなるからです。私の知っている学校の中には、ズボンかスカートかだけではく、インナーやアウターなどもかなり自由に選択できるようにしている学校があります。また、最近は、自由服登校週間を設けている学校も増えてきました。

究極的には、制服ではなく私服にした方が自由だと思います。でも、それでは、「どんな制服がすべての高校生に受け入れられるか」という質問に答えたことになりませんよね。それに、自由服登校日でも「服装選びに悩まなくていい」と制服を着てくる生徒もいますから、制服が悪いわけでもない。ただ、制服であれ私服であれ、自分で選べることが大切なのではないでしょうか。

どんな姿でどんなふうに学校生活を送りたいかを考えることは、「性」と「生」の多様性を考えることだと思います。「どんな制服がよいのだろうか」を考えながら、「どんな人たちが学校にはいるのだろうか」「みんなはどんなふうに生活したいのだろうか」を想像してみることも大切だと思います。

〈次回の投稿は12月7日の予定です。「同性愛者が登場するテレビドラマを見て、どう思いますか?」というユニークな質問に答えます。(田崎)〉

【これまでのnoteはこちらから】


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