運試し擬人化　#毎週ショートショートnote

ひょんなことから入手した運試しロボット。
見た目が人間っぽいところが連れて歩いていても違和感がなくていい。

「ねぇ。この福引き、どう思う？」
「いいと思います、試してみましょう」

「宝くじ、今日買おうかな」
「うーん、どうでしょう」

日常会話は人間と同じようにするが、運に関わるようなことを聞いた時はこの2つしか答えない。乗り気な返事の時は何かいいことがあるし、難色を示した時はツキは巡ってこない。

そうやって、ささやかな幸運を教えてもらいながら一緒に生活するのが最近楽しい。穏やかな顔でいつも傍にいてくれて、運が舞い降りてきそうな時はご機嫌に、そうでない時は憂うような目でこちらを見てくる。結構可愛い。

そんなある日、僕は運試しロボットに聞いた。

「ねぇ、あの子にアプローチしようと思うんだけど、どうかな」
「...」

珍しく答えを言わずに、下を向いている。

「あの子は無理そう？」
「いえ...」
「じゃあ、なんでいつもの答えてくれないんだよ」
「...」

「はいはい、どうせダメなんだろ？わかってるよ。あーあ、幸運もありがたいけど、いい出会いもそろそろ欲しいよなぁ」

それを聞いた運試しロボットはゆっくりと顔をあげて言った。

「...私ではダメですか？」

「えぇ？私って...。人間とロボットの恋なんてあり？」

動揺する僕に、彼女は笑顔で答えた。

「いいと思います、試してみましょう」

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