運試し擬人化【ショートショート】652字

「なんだぁ? これ? 『おみくじの結果が擬人化することがあります』だって。一緒にやんね?」

「やめておこうよ。つまんない」

「女のクセにこういうの、おみくじとか占いとか嫌いだもんな〜。キョンコは」

「嫌いじゃないけどさ……」

「いいよ、一人でやってみっから。こう見えて意外と信じてんだぜ。スロの前や馬券買う時いっつも神にお祈りしてんだぁ、俺。今年は散々だったからよぉ。来年の運試しよ」

「やっぱりやるつもりなんだね、タカちゃん……。どうなっても知らないよ」

「てめぇ、やる前から縁起わりぃこと言ってんじゃねぇぞ、おら」

キョウコの言葉に耳を傾けていればあんな結末にはならなかったのです。しかし、年の境目にはおみくじを引くものと考えていた私は彼女が何を言っても聞く耳は持たなかったことでしょう。

「んじゃ、引くぞっ」

「うん……」

「……吉だって。なんか普通だった。まあ、平凡が一番ってこと――」

「私よりはいいじゃん」

「はぁ? お前引いてないだろ、キョン……コ、えっ?!」

私は目を疑いました。キョウコの姿が薄くなっていたからです。

「タカちゃん、一年間ありがと。楽しかったよ……。あんまり幸せにしてあげられなくてごめんね。もっと一緒にいたかったけど、新しい子とも仲良く――」

消失したキョウコを見て私は全てを思い出しました。しかし、背後から声をかけられ振り向いた時にはまた、何もかも忘れてしまったのです。

「言葉遣い、趣味、考え方、神頼みの姿勢、全てよくない。私がみっちり矯正してあげる」

「はぁ? 今更何を言ってんだよ、キチコよぉ」


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爪に火を灯すような生活をしております。いよいよ毛に火を灯さなくてはいけないかもしれません。いえ、先祖代々フサの家系ではあるのですが……。え? 私めにサポートいただけるんで? 「瓜に爪あり爪に爪なし」とはこのことですね!