見出し画像

第48回 元公務員が「JT,財務省,タバコ利権」を読んで思う日本の在り方について

 こんにちは。
 たろ坊です。

 昨今、新NISAが始まり多くの人が投資に関心を持つようになりました。その中で大人気国内株式で上位に入る「JT(日本タバコ産業)」についての成り立ちや利権について書かれているこの本に興味を待ちました。

 10年前に発刊したこの本は今のJTを「予見」させるもので、当時から改革が進まない部分もあり読んでみた感想を書いていきたいと思います。(この記事は1700時程度あります)



1.JTと国との関係について

 一昔前では職場や街中の喫煙所は当たり前にある風景でした。しかしながら、私が公務員として働いてる時期より少し前には庁舎内の各フロアの喫煙所が無くなり、外の一箇所になりと喫煙者の肩身が狭くなるのを見てきました。

 世の中の先進国では国際条約により分煙&禁煙に流れが進んでおり、日本でも東京オリンピックがあったことにより推進したのも事実です。

 しかし、この本を見てみると日本のタバコとその販売製造をしているJTの「異質性」が見えてきます。

 元々JTは日本専売公社という国営企業でした。1985年に民営化され名称変更をしています。しかし、「完全」民営化ではなく、国の省庁との結びつきが今も「とても」強い企業ということを私は知りませんでした。

 本を読むまで私は「タバコは健康についてだから所管は厚生労働省でしょう?」と思っていました。

 実は、財務省(理財局)の管轄だったのです(ビックリ‼️

財務省ホームページより


 そもそも財務省は各省庁の予算の「配分と執行のチェック」している省庁であり、各省庁の上位に存在しています。

 その予算監督をする省庁が「たばこ事業」を持つとなると予算の流れ全体を担うことになりコントロールが効きません。国民の健康や生活を管轄する厚生労働省が意見を言うのもこれでは難しい体制になっており、改革が進まないのも納得です。

 また、かつてのJTの社長は財務省の官僚が務めていたことからもそのつながりは強固です。いまだに役員名簿をみるとよく分かります。(なお、現在はプロパー職員がトップです)

Wikipediaより引用

 天下りとは別にして、現在も「天上がり」という民間企業から関係省庁に出向いて各企業の利益のために動くエリート社員がJTからも今も脈々とあるみたいです。(初耳なワードです)

 下の表からわかる通り、特に理財局となると「たばこ塩事業室」に出向の可能性もあり、これがJTとの癒着になる可能性ことも考えられます。

総務省 令和5年民間から国への職員の受入状況より引用

2.タバコと税収についての基本

 タバコ🚬を吸わない人はあまり知らないかもしれませんがタバコは国や地方の莫大な税収源の一つなことが挙げられます。

 タバコ1箱とっても410円(今は少し値上がりしてます)の中の60%が税金であり、半分税金を払っているようなものです。

JTホームページより引用

 タバコ1箱の中で「国たばこ税」の他にも「地方たばこ税」があり、これは購入された地域の財源となっています。また、「国税」も地方交付税交付金として分配され、「消費税」についても地方消費税として県や各自治体に交付されることにより、410円のうち120円(約30%)が地方自治体の取り分になるそうです。

 2024年からタバコ代が30円から40円程度値上げされており、その分税収も上がっているはずです。年間のタバコ税は2兆円となっています。

 人口減少やふるさと納税により地方自治体の税収確保が困難になっています。そうした中で「安定的」に地方、国ともに大きな財源であり、国(財務省)としては税収を減らすことに力学が働かないことから、今後も積極的なタバコ禁止の動きは鈍いかなと思われます。


3.投資対象としてのJTの可否とこれから

 これらのことから分かる通り、国営企業から民間企業になった現在も「唯一」のタバコ製造販売会社であるため、他社の参入障壁はとても高いと思われます。

 また、現在も財務大臣が1/3持っていることや、コロナ禍で個人投資家の買い増しによるニーズを踏まえると投資の価値や安定感は高いと思います。

 一方、「文藝春秋10月号」の記事には下記のように書かれており、世界の変化に苦戦を強いられています。

JTのたばこ事業の収益は九割超が紙巻きタバコに依存。加熱式たばこ市場では、JTの世界シェアは5%に過ぎない。日本国内でも一割ほどのシェアにとどまる。

文藝春秋10月号 丸の内コンフィデンシャルより引用

 海外展開をしている「グルーバル」企業として挑戦するJT、そして著書から10年経ってもいまだ国の大きな「後ろ盾」が残るJT。

 日本国民の健康と日本国民の金融資産形成を同時に達成できる日がくるのか我々は見守るしかありません。

 本日もありがとうございました。また気になる本があったら感想を書いていきたいと思います!

2024.9.13 たろ坊



 

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?