『運、試し(に)擬人化』#毎週ショートショートnote
アサが草原の向こうから馬を連れて走ってきた。風がおいしい。草と土の湿ったにおいがする。足元には白い小粒の花が咲いていて、僕の裸足に寄り添う。
「はやくいくよ!乗れー!」
アサが叫んでいる。なぜそこまで焦っているのだろうか。僕は裸足だから早く走れない。ここの草原にはとげのある草木も生えているんだから。
「後ろ!来てるよ!!」
そうアサが切羽詰まった様子で言うから僕が振り向くと、草原の向こうで湿った土がえぐられ、飛び散っているのが見えて、その根元にはセディやケチェ、それに宿