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語彙力ってそういうもんじゃないよな、て思う

前回のこの記事の続き。

↑は要するに、文章を書けるようになる(出力と組み立てが出来るようになる)には、紙に書いて掘り下げたものを物理的に組み替えて纏めることを繰り返すことからでは?て感じの話だったが、文章の組み立てとかの前に、”頭の中にあることにピッタリな言葉が出てこない”というのもあると思う。
多分これが、みんなの言う「語彙力がない」てやつだと私は理解している。

確かに私も10代の頃はよくそう思った。
まず言葉を知らないから出せない。
言いたいことを的確に表す言葉がどこかにあるんだろうと思うけど、調べようがないから書けない。

これに関して今は「たくさん知ってたら(覚えたら・勉強したら)書ける」というものでは無いような気がしてる。
それの前段階が無いと、言葉だけ知ってても書けないのではないか、と思う。

前段階というのは、頭の中のものを何とか正確に文字にしようとする気概のようなもの。
これがない人は、いくら言葉を知っててもただ知ってるだけの人である。

例えば、「同族嫌悪」という言葉を知っていたとしても、ただの嫌な人を「イヤだ」と言ってる人に「同族嫌悪じゃない?」と言って、言ってやった気になってニヤニヤしてる人は、語彙力があるとは言わない。
覚えたことを言ってるだけの人だ。
言葉を正しく当て嵌めてないからね。

では、語彙力とはなんなのか。
私は「相手に伝えたい感覚を伝える技術」だと思う。

良いものを見て「良いよね」ということ以上に、自分がどういう感覚の「良い」を感じてるかを伝えること。
それを表す言葉をどこかから何とかして持ってこれること。
それが語彙力だと思う。

私も語彙力がめちゃくちゃある訳では無いが、自分の中でしっくりくるくらいには言葉にできるようになってきた。
それは何年も「しっくり来る表現が見つかるまで考える」を続けてきたからだと思う。

SNSを見ててずっと気になるのは「語彙力が無いから書かない」という人が多いこと。
人に見せる自信がなくて発表してないだけならまだしも、文字にすらしてないなら「いくら勉強しても、書かなきゃ書けるようにはならないのにな」と思う。

人に見せるかどうかはさておき、表現しないでいたらいつまで経っても出来るようにならない。
勝手にある日できるようになるものではない。
シンプルに「良かった、楽しかった、嫌だった、ムカついた、悲しかった」だけでもいいから、文字にするところからしか始まらない。

感じたことを書いたら、次に「どんな風に?」を出そうとしてみる。

どんな風に?てのはつまり
何に似てる?
どんな時の気持ちに似てる?
どうして欲しいと思った?
どうなればいいと思う?
それはどういうことだと思う?
みたいな問いかけの答えだろう。

自分に問いかけて答えていくうちに、自分なりの答えが出てくるようになる。
自分の答えを素直に文章化してみる。
これが「感想を書く」ということ。
まずこれがないことには、自分の感想を伝えることは出来ないと思う。

自分の感じたことを分解して伝えようとしてみる作業の先に「語彙力」があるのではないだろうか。
これの次の段階が「有名人や名作の表現を学ぶ」だと思う。

何にしてもそうだけど、「散々本気でやってきた人の結果」と「そこまでしてない今の自分の実力」を比べて羨ましがるのは違うし、「あの人ほど出来てないからダメだ」と諦めるのも違う。
100じゃなくても、今から20でもやれば、ゼロの人よりは出来るようになる訳で、何もやらずに「出来ないです終わり」にするのって、なんか怖いよね。


書いたものを人に見せるかどうかに関して言うと「上手に書けるようになったら」と思ってたら多分ずっと見せられない。
知識や技術に関することはほぼ全てそうで、知れば知るほど、出来るようになるほど「出来ない」がハッキリ見えてくるものだから。

誰よりも賢いと思ってる人は大体バカなのと一緒で、レベルの低いところにいて上の人の凄さが見えてないから「自分が1番凄い」と思えるわけだ。
自分のレベルが上がれば周りのレベルも上がるし、理解度も上がるから、他の人の凄さが分かってくる。
「これで完璧」なんて、まぁまず無いし、どんなに優れたものを出しても否定する人はいる。

その代わり、自分ではなんて事ないものでも見せてみたら「とても良い」と言ってもらえることもある。

良いか悪いかは自分だけで決められるものでは無いから、腹を括って「今の自分はこれです」という気持ちで出してみるしかない。

最初はどんな文豪でもゴミみたいな文章から始まったんだろうし、どんなプロでもど素人から始まったわけだから、誰しもゴミを作ることは避けられない。
ゴミを作ることから始めるしかない。
そのゴミを何度も作って出していくうちに、出来てくることがあると思う。

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